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憧れの幼馴染  作者: 佐々蔵翔人
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輝く瞳

何か違う

気がつけばバレエ団体が大分にやってくる日が来た。初めて柚那ゆずなちゃんと外にお出かけをする。これを世の中ではデートというのならばきっとそれに該当するのだろう。


毎日のようにスクールバスで会って学校でも会っている。ましてや家が隣でいつでも会えるというような環境なのに胸がドキドキするし、緊張する。とりあえず柚那ゆずなちゃんと出かけるからには恥をかかせないようにしなくては、その事だけを考えていた。


天気は曇り、暑くも寒くもなく過ごしやすくて何を着ていこうかと白い半袖のシャツに水色のカーディガンを羽織っていつ家を出ようかとソワソワしていた。その時だった。家の呼鈴が鳴った。


扉を開けるとそこには柚那ゆずなちゃんがいた。

「迎えに来たよ。自由席だから早く行かないといい席取られちゃうよ、早く」

何故か急かされてそのまま家を出た。


いつも見ている柚那ゆずなちゃんだが、いつもとどこか違うような気がする。いつもワンピースやトップスにミニスカート姿が多いがこの日は浴衣を着ている。淡い黄緑色がとてもかわいい。


バスを乗り継いで現地に着き、チケットを見せて入場をする。売店があり、ポップコーンと和真かずまはオレンジジュース、柚那ゆずなちゃんはりんごジュースとそれぞれ注文をしてお金を払ってもらう。


最前列のど真ん中に陣取って開演時間まで喋ってようと柚那ゆずなちゃんの方から声をかけてくれた。

とはいえ、改めて何を話せばいいのか分からずにいた。


和真君かずまくんの着ている水色のカーディガンかわいいね。似合っているよ。ホントにタダで公演を見てもいいの?」


「この前、スゴい嬉しそうにしてたから誘ってよかったと思ったよ。今日は淡い黄緑の浴衣、スゴい似合っててかわいい。まるで現代のかぐや姫みたいだよ」


「かぐや姫って大袈裟だよ。そう言ってくれたの初めてだからスゴく嬉しい。ホントにかぐや姫だったら月に帰っちゃうけどね」

月に帰ってもらっては困る。だけどそれくらい柚那ちゃんの浴衣姿はかわいすぎてその表現がピッタリだと思って出た言葉だ。


開演時間になり、灯りが消えて緞帳どんちょうが開く。軽く挨拶あいさつを終え、生でバレエを見る。何がスゴいと言われたら何も分からないがこれが世界で活躍する人達の演技なのかと素人でも感動するほどだった。


隣にいる柚那ゆずなちゃんを見ると目を輝かして全く瞬きもしないくらい真剣に観ていた。目を動かさずジュースやポップコーンを手で探している。


和真かずまも真剣に観ているがジュースを飲んでポップコーンを取ろうとしているとポップコーンの中で手が触れあった。その時に初めて和真かずまの顔を見てニコリと笑う柚那ゆずなちゃん。そして再び目線はバレエの方を向いていた。


数時間のはずの公演が終わり、気がついたらまたバレエを見に行ける機会があればなと感じるほどトリコになっていた和真だった。


帰りのバスで和真かずま柚那ゆずなちゃんに公演中に手が触れちゃってゴメンね。何かシチュエーションがマンガやドラマであるような感じになっちゃったけどまさかそれになるとは思わなかった。


すると柚那ゆずなちゃんはこう答えた。

柚那ゆずなは嬉しかったよ。手が触れただけで顔が赤くなるってかわいい。よかったら手を繋いで帰ろう。お礼というお礼じゃないけどさ」


嬉しいけど恥ずかしい気持ちだけど手を握ってバス停から家に帰って行った。バス停から家までたった数メートルだが、とても嬉しかった。

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