話し合い
せっかくなら
結婚式の日取りと誰を呼ぶのかを話していた。
柚那ちゃんと結婚式を挙げようとしていた時にある程度調べたが、改めて何人呼ぶかなどを計算をしていた。
かかる費用の内訳としては料理代、会場費、装花代、衣装代、印刷物、写真・映像、演出費、引出物などがある。単純計算だが、これの総額に招待する人数分になるのかなと考えた。
ウェディングドレスに関しては全くの皆無の和真だから着たいなと思うのがあればそれでいいはと思っているがちゃんと考えてと叱られてしまう。
誰を呼ぶかと考えた時、何を重きを置くかとした時に食事や引出物をよくしようと和真と実夢がそれぞれ意見が合致してそれぞれ紙に呼ぶ人の候補を書いていると偶然にも柚那ちゃんの時に呼ぼうとしていた人と全く同じだった。
結婚式は翌年のひな祭りに決めてその日は柚那ちゃんの誕生日でもあって本来挙げるはずだった柚那ちゃんの遺影を持ち込もう。柚那ちゃんにも祝ってもらえたらなという気持ちだった。
流す映像だが、普通ならば新郎新婦になる男女がどこか行った場所の写真や映像を使うことが多い。だが、ここでも和真と実夢は話し合った。
実夢からその理由をこう述べた。
「ホントなら和真君は実夢ではなくて柚那と結婚するはずだった。それをなかったことにして実夢との写真や映像だけ使うのは違うと思うし、柚那もどうなのかなってきっと天国からそう思うはずだよ。だから使うのは和真君と柚那、実夢の3人の写真を使いたい」
1度は事故で結婚式を挙げることが出来なかった和真。異例の出来事で可能なのか分からずにいて予約をしていた式場に確認をすることにした。
新郎新婦の意向に沿うのでという答えだった。
前撮りを予約するためにネットで検索をしていると柚那ちゃんの時と同じクリスマスイブの夕方しか空いていなかった。前撮りは柚那ちゃんの時と同じにしたいという実夢の要望だった。
この時も柚那ちゃんの遺影を持って参加する。
それぞれ着物に着替えて黄昏のスカイツリーの前で写真を撮って夜には柚那ちゃんと行った高級フレンチを実夢と食べに行く。
泊まるホテルも柚那ちゃんと泊まったレインボーブリッジが見渡せるホテルに泊まることにした。そして実夢は部屋に入るなり話し出した。
「柚那がこの日見てきた景色はこのような感じだったのか。実夢もどんな感じだったのか知りたくて全く同じようにしてもらったよ」
そう柚那ちゃんの遺影に話しかけながら前はずっと話していて夜景を見ることは出来なかったが、柚那ちゃんの遺影と共にレインボーブリッジの夜景を眺めていた。
結婚式前日にまた同じことが起きてはならないと有給を取って張り付くように実夢の傍にいた和真だった。そして結婚式当日を迎える。
チャペルでは柚那ちゃんのご家族に遺影を預けて見てもらうようにして、式場に移ってからは和真と実夢の間に柚那ちゃんの遺影を置いていた。
当然ながら映像には和真と実夢だけでなくて柚那ちゃんの写真もあって会場がザワついたがそれについては後でいくらでも話すつもりでいた、このような形でも結婚式に参加したことになるのかなと和真は考えていた。
結婚式を終えて柚那ちゃんの家族と会う。
「このような形とはいえど、愛娘を結婚式に出席させてくれてありがとう。天国から2人の結婚を祝福しているはず」
その言葉を聞いて今まで以上に実夢のために頑張っていこうと誓った。




