目を丸くする
時間ギリギリまで
土曜日、アウトレット内にある食べ放題のお店があってそこではお寿司、焼肉、しゃぶしゃぶ、天ぷら、中華、サラダ、スープ、デザートのお店があって開店前から行列が出来るほどの人気店になる。
訪れるのはフードファイターばかりではなく、アウトレットに来た観光客や地元の人が名物のからあげや日替りデザートを食べに来る人が多い。
開店は朝の10時からでアウトレット内にあるため、アウトレットがメンテナンスなどで休業する場合は準じて休みとなる。
実夢姉とラインを交換した和真。とりあえず簡単な挨拶と開店からでは遅いと少し早めに集合しようとメッセージを送る。
しばらくして返信が返ってきた。
「実夢姉と柚那、それぞれ連絡するの大変な上にタイムラグがあるからグループライン作ってまた招待するからまたそっちに送ってね」
その手があったか。スマホを買ったものの使いこなせているかと言われれば怪しい和真だった。
しばらくしてグループラインに招待された。その名前には笑ってしまった。カップルとそのお友達という名前には。
先程言われた通り、集合時間を送った。
柚那ちゃんと実夢姉はかわいいキャラクターのスタンプから送られてきて女の子だなと感じていた。柚那ちゃんとご飯食べにいくのはスマホを買いに行った時に家族ぐるみで行った時以来だな。
ご飯を食べた後にどこか行くか分からないため、半袖に上に羽織れるものがあればいいかなと前の日から準備をして楽しみで寝ようとしていた。だが、緊張しているのか全く寝られなかった。
翌朝、呼鈴が鳴って柚那ちゃんが迎えに来たと何故か瞬時に分かった。着替えて玄関を開けると学校でもないのにツインテールをして制服を着た柚那ちゃんがいた。今日、学校じゃないと伝えると知ってるよこの制服かわいいから着て行きたいのとニコリと笑う。
とりあえずアウトレットに向かって手を握って歩く。途中にある実夢姉を迎えに行って3人で向かうことなっている。呼鈴を鳴らしてしばらく待っていると実夢姉も制服で出てきた。
柚那ちゃんに何か話しかけて頷いている。
右手に柚那の手を握り、左手が余っているからと実夢姉が何も言わずに手を握ってきてビックリして顔を赤くする。
もうかわいすぎる、尊いと胸に抱き寄せる実夢姉。背が低いせいか余計に愛おしく思われているのだろうか。思わずこの状況に柚那ちゃんと実夢姉に両手に華だねと伝える。
「和真君、嬉しいこと言ってくれるね。でもそれは実夢にじゃなくて彼女の柚那に言ってあげな、優しくてかわいい子って言うのは十分分かっているからさ」
アウトレットに早めに行けば並ばずに済むと思っていたが考えは甘かった。気がついたら何組もの人達が並んでいて自分たちの番はいつになるのか分からないくらいだった。
待ち時間の間、和真と柚那ちゃんが出会ってからこの日までの印象強いところをピックアップして話していた。その間、ずっと両手は話さずにいた。




