ああ、痛い
心をけがした
いたかった
流れる血を止めた
きつく、きつくきつくしばって
こぼれないように
ぬらさないように
きつくきつくきつく
傷ついてないフリをするために
「笑えるよねー」
なんて、治ったフリをするために
へらへら笑って
気づかないフリをするために
ある時、その傷を優しく撫でられて温められて
気づくのだ
あまりにきつく縛りつけ続けたものだから
あまりに強く押さえつけ続けたものだから
すっかり痺れて痛みがわからなくなっていたことを
すっかり「気づかないフリ」が板についていたことを
まだその傷が少しだけ痛むことを
