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憧れの幼馴染  作者: 佐々蔵翔人
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前日

また会うその日まで

イタリアに向けてパスポートやビザの発行の準備をしていると個人ラインで伝えられた。


スクールバスにていつ日本を旅立つのかと話をしていると卒業式を終えてすぐ向かうことを伝えられた。こうやって毎日のように過ごしていた日々がカウントダウンを迎えることになるとは。


来るかもと思うのはあくまでも想像でしかなく、来るというのは明確に決まっている。このたった2文字の違いでこんなにも気持ちに違いがあるのかと改めて実感をする。


初めて柚那ゆずなちゃんが舞うように踊る姿を数え切れないほど見てきていつか世界に羽ばたくようなバレリーナになるかもと思っていた時期もあったが、それがこんなにも早く来るとは思っていなかった。喜ばしいことだな。


スクールバスやバレエ教室に向かう時に手を握っているが、いつもならドキドキしているが、中学校卒業後にはイタリアに行くと決まってからはドキドキよりも寂しさが勝る。1日1日のこの瞬間をどのように濃く出来るかと考えていた。


ずっと寂しそうな顔をしている和真かずまを見て柚那ゆずなちゃんは話しかける。

柚那ゆずな、イタリアに行くのを背中を押してくれたけどホントは残って欲しかった?今からでも断ることが出来るけど電話出来るよ。どうする?」


そりゃあ隣の家に引越ししてきてからずっと傍にいる幼馴染おさななじみで彼女が一緒にいてくれるに越したことはない。それについて答えた。


柚那ゆずなちゃんは単身であってもイタリアに行くべきだよ。寂しそうな顔をしてゴメンね。だけどふっきれた。寂しそうな顔じゃなくて笑顔でお見送りするね。柚那ゆずなちゃんの1番の味方だからいつでも相談してね」


寒い冬を越えて梅が咲いてバレンタイン、手作りのクマのかわいいぬいぐるみが手紙を持っていた。すぐにぬいぐるみが持っていた手紙を読みたかったがしばらく読めずにいた。


そうこうしている間に中学校の卒業式を迎えた。

実夢姉みゆねえ柚那ゆずなちゃんは抱き合って制服姿で校門前で写真を撮る。そしてその後、近くの公園で和真と合流をして制服姿を見納めなのかと写真を撮って2ショットを撮る和真。


一緒に手を握って帰りつつ手を握るのも喋るのもしばらく出来ないのかと思いつつも不安な顔をさせないように振舞う。最後くらい笑顔でいたい。

家の前で柚那ちゃんが立ち止まった。


「この数年間、和真君かずまくんがいてくれたから不安なく楽しく過ごせたよ。ありがとうをどれだけ伝えても足りないくらいだよ。方向音痴だからバレエ教室や色々な会場。実夢みゆと3人で行った大阪府おおさかふ和歌山県わかやまけんでの思い出は昨日のように覚えているよ。これから中々会えなくなるけどこれだけは言わせて欲しい。和真かずま君、大好きだよ」


そう言ってキスをした。明日朝イチの高速バスで行って大分おおいた空港から羽田はねだ空港を経由してベネチアに行くからさ。


この時、自分はお別れを言えたけどまだ実夢姉みゆねえは言えていない。家に入って個人ラインで連絡を入れた。最後の最後まで会いたい、和真かずま自身も搭乗するエスカレーターまで見送りたかった。

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