気のせいだろうか
嬉しいイジワル
大学生活が始まって数週間後が経って派遣アルバイトをしながらサークル活動に講義と最初はなれなかったが、何となく順応してきたなと感じていた。
4月末からゴールデンウィークが始まる。高校生までは祝日は休みのことが多かったが大学生になると違う。決められた回数の講義をしなければならないと決められているため、祝日だろうがゴールデンウィークだろうが関係ない。
ある日、講義が朝イチがある日で大学の掲示板には休講との文字。アラームを鳴らして起きてきたのに講義が振替になっていた。それも土曜日になっていてマジか、翌週土曜日の朝イチのために大学に来る日があると思うと憂鬱な気持ちだった。
だが、この時あることを思いついた。
講義があるならアルバイトは入れられない。ならば電車に乗って実夢に会いに行こう。もしアルバイトならその店舗に行こうと決めた。
翌週土曜日の予定を実夢に聞くとアルバイトで働いている店舗名と住所が送られてきた。乗換案内アプリで調べると電車で約1時間と表示されてこれならば今からでも行けるくらいだなと考えた。
講義を終えてスマホを見ると10時半。今から電車に乗っていけばちょうどお昼時でいいかもと考えた。来た電車に飛び乗って多摩川を越えて神奈川県川崎市に向かった。
駅に着いて店舗に行くと駅チカで利便性がいいなと思いつつトビラを開けて案内をされる。メニュー表を見てチーズドリアをタブレットで注文し、届くのを待っていた。
その時だった。
お水を運びに来てくれた女性店員さんと走り回っている男の子とぶつかってトレーに乗った水が和真にかぶってしまう。その店員さんの名前は椎名という名札を付けていた。もしやと思いつつ仮に柚那ちゃん本人だったとしても決して言えない。
それはアルバイトで接客中だからだ。
「お客様申し訳ありませんでした。すぐにおしぼりを持ってきますね、和真君。柚那のこと覚えていてくれた?」
そう囁いておしぼりを取りに行った。
椎名という店員さんは紛れもなく柚那ちゃんだった。忘れることなんて出来ないし、いつもまた会いたいと常に考えていた。
チーズドリアを食べて会計を済ませると先程の椎名という店員さんが会計をしてくれた。レシートを見るとこれが新しい柚那の連絡先と書かれていた。とりあえずどういう事なのか聞きたいことも踏まえてラインを電車の中で送る。
いつ日本に帰ってきたのか?日本に帰ってきたのならばなぜ連絡をくれなかったのか、実夢はこのことを知っているのかと質問ばかり送った。
その日の夕方、ライン上で友達になった柚那ちゃんから返信が届いた。
「まず、いつ帰ってきたかというと川崎星南女子大学に入学するために帰ってきた。帰ってきたのはある人からナイショにしようって伝えられたから。知ってるも何もそれを提案してきたのが実夢だよ」
偶然、柚那ちゃんと再会を出来たと喜んでいたが、色々と話を聞いていると実夢からの根回しだったと聞かされて来ることを知っていたようだ。
どうしてナイショにしておく必要があるのか、これをサプライズと言えばそうなのかもしれないが事前に伝えて欲しかったと思っていた。




