慣れない
呼び方変えよう
中学校を卒業をして実夢姉は同じ敷地内にある拓殖昭成高校文化芸術科に入学し、ピンクのセーラー服に水色のリボンを付けていた。和真も無事に中学校に内部進学出来てブレザーを着て通うことになっていた。
学校が終わって柚那ちゃんの時のように実夢姉をバレエ教室まで一緒に行く。その時に和真にこう言葉を投げかけていた。
「こうやってずっと柚那をバレエ教室まで送り届けていたって感じなんだね。友達といえど彼女でもない実夢と一緒に行ってくれるのはどうして?柚那に何か言われた?」
そう聞かれ、素直に自分にしてきたことを今度は実夢姉にしてあげてって言われたことを伝える。
彼女の友達を大事にするのは当然であり、自分がそれを任されたなら役目を全うするだけだといつにもなくまともなことを言っていた。
中に入って待機所に行く。当たり前だが練習場には柚那ちゃんの姿はない。頭では分かっているものの実際にいない姿を見てこれが現実だなと実感をしていた。いつもいるべき場所にいないのは違和感があるし、寂しい。
帰りにゆっくり実夢姉と喋りながら帰る。
「もう出会って数年が経つから実夢姉じゃなくて実夢って呼び捨てでいいよ。むしろそう呼んで欲しいかな。柚那がいなくなったから実夢のことを好きになってと烏滸がましいことは言わない。だけどもっと仲良くなりたいな」
そう促されて実夢姉から実夢と呼び方を変えた。
柚那ちゃんがイタリアに行って数週間、中学校に入学して見覚えのあるから初めて見る子までいる。その中で顔立ちのいい童顔な子がいても好きという感情には決してならなかった。
あのかわいい顔、かわいい声に洋服姿、浴衣姿、ワンピース水着にストレートの髪型、ツインテール、ポニーテールとどれを取っても勝る女の子は今のところいないし、これからも出てこないと思うくらい柚那ちゃんのことが好きでいる。
学校が終わってスクールバスに乗る和真と実夢、ボソッと話し出した。
「柚那がいないと寂しいし、クリームの上にいちごが乗っていないショートケーキくらい私たちに取って大事な存在だったなといなくなって思うくらいだよね。実夢以上に和真君はもっと寂しいよね、ゴメンね」
家に帰ってそのことを個人ラインで伝えた。
日本とイタリアの時差は約7時間。電話だったらタイミング悪く寝ているところを起こしてしまう心配があるがラインならばいつでも返せるし、既読が付いてくれれば安心する。
あまりしたくはないが追いラインで返せる時でいいよ、基本はバレエに集中して欲しい。ライブ配信でネットやアプリで見れるなら課金でも何でもすることも伝えた。
応援とは何だろうか、同じ国内に入れば電車でも飛行機でも乗って駆け巡ろうとなるが柚那ちゃんが今いるのはイタリア。行くにはそもそもビザやパスポートが必要になってくる。
1番の味方でいたいが、どうすればそれが出来るのか考えても答えが出ずにいた。




