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赤い月の下で  作者: 黒猫館長
第一章「白い一室での物語」
22/55

第22話「梅雨の変貌」

 少し前まで話すようになり始めていたクラスメイトと今はもう何の交流もない。今はというと昼休みは勉強、放課後はパソコン室で調べ物をしてる。やっと車いすを抜け出し、教室にも行けるようになったというのに前以上にに無口になり、目つきが悪くなったことでもはや彼に話しかけようとする者はいなくなった。一部の人間は腫物のように避けてくる。好都合だ。この数週、調べ物をしてはノートに殴り書き、そのほかの時間は勉強にあてている。汚い字で書かれている一番上の文章は「免疫不全動物の免疫の獲得について」というものだった。

「胸腺の欠損による免疫不全…突然変異…増殖…。」

 言葉は小さくともはっきりとつぶやかれ不気味さを増している。気持ちが悪い、目障りだと周りの声さえももう届かない。

「そう簡単に諦められるかよ。」

 唯一の救いはだれ一人彼を邪魔する勇気がなかったことだろう。


 雨の降り続く季節になった。毎日がじめじめとして暗く心がかげるようにも思えるが、咲は内心胸が高鳴っていた。最近はラノベだけでなく漫画も読むようになったのだが、今日千明がある漫画の最終回を持ってきてくれるのだ。オチは予想した、だが本当にどうなるかはわからない。予想通りでもそうでなくても私はそれを楽しむことができるだろう。早く結末が知りたい。

「千明君がそんなに待ち遠しいの?」

「ん。そう。」

 本音を口にする。もし相手が鶴田さんではなく、ほかの工藤先生とかであったら即座に否定していただろう。千明以上に親しい人物であるがゆえにいえることだった。

「そろそろクライマックスだから。」

「あー、あのマンガ面白かったよね!読み終わったら私にも貸してくれないかな?」

「ん!」

 千明に借りている本を鶴田にまた貸ししていることは秘密だ。好きなキャラについて語り合えるほどであり鶴田ももはや立派なマンガ好きであるといえるだろう。ちなみに咲は無口でクールキャラ、鶴田はからかいがいのありそうな反応のいいキャラが好きらしい。千明が来るのは14時という約束だ。早く時計が回ってほしいと心の中で願うのだった。

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