魔物のアピール
〜法、〜術は【】。スキル〜には『』をつけて区別しています。
神の権能にも【】をつけています
「誰かこの状況を説明して欲しいんだけど。」
仰向けで腹を晒している部下達に声をかける。
「では、私が説明しま!?」
「ガアアアアァァ!」
真っ先に、共工になったスソンがこっちに来ようとするがデュポンのストルムが嵐のブレスでスソンを吹っ飛ばした。
「スソンに代わり私ガハァ!?」
「「「セイッ!」」」
ブレスの吐き終わりの隙をついてアジ・ダ・ハーカのフスがストルムの顎に横合から拳を叩き込む。
吹き飛ぶストルム。その時フスの足元の地面が隆起しティアマトのメールが飛び出しフスを突き上げる
「グラオォア!」
(殺った!)
「お主の不意打ちを警戒しておらぬと思うたか!」
「隙を見せたな!」
「お返しだ。喝!」
メールの攻撃を予測していたフスは自ら上に跳び衝撃を殺し、反撃とばかりに自らの体を貫いている龍角に渾身の一撃を叩き込む。
高速で墜落していくメール。地面と衝突すると思われたが、まるで水に入る様にドプンと地中に姿を消す。
「グオオオン!」
(『地槍軍!』)
メールの咆哮が聞こえるとメールが沈んだ地面からフス目掛け地面から柱程の大きさの岩の槍が大量に伸びていく。
「「「この程度で我を殺れると思うてか!?」」」
「「「【呪術・血身猛龍】!」」」
フスの胴体に開いた穴から垂れる血が巨大な多頭の龍頭になり、石槍軍とぶつかり合う。
「ボオオオォォン」
(隙ありー)
「グハァ!?」
「ガッ!?」
「ゴフ!?」
「グオオオ!?」
クチナワのカンパナが放つ『咆撃』を喰らい吹っ飛ぶフス。地中にいたメールは突如生えてきた植物群の根に拘束される。
「「「不意打ちとは卑怯な!」」」
「お前が言うでないわ!」
「貴方もですよ!」
吹っ飛んできたフスに、ストルムが尾をぶつける寸前で、一番初めに吹き飛ぶされたスソンが、大量の土を纏い巨大化した腕でストルムの腹を打ち抜いた。
「油断していなければ、この程度の攻撃効かぬわ!」
ストルムは尾で周囲を薙ぎ払うが、カウンターを警戒して離れていたフスにスソン。
フスの腹に空いていた穴はふざけた再生能力ですでに塞がっていた。
そこに根の拘束から抜け出したメールが合流し、離れた場所からカンパナが様子を見ている。
動けば攻撃されるのを全員が理解しているからか睨み合いが続く。
「あいつらなんで戦ってんの?」
「オオ〜ン」
(主とロキ様に自分の事をアピールしてるんだよ。)
レビィアタンのディアンが教えてくれた。
「アピール?なんで戦うことがアピールなんだ。」
「魔物はね〜、力こそ全てって言う感じだから〜戦って力を示しているんだよ〜。」
爺さんの説明でそんなものかと思い、納得する。
「お前らは戦わないのか?」
戦闘に参加していないコークン、ディアン、タシュ、クシル、ドゥハ、クリズに問う。
「乗り遅れました。」
「オオン〜」
(痛いのは苦手だから遠慮する)
「小生の毒はじゃれあいには不向きゆえ静観する所存。」
「シャー」
(もしも怪我をしたら治す者が必要だ。僕はそのために待機しているよ。)
「イイィィン」
(そんなことより雨降らしていい?)
「戦闘よりマスターに事情を説明するのが最優先かと思い不参加です。」
それぞれの性格が表れた返事が返ってくる。
「オルムンの子達は個性的な子が多いね〜」
「オルムン?」
「君の名前だろ〜?」
「俺の名前はオルムなんだけど…まあいいか。それはそうとクリズ、説明よろしく。」
「承知しました。先ほどの私どもの姿は、降臨したロキ様に敵意がないことを表す為に腹を見せていたのです。」
「腹を見せることは弱点を相手に晒し、自分は決っして貴方に害を与えないし逆らわないと行動で示したのです。」
「さっきの光景はそう言うことだったのか。」
「それにしてもあいつら、いつまで戦ってんだろうなぁ。」
今もなお壮絶な戦いを繰り広げている5人に呆れた
声がでる
「オルムンが止めるまで続けそうだね〜。」
「マスターが一声掛ければ収まるかと思います。」
2人の言葉にその通りだと思い声を掛けようと思ったが、身内同士の戦いはあまり褒められたものではないので釘を刺しておくか。
「『赤雷の槍』」
スキルの雷神を発動させ5人のちょうど真ん中の地点に人間大の赤雷の槍を落とす。
「ィィン?」
(あれ、ヤバくない?)
雷を扱うことのできるドゥハが赤雷の槍に込められた力に危機感を抱く。
「オルムンそれは防がないとやばいと思うな〜【終焉の壁】」
爺さんが戦いを見ていた全員の前に半透明の壁を展開した。その直後、赤雷の槍が弾けた。
その衝撃はダンジョンを揺るがす程のものだった。衝撃をもろに受けた5人は宙を舞った後に地面に叩きつけられた。
爺さんが壁を展開していた場所以外は全て黒く焦げていた。
「僕の孫はおっかないな〜。決して傷つくはずのないダンジョンを焦がすなんて〜。」
俺は加減を間違えたらしい。