長期休み
実質休みなし
小学生や中学生にとって嬉しいのはそれぞれの学期が終わる終業式。これを終えればその日の昼からは夏休みや春休みになるから喜ぶ人が多い。
だが素直に喜べない人たちもいる。和真、柚那ちゃん、実夢姉の通う拓殖昭成付属小学校・中学校に人たちだ。それぞれ成績がよかった人たちは勉強合宿を組まれ、よくない人たちは補修として学校に来て勉強をしなくてはならない。
何のための長期休みなのか。休みなのにどうして学校に行って勉強をしなくてはならないのかと非難轟々《ひなんごうごう》だった。とはいえ、やる内容はどちらも課題はあるものの終わったら課された宿題をすることが許されていた。
要領のいい人たちは少しでも宿題を進めて家でゆっくりしようと策略を練っている者も少なくない。柚那ちゃんも実夢姉もそちら派だった。じゃないとバレエ教室もあって復習に時間を割きたいから。
勉強があまり得意ではないものの上位組に食い込むことが出来た和真。勉強合宿で睡眠時間を削ってでも宿題を進めようと必死にやっていた。デート行きたい、バレエ教室で待っている人たちがいると思って自分を奮い立たせていた。
7月中に夏休みの課題を全て終わらすことの出来た和真。それをグループラインで報告をするとお疲れ様、柚那も終わったよ。しばらくして実夢もやっと終わらせたよ。
多少、やっつけ仕事みたいなとこもありつつも今やるべきことを終えたからバレエに遊びに1ヶ月楽しもうねとハイテンションでグループ電話をして話していた。
春のように夏もどこかバレエ合宿行きたいと言う柚那ちゃん。その当時、まだ病院にいて参加する事が出来なかった実夢姉は羨ましいとずっと言っている。自分だけ参加出来なかったと。
ケガしてたからしょうがないと宥める柚那ちゃん。じゃあ夏にバレエ合宿がなかったら3人でどこか行こうよ、それで手を打つよ。
和真と柚那ちゃんはこう思った。
それを言うならば女性講師に言ってくれと。その上バレエ合宿と3人で出かけることが果たして天秤にかけることなのか。
柚那ちゃんは友達の実夢姉と出かけることにウェルカムで自分としてももっと知れる機会になるからいいと思っていた。きっと自分たちが付き合っている恋人同士だから賭けの意味も込めてだろうと何となく分かった。
柚那ちゃんは口を開いて実夢姉にこう告げた。
「夏合宿あろうがなかろうが3人で出かけよう。実夢はきっと私たちが恋人同士で自分がいるのは場違いみたいに思っているのかも知れないけどそんな事ないよ。和真君がいいなら出かけようよ。記念日とかイベントだったら断るかもだけど」
またしても決定権は和真に委ねられてオッケーをする。いつどこに出かけるのか考えていた。




