春の合宿
旅先
翌週に春分の日から1週間、愛媛県宇和島市と決定した。
初の九州以外に出かけられるとテンションが上がっていたが女の子たちはどこそれ?どうやって行くのといった表情を見せていてそれは柚那ちゃんも例外ではなく、帰りに聞かれた。
どうやってと言われても工程表みたいなものをもらっていないから何とも言えないが、電車でまず初めて出会った別府市や臼杵市からフェリーに乗って豊後水道を渡って対岸にあたる愛媛県八幡浜市に行くのが普通のルートかな。
柚那ちゃんにそう伝えると講師がどうやって行くか頭を悩ませていて全員に宿題を課されていたから今度の練習の時に伝えておくねと笑顔で言う。
知らないところでそのような話をしているとはつゆ知らず、トイレに行っている間にそのような話題が出たのかとそこまでは分からない。
最初は柚那ちゃんの付き添いで行っていた和真だが、いつしか体調が悪くない日やよほどの用事がない限りバレエ教室に来て欲しいと練習をする訳でもないのになぜか逆オファーさせるという出来事が起きた。この時、ふと思ったことがある。
きっと生きる地図、歩く時刻表として一緒に付いて来て欲しいと合宿に参加が認められたのかと考えに至る。それでも自分を必要としてくれていることに関して嬉しいし、柚那ちゃんを始め、来て欲しいと思ってもらえるならばいいのかな。
出発当日を迎え、全員で佐伯駅に集合して別府駅に着いて今度バスに乗り換えて数10分乗って港に着く。そして船酔いする子は酔い止めを飲み、いざ船に乗り込む。
約3時間かけて船は対岸の愛媛県八幡浜港に着いて今度は電車で目的地でもある宇和島駅に向かって約1時間ほど揺られる。
女性講師も含めて女の子たちは疲れたような感じで電車が好きな和真以外、全員寝ていた。駅に着く直前、全員起こさなくてはならず大変だった。
何とか全員、駅で降りることが出来て借りる予定の旅館に辿り着くことが出来た。当然だが、和真の部屋には誰もおらず1人部屋に割り当てられた。
柚那ちゃんと一緒じゃないのは寂しいけど、親しき仲にも礼儀ありという言葉があるように気を遣うし、それこそ実夢さんや他の子はほぼ何も知らないに等しいからこっちの方が気が楽かなと。
食事の時間、全員が大部屋に集合して晩御飯を食べていた。養殖真鯛の炊き込みご飯やお刺身、鯛のからあげやあら汁など鯛尽くしで食事代、宿泊費はいくらなのか気になってならなかった。
和真が先にお風呂入って女の子たちが上がってくるのを待っていた。だが、いつになっても上がってこない。親睦を深めるためにトランプでもしようかと思っていると布団に入ると眠りについていた。明日からどんな感じになるのかな。




