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憧れの幼馴染  作者: 佐々蔵翔人
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凱旋公演

楽しみ

疲れてパジャマにすら着替えずに寝ていたことを気づいたが、その瞬間再び目を閉じて寝たフリをする。理由はタイミングが悪く、実夢みゆが着替えをしようとしている瞬間だった。


手を止めて振り向いて和真かずまの耳元でささやく。


「ホントは起きているの知ってるよ。実夢みゆの着替えるところを見たいの?それとも一緒に朝風呂入る?実夢みゆはどっちでもいいよ」

なぜ気づかれたか分からず、その話を聞いて余計に顔が熱くなってきた。


目を覚まして目を見て中学生にそんなこと言ったら本気にしちゃうよ。冗談でもそんなこと言ったらダメだし、その……タイミング悪く目が覚めちゃったからとりあえず目を閉じた感じ。決して見てはならないし、友達とは言えど思春期の男女がお風呂に入るなんてモラルとしてよくないよと顔を真っ赤にして伝えた。


そう言いながらシャワーをして着替えた。

その後、持ってきていた白のトップスに黄緑のミニスカートを穿いて朝イチに行われる公演に向けて荷物を持って劇場に向かった。


会場に着くと多くの人が並び、開場時間を待っていていかにここにいる人が楽しみにしていか、倍率を勝ち抜いてきたからなのか見ず知らずの人たちなのに盛り上がっているほどだった。


何かグッズ売っていれば買おうと思って前販売に並ぶ。パンフレットがキーホルダー、何が買えるのかも分からない中長蛇の列にいる。記念になればと思って前に前に進むがどんどん無くなる。


バレエ団体全員の団扇うちわやキーホルダー、パンフレットとどんどん新しい箱から出てきて柚那ゆずなちゃんに関係するグッズは全て買った。


チケットを見ながら座席を確認するとど真ん中の場所でもう奇跡といってもいい。団扇うちわを振ることで応援しているよという気持ちが伝わればいいな、実夢みゆとその話をして待っていた。


開演に先立って前座が挨拶あいさつをする。舞台メイクをしていてパッと見て誰か気づかなかったがそれは紛れもなく柚那ゆずなちゃんだった。見に来た人たちの中ではたかが前座と思っている人もいるかもしれないが、和真かずま実夢みゆからすれば誇らしい前座ぜんざ


挨拶あいさつを終えてマイクを現場スタッフさんに渡していざ開演となってえんじ色の緞帳どんちょうが幕を開ける。何度も柚那ゆずなちゃんの舞う姿を見てきたがイタリアに行ってからレベルアップしている無知の和真でさえ分かるほどだった。


ずっと柚那ゆずなちゃんの姿を目で追っていた和真かずま実夢みゆ。何度スゴいという言葉を発したか分からない。


お互いにずっと傍にいたあの柚那ゆずなだよねと確認をしてしまうほど感動して目から涙を流していた。この時、実夢みゆからある気持ちをいだいたと話し出した。


「この演技で全国の人々、いや世界中の人々に夢と希望を与えているのか。同じバレリーナとして誇らしいし、自分もそうならなきゃって思うよ」


終演後にバレリーナたちと喋る時間が設けられており、和真かずま実夢みゆ柚那ゆずなちゃんと久しぶりに再開をする。


ホントなら観に来た自分たちから話さなきゃ行けないのに柚那ゆずなちゃんから声をかけてくれた。


「態々《わざわざ》大分県おおいたけんから来てくれてありがとう。実夢みゆ和真かずま君の顔を見れただけでもスゴい心強かったのに団扇うちわまでありがとう」

そう言って外に出て出待ちをしていた。

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