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赤い月の下で  作者: 黒猫館長
第一章「白い一室での物語」
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第50話「謝罪」

 あの白い一室に向かうとやはり彼女はそこにいた。透明な壁に隔てられて俺たちはまた再会する。

「…先週は悪かったな。ちょっと変に気が立ってて当たってしまった。本当にごめん。」

「ちがうよ。ボクが調子に乗ったことを言ったせいだ。」

「まあそれはあるかもしれないけど、それでも対応が悪かったのは俺の責任だ。」

「それはそうだけど、君への思いやりが足りなかったのはボクの責任だよ。」

「もうしないから許してくれ。」

「多分またやるけど許してね。」

 ため息をついて床に座った。専用座布団が最近置かれているのだが、やっぱり監視されていてよくこうして床に座っていることがばれているのだろうな。

「やーもう千明君こないんじゃないかってひやひやしたよ。」

「来るなって言われたら来ないがな。ここまで来ておいていきなりいなくなるってのはさすがにないだろ。もしそうなったら事故とか事件に巻き込まれたと思ってくれ。」

「千明君の場合本当にそういうことありそうで怖いなー。」

「実際ここに来た理由も事故だしな。」

「もっと気を付けなよ。急にいなくなられたらボク泣いちゃうからな。」

「へいへい。」

 つい最近殴り合いの喧嘩したりしたので、事件に巻き込まれたというよりは起こしてしまったともいえるが、黙っておこう。

「ねえ千明君、仲直りってどうすればいいのかな?」

「なんで?」

「うーん喧嘩したのは初めてだからどうすればいいのかわからなくて。」

「別に喧嘩はしてないだろ。俺が一方的に文句言っただけだ。」

「それでもさ。謝るだけでいいのかなって…ほら人間関係の先輩として助言をおくれよ。」

「って言っても俺ボッチだしな。それにこうしてちゃんと謝れたのも初めてかもしれない。」

「え何?昔こういうことあったの?」

「まあそりゃな。」

「じゃあ教えて教えて!参考までに聞きたいから。」

「えー…いやまあ別にいいけどな。…小学校の時仲のいい女生徒がいてな、バレンタインにチョコもらってお返しをしようとなったんだ。相手に放課後に公園に来てほしいって耳打ちしてそこでこっそり渡そうと思ってたんだが、どうもちゃんと伝わっていなかったらしくてな。相手はそこに来なかった。俺もちょっと傷ついてガキだったせいかそのあと話せなくてさそれから中学もずっと話さずじまい。で高校に進学して接点も消えたわけだ。」

「へーってことはその人が千明君の初恋?」

「んーそーかもなーわからんけど。でもそいつ中学で彼氏作ってたし別にそういうわけでもなかったかもな。そんなもんかって思った程度だった。あ、別に相手が悪いってわけでもないんだよ。もしかしたら約束が伝わってなかったかもって俺が公園行く前時の相手の行動でちょっと思ってたし、でもほかの人間にからかわれたくなくてその間ちょっと避けてたからな。それこそ相手への配慮ができてなかった分俺が悪いわけだ。」

「ほうほう。それが千明君の失恋話と。」

「マーそーおもっといていいよ。」

 そのあとどう謝ろうか考えはしたけれど結局実行には移せなかったな。きっと次の日にでもしっかり釈明しておけばよかったろうに。

「じゃあちゃんと謝れるようになっただけ大人になったわけだね。えらいえらい。」

「お前はもうちょっと成長してくれないか?その態度がたまに癇に障るんだよ。」

「あ、ごめんなさい。…。」

「いや、そこまで無口になられても困るから。」

「…じゃあどうすればいいのさ?」

「普通に接すればいいんだよ。おちゃらけるんでもなく無理に隠すんでもなく、自然に話せば楽だろう?」

「それができたら…苦労しませんよ。」

「なんだ?」

「何でもない。それで、結局どうすれば仲直りなの?」

「もうしてるだろ?別い相手を敬遠するわけでもなくしっかり面向かって話してる。それが仲直りでよかろう。」

「そんな曖昧でいいのかな?」

「もともと関係性なんて曖昧だろう。それともなんだ?まだ俺に何かしてほしいのか?」

「そうだなあ。今日はちゃんと歌うたってほしいな。英語の練習がてら「アメージンググレイス」なんてどうかな?」

「なんとなく曲調はわかるけど、歌詞がな…。」

「なら一緒に練習しよ!」

「はいはい。わかったよ。」

 仲の良くなる悪くなるは正直よくわからない。俺にとって嫌いなものが好きになるなんてそうないだろうし逆に好きなものが嫌いになるなんてそうそうないのだ。多分あるラインを踏まない限りどんなに喧嘩したとしても数日したら忘れるだろう。だが喧嘩しないに越したことはない。喧嘩をしないように二人で楽しく笑いあえるようにすることこそが本当の仲直りではないだろうか?

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