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幽霊

作者: すみ いちろ

幽霊がいる


いつもバスのフロントガラスに顔だけのっけてる


幽霊がいる


雨の日バス停で傘もささずに綺麗な足だけ見せて歩いてる


幽霊がいる


頭の上に蛇をのっけて爺さんおぶって歩く俺がいる


幽霊がいる


お盆の日は川沿いゾロゾロ連れ立って歩く幽霊さん御一行


幽霊がいる


姪っ子が二階の窓から入って来た女の子と遊んでる


幽霊がいる


いつも階段の陰に隠れている黒くて重い影


幽霊がいる


用を済ませてトイレの扉を開けると落ち武者が立っていた


幽霊がいる


トイレで悩んで扉を開けるとご先祖様が立っていた


幽霊がいる


グロい画像ばっか見てたら体が動かなくなった


幽霊がいる


誰もいないのに二階で子どもの遊ぶ声と音がする


幽霊がいる


仮眠室にいたら激しくノックするので開けたら誰もいなかった


幽霊がいる


病室の手動式の扉が目の前で勝手に開いたり閉まったりする


幽霊がいる


ロッカーの扉を開けたら女の子が体育座りをしていて「迷子になった」と言う


幽霊がいる


二階の爺さん死んで三階の生きてる爺さんの部屋へ行く

「知らんオッサンがゴソゴソしとる!!」生きた爺さんビビらせる


幽霊がいる…


家の中を黒い影が飛び回る…


幽霊がいる…

幽霊がいる…


今日も体が重い…


何もやる気がおきない…


死んだ人の想いか

生きてる人の生き霊か…


体が重い…


南無阿弥陀仏…


唱えても


消えてくれない…


マントラを


唱えても


消えてくれない…


塩をまいても


消えてくれない…


今日も彼らは


何を想うのか…


今日も彼らは


何をするのか…


何がしたい…?


呼んでも返事がない…


ただいるだけ


それならオレも変わらない…


連れていかれても困るんだが…


何故かそこにいる彼彼女ら…


想えば想うほど


偲べば偲ぶほど


分からなくなる…


この世とはそんなに大事な場所なのか?


大事な場所なんだろう…


成仏したくない…



死んだ生身の人間が…


今日も文字を打つ


今日もなろうに現れる


鏡をみると


やさくれた顔に伸び放題の髭


落ち武者のような頭


だがハゲてはいない…


本当だ


首も繋がっている…




何年も行っていない墓参りに行かねばならぬ気もする…



おいでおいでと言われてもまだ行けぬ…




しかし書いた詩は燃えて消えてなくなるのだろう…




いつか死ぬ時に



そのころにまで心に遺る詩がいかほどにあろうか?



いずれ消えてゆくものに心を尽くす



今生きてる人に伝えようとする



忘れられてもいいじゃないか…



ほとんど忘れてるだろ?



覚えていてもらえなくてもいい



けれど書くことはやめられなかった…



なぜだろう…



新しい言葉が生まれて



次次と消えてゆく…



永遠にも今さえ刻まれない言葉を刻もうとするのは…



自分の記憶に刻んでいるんだろうか…



どこかで思い出すために



自分自身の何かに刻もうとしてるんだろうか…



なぜかも分からず躍起になってやっている



遊びは本気に本気の遊び



支えているものの正体を



確かめようと生きている…



それが何かを知るまでは死なずに生きる今日がある



見えない何かを見るために



見せてはくれない何かを見るために…



たったこれっぽっちの薄っぺらい言葉を




自分自身の荼毘に付す…




墓場まで持っていく

 












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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも気になることがあります。 幽霊が本当にいるとして、もし日本が沈没したらどうなるか? もし地球が爆発四散したらどうなるのか? 幽霊はどうするのか? すっごく気になるんですよね。 ずれた…
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