大舞台
どうしてなのか
8月に入ってバレエ教室に行くと驚くべきことを告げられる。それは福岡県の博多にある博多座での発表会が決定した。本来は歌舞伎やミュージカルで使用されることが多く、九州でもキャパの数は多いと言える。
そのような場所がどうして全く関係のないバレエにオファーが来たかというと急遽来るはずだった海外のミュージカルがピザの申請が下りずに来日が難しくなり、箱の維持費もかかるため閉めておくよりかは使いたいとこに使ってもらう方がいいというのが経緯だった。
このオファーは柚那ちゃんや実夢姉の通うバレエ教室だけでなく、九州中の色々なバレエ教室にオファーがされているということもあり、自分の現状を見てもらえるのと同時に学べるチャンスとワクワクしていた柚那ちゃんと実夢姉だった。
当日は自他ともに認める方向音痴だと豪語する柚那ちゃんと仲良くなってきたと思っている実夢姉を現地まで送り届けようと考えていた和真。歩く時刻表、歩く地図だと思っている。
グループラインで何時に現地入らなきゃいけないのか聞く。それは電車の時間を調べるためでもあり、最寄り駅から歩いて行くが近くてもスグにたどり着けるか分からないから。
入り時間がお昼前で乗換案内アプリで検索をすると朝7時に頃に佐伯駅を出ても着くのは11時半頃とギリギリになる。かと言って高速バスで行こうにもちょうどいい時間のバスが埋まっているため選択肢がなかった。
実際に乗ったことはないが新幹線は3人席があるみたいだが、今回乗る特急「にちりん」はいつも乗っている電車で3人席ではなく、3人や4人にしたい場合は席を回転させて向かい合わせにする必要があった。
早くしないと電車も埋まってしまうと思った和真は急いで特急電車「にちりん」のチケットを購入をして事前に女性講師にこの電車に乗ることを伝えると経費で落とすから必ず領収書をもらうようにと返信が届いた。
再びグループラインで特急電車「にちりん」のチケットを取ったからこの時間の電車に乗るから10分前までに駅にいた方がいいと伝え、体調が悪くなったら早めに言って欲しいことも一緒に。
当日、ツインテールに制服姿でやってきて実夢を迎えに行こうかと駅から反対方向に行って呼鈴を鳴らす。駅で軽く食べられるようにとサンドウィッチとお茶を買って電車に乗り込む。
途中、大分駅で特急電車「ソニック」に乗り換えて博多駅に向かう。あと何時間かかるのかと思いつつも喋ってたらあっという間に着いて現地に向かって歩く。
大きな会場に驚く和真と柚那ちゃんと実夢姉だった。緊張するかも知れないけど今の自分に出来ることを頑張ってと送り出した。
開場時間になり、さすが九州各地から集まった精鋭たち。スゴいパフォーマンスに目を引くが決して柚那ちゃんや実夢姉も負けていないと知り合いだからということを度外視して思っていた。
帰りも特急電車「にちりん」に乗るが、疲れた和真はコアラのように柚那ちゃんに抱きついて寝てしまった。その様子を見て柚那ちゃんと実夢姉はかわいいと頭を撫でてくれたと後から聞いた。




