受験
付いてきて
和真は内部進学を目指し、実夢は川崎星南女子大学文化芸術学部とそれぞれ進路は違えど方向性が決まって勉強を頑張っている。
バレエ教室に通う子たちのサポートや事前に伝えたり、お忍びで行く時とまちまちだが実夢のアルバイト先に行って食事がてら季節限定メニューはどんなものかと各季節ごとに通っていた。今まで通りバレエの発表会にも顔を出している。
和真は内部進学を内定してそのままキープをするために勉強をする側と実夢は常に不安な気持ちに駆られている受験生と立場は違えど勉強をしなけれならずにお互いに励ましあっていた。
秋には内部進学を支柱に収めていた和真。その次の週には運命の決戦でもある実夢の推薦入試が神奈川県川崎市で行われることをラインで知らされた。
その日は学校の創立記念日になるため、たまには家でゆっくりしようかなと考えていた和真だった。だが、そうなることはなかった。
それは実夢から届いたあるラインの文面だった。
「明日受験で知らない土地に行くの怖いし、方向音痴だからちゃんと大学にたどり着く自信がないから一緒に行こう。大丈夫、交通費や宿泊費は実夢が持つから気にしないでいいよ」
交通費や宿泊費出すから問題ないとかそういう問題ではない。受験前日、それも前乗りを考えているのにその日に言うのは勘弁して。そう言いたいところだったが呼鈴を鳴らして高速バスで大分空港に行くために最終のバスに乗った。
どういう状況なのか理解出来ない上、着替えも何も持たずに出かけてしまい高速バスの中でどうしようかと慌てふためいていた。パジャマくらい持ってこればよかったと呟く。
飛行機に乗り、羽田空港に降りて近くのホテルに泊まった。幸いなことに薄いながらもパジャマが用意してあってそれに着替えて寝ようとする。寝坊して受験出なかったとならないように備え付けのアラームに朝6時にセットした。
翌朝、和真が起きると既に制服姿に着替えた実夢がいた。前みたいにタイミングが悪く着替えているところに遭遇しなくてホッとしていた。真剣な眼差しで赤本を読む姿に出る直前まで声をかけることは出来なかった。
大学の近くにあるホテルを取っていたとはいえど何があるか分からないとそろそろ出ようと促す和真の声を聞いて赤本をカバンに閉まってホテルを出て大学に入っていく姿を見送って喫茶店で待つことにした。
喫茶店で実夢からもらったお駄賃でクリームソーダ飲みつつ、眠たくなって気づいたらスヤスヤ眠ってしまった。
早起きだったし、急に知らない土地に連れて行かれと気疲れしてしまっまた。実夢が神奈川県に来るのが始めてだったが、和真も同様に始めてだった。前もって言って欲しかったと寝言を呟いていた。
ツンツンと指で突かれて目を覚まし、そこには実夢がいた。思っていたよりも早く終わったみたく喫茶店に迎えに来てくれた。行先を伝えておいてよかったと思いつつ会計を済ませて再び大分に帰って行った。
数週間後、実夢から電話で推薦で合格したよとの嬉しい報告を受けてよかったがもしこれでダメだったら何往復することになっていたのかと考えるとゾッとする和真がいた。




