時間を見つけて
尊敬の眼差し
内部進学するためのテストを終えてひと息したいと思っているのが終わった人達が口を揃えて言うセリフだった。
和真自身もその1人であり、楽しみと言えば学校に向かうスクールバスで柚那ちゃんと喋ることくらいだ。自分は楽しみがあるからいいものの、他の人はどうしているのかと気になる時もあった。
学校が終わって家に帰り、スマホを取りに帰ってバレエ教室に向かって一緒に歩いていく。学校の勉強をするだけでも大変なのに授業後にバレエの練習をしているからすごいと思う。
練習は夕方から夜遅くまでになることが多く、日によってはテッペン付近になることもあってこの中で宿題や予習、復習をしているから驚き。
忙しくて睡眠不足になり、授業中寝てしまったりバレエ教室で集中力が足りないと言われることもない。末恐ろしいと感じている。スクールバスでも授業中に寝ずに勉強していると聞こえてくる。
さすがに睡眠時間が短く、体調が大丈夫なのか気になって柚那ちゃんに聞く和真だった。
「和真君、心配してくれてありがとう。柚那ね、昔からショートスリーパーだから数時間寝れば元気になるよ」
それを聞いて驚く和真。自分も夜更かしをして日にちを超えてしまうこともたびたびあってその時はリビングのソファーで寝てしまうことがあって目覚めは決していいものてはない。休みの日だったら再び寝る日もある。
当然だが、学年が上がれば授業の内容は難しくなる。テストはその単元からしか出ないかも知れないが予備知識としてそれまでに習ったことが分からなければ解くことが出来ないものが多い。
小学校を卒業したら中学校に内部進学が内定をしている和真。その中でも特に恐れているのが数学だった。なぜ小学校の時は算数という科目なのに中学校に上がると数学と名前が変わるのか。苦手意識があるからなのか余計にそれを感じる。
ショートスリーパーだから大丈夫。そう言っていた柚那ちゃんだが勉強をしてというのはそうだがその上でバレエで見つかった改善点や発表会が近づけばそれに向けて練習にも時間を割く。
和真としてはスクールバスくらい柚那ちゃんと喋りたいと思う反面、いくらショートスリーパーといえどバス停から学校までの距離でも寝て欲しいなと気持ちが揺らいでいる。
バス停を下りて家に帰る途中、ずっとそのことを考えていて柚那ちゃんにそのことを伝えてみた。実際にどっちがいいのかと。
「柚那としては和真君と喋っている方がいいかな。確かにやることが多くて寝ようとしたら登校時間になることもある。だからこそ弟のようにかわいい和真君と一緒に喋りたいのが願いかな」
毎日会っているのに抱きついて頭を撫でていてまるでマスコットキャラクターになったような気でいた。
柚那ちゃんがそれを願い、かわいい笑顔が見られるのならばいいがもし疲れて電車やバスの中でうたた寝することがあれば目的地まで起こさずにいようと心の中に決めた。




