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99 フラエル祭①


 パンッ、パンッと何かが破裂する音が聞こえる。

 何だあ? 瞼が重い。眠い。夜更かししちゃったからかな。

 久し振りに昨日ドラゴン大図鑑を読んだら夢中になりすぎて、読み終わった時は既に今日だった。ヤバいと思ってすぐ寝たけど、やっぱり朝起きるのが辛くなるよね。


「バニアちゃん起きてるよね? もう出て来られる?」


 タキガワさんの声だ。眠いからもう少し寝たいかなあ。

 それにしてもさっきからパンパンうるさいな。祭りかっての。


「もう行かないとミレイユちゃんとバンライちゃん待たせちゃうよ?」


 ミレイユとバンライを待たせる……はっ! 本当に今日お祭りじゃん!

 思い出した、今日はフラエル祭。エルバニア初代国王の誕生祭。

 私は3日前からミレイユとバンライに3人で祭りを楽しもうって約束している。

 うわ大変だ話を持ち掛けた本人が待ち合わせに大遅刻なんて、私だったら絶対怒る。ミレイユだったら超怒る。バンライは許してくれそうだけどミレイユは怖い。


「急げえええええええええええええ!」


 パジャマからお出掛け用の服に着替えて、鞄の中身をチェック。はいオッケー。

 寝癖を直したら準備は終わり。宿屋を出てダッシュダッシュの猛ダッシュ。

 待ち合わせ場所に一直線……いやダメだ間違えた。

 最初に向かうべきはドラゴン預かり所だ。クリスタを迎えに行かないと。


「うおおおおおおおおおおおおおお!」


 宿屋に入れないからドラゴン預かり所に預けているわけだけど、そろそろ持ちドラも入れる大きな宿に宿泊先を変えようかな。難易度の高い仕事も出来るようになったし、報酬額が高いからお金はかなり稼げている。ずっと大きな宿に泊まっても大丈夫なはずだ。クリスタと毎日離れるのは寂しいし、明日にでも仲間に相談してみよう。


 ドラゴン預かり所でクリスタと合流! 待ち合わせ場所まで飛んで行く!

 速い速い、これならミレイユに怒られずに済むんじゃなかろうか。


「おーいミレイユ、バンライ、お待たせ!」


「遅いですわ! 遅すぎですわ! 大遅刻ですわ!」


 ……そりゃ怒られるよ。だって宿屋出た時点で遅刻確定してるんだもん。


「遅刻するなんて珍しいねバニアちゃん」


「ごめん。夜遅くまで本読んでたから寝坊しちゃった。本当にごめんね」


「大丈夫だよ。待ち合わせ時間17分オーバー程度だもん。マヤさんは平気で30分遅れることあるし、それに比べたらマシだよ。因みにマヤさんの最長記録は2時間ね」


 うーん、遅刻は遅刻だからなあ。じゃあ良かったとは思えない。

 ていうかマヤさんってそんなに遅刻多いんだ。

 2時間待たされたらミレイユめっちゃ怒りそう。

 テリーヌさんも怒る派かな。バンライは苦笑いで済ましそう。


「まったく、17分も待ったから暇でしたわ。次から気を付けなさい」

「ふふ」


 うう、本当にごめんよお。……何でバンライ吹き出してんの。


「ミレイユちゃんさっきまでバニアちゃんのことすっごい心配してたんだよ。バニアちゃんが遅刻するの初めてだし、何か事件に巻き込まれたんじゃないかって。珍しいくらい慌てていたんだから」


「ば、バンライ! 余計なこと言わない!」


 遅刻して申し訳ないけど心配してくれたのは嬉しく思っちゃう。


「ぷっ、それに今日が楽しみすぎて眠れなかったんだよミレイユちゃん。待ち合わせ時間の1時間前にはここに来たしさ。早めに来ちゃったのは私もなんだけどね」


「余計なこと言ーわーなーい!」


 あ、ミレイユがバンライの背後から手を回して両頬を引っ張った。

 なんだか、以前よりもっと仲良くなったような、元々少なかった遠慮がなくなったような気がする。フォレスディアの1件で仲がさらに深まったのかもしれない。2人の持ちドラのウィンドドラゴン、ウィンとドーラは満足そうに2人を眺めている。


「遅刻した私が言うのもおかしいけど早く行こう! 遅れた分楽しもうよ!」


「おっとそうですわ。朝食を食べていませんしお腹もペコペコです。お腹空きすぎてぽんぽんぺいんですわ。最初は食べ物のお店を回りましょう。レッツラゴーですわ!」


 ぽんぽんぺいんって何さあ? もはや平常運転で安心するな。

 さて、食べ物のお店って言っても沢山ある。火神楽祭りで食べたたこ焼きもあるし、わたあめも焼きそばもその他色々あって把握しきれない。食べ物だけじゃなくてお店が数え切れない程に並んでて、人間と持ちドラも普段より多く歩いている。


 これがフラエル祭かあ。フラエル祭に来たのは初めてだから楽しみだ。

 祭りはザンカコウの火神楽祭りで経験済みだけど、あっちとは祭りの規模が違う。ザンカコウの10倍くらいは広いからねエルバニア。あっちにはなかった店もあるだろう。


 ずっと来てみたかったっけ。

 ママが生きていた頃は止められたから行かなかったし、去年まではママの怒る顔が頭に浮かんで行けなかった。……ママは、どうしてフラエル祭に行っちゃダメなんて言ったんだろう。普通の日に町へ行くのは止めなかったのに。何か、理由があるのかな。もし理由があったとしたらごめんなさい。私は友達と楽しみたいんだ。












 日常回が祭りで最後になりそうです。


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