これに乗りたくて
グッズ収集
翌朝、和真が起きると柚那ちゃんが着替えていた。何だか初めての光景ではなく、実夢と出かけた時にも同じような感じのことがあったことを思い出した。
とりあえず知らないフリをして目を閉じる。顔をツンツンして耳元で囁く。
「柚那知っているよ。和真君が起きていること。見ちゃいけない、見ないようにと寝たフリをしているだけでしょ。見たかったどうぞ」
類は友を呼ぶという言葉があるように柚那ちゃんは実夢と同じようなことを言っている。顔を熱くしながら早く着替えてくれないと目を開けられないから。
朝からイジワルをして和真君のこの顔を真っ赤にして照れながら柚那のことを考えてくれる姿を見られてよかった。実夢の言っていたことは間違っていなかったのか。
愛知遠征後に犬山に行った時にそういえばそんな話をしていた。それを証明するためにやってどうなのかと試されていた。すっぴんでも十分かわいいけどメイクするなら待つよと伝えてしばらく待っていた。
顔を洗ってメイクをするのかと洗面所に向かうとすっぴんなのかナチュラルメイクなのか分からないがあまり変化を感じない。変わったのは髪の毛を巻いてツインテールにしている。
リビングに戻って水色と紫のグラデーションのワンピースを着て世の中にこんなかわいい色があるのか、それもツインテールでかわいさが増す。
学生寮近くの最寄駅まで手を繋いで行って切符を買う。乗換なしで特急電車「わかしお」に乗って「いすみ鉄道」に乗るための大原駅に着いた。ホームの中で乗換が出来るわけではなく、改札を出て少し歩いた場所にあっていざ、「いすみ鉄道」の駅舎に向かう。
フリーきっぷを和真と柚那ちゃん、それぞれ購入して改札口を通って待っていると菜の花をみたいな黄色に緑のラインが入ったかわいい電車が入線してきて写真を1枚、降りてきたお客さんに電車をバックに2ショットを撮る。
片道約1時間、車窓を和真と柚那ちゃん共に眺めていると菜の花が咲いていて近くの駅で途中下車をして少し歩いて電車が来るのを待っていた。
理由としては菜の花と黄色に緑のラインの入った電車と撮りたい。可能ならば菜の花と電車、柚那ちゃんと和真で同じスマホの画面の中に写りたいねと話していた。
フリーきっぷを買ったから他の場所でも撮りたいと言われてみればそうかも、別の駅に行ったら違う雰囲気の菜の花も楽しめるかもと再び電車に乗り込む。
単線で各駅停車に和真としてはいつもよりゆっくり時間が流れているような感じがして特急電車で速く移動出来るのもいいが、ローカル線の各駅停車に止まる電車もいいなと再認識する。
終点で降りてグッズを見ている柚那ちゃん。乗ってきたかわいいペンケース、クリアファイルや電車型キーホルダーと期間限定のチョコでハート型の中にある菜の花の電車のグッズを買って折り返しの電車を待つ。
結局全ての駅で降りて菜の花と電車、柚那ちゃんと和真で同じスマホの画面の中に写ってを繰り返していた。昼頃に着いたのに和真の学生寮に着いたらのは夕方、いやもう真っ暗になっていた。
柚那ちゃんの新しい趣味は写真を撮ることなのではないかと思うくらい写真を撮っていた。




