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本来のアオとサクラ

 絡まるモヤモヤは、どうやら解決できそうです。


♯♯ 神界 ゴルチル家 ♯♯


 ロサイト、ルバイルと話した後、アメシスが自室に入ると、ユリが満面の笑みで迎えた。


【出来上がったのね♪】


【ええ。ルバイル様は本当に素晴らしい大神様ですね】


【またキラキラしてる♪】


【揶揄わないでください】


【ルリと妹達の幸せの為ですものね】


【そうですね。

 あとは、良い方向に、と願うばかりです。

 せっかく、ルリの夢が叶ったのですから】


【そうね……でも、ルリは覚えているのかしら?

 とても小さい頃の事なのよ?

 それに、全てアオ様が考えた(シナリオ)よ?】


【え?】


【また気づいてなかったの?

 溺愛も程々にしないと、ルリに嫌われるわよ?】


【それは……努力します】


【頑張ってね♪ アメシス様♪】


【アオ様なら……ルリが忘れてしまった事でも、拾知や共心で知り得るのでしょうね……】


【悔しいの?】


【いえ……つい感情的になってしまったりは、どうしてもしてしまうのですが……大神様として尊敬しておりますよ】


【だったら、もう少し優しくねっ♪】


【はい。気をつけます】


【アオイの本当のお父様がご自身のお身体を素材にして生み出したのだから、兄弟みたいな存在でしょう?】


【そう考えると、最初から身内なのですね……】


【でしょ? だからルリを取られたなんて思わないで、ヒスイ様に接するみたいに優しくなさいな】


【そうですね……確かに、そうですよね。

 私もルリと同じように弟妹が増えたのでしたね。

 アオ様も身内……お父様が生み出した弟……確かに、その通りですね!】


【そもそも親戚なんだし~、これからは仲良くしてねっ♪

 サクラ様もアオ様と同じだから、ミモザちゃんとアンズちゃんも娘として受け入れてねっ♪

 みんな、そもそも身内なのよ♪】


【あ……その三人も、そうですよね!♪】



 うん♪ アオイのキラキラが戻ったわ♪

 やっと飲み込めたのね♪


 ルリに外方向かれたりなんかしたら

 再起不能になるの目に見えてるんだから、

 こうして私が軌道修正しないといけないのね。


 困った父親だけど……可愛いわよねっ♪




♯♯ アオの屋敷 ♯♯


【お~い、アオ。ルリは中か?】


(始祖様、お疲れのご様子ですね。

 どうかしましたか?)


【出来上がったから、明日、実行するんだと】


(へろへろですね。

 任せっきりで、すみません。

 酒倉に行きましょう。防音も完璧ですので)

コバルトの手を取り、曲空。



――醍岑浄の中。


【まだ閻魔達は飲んでいるのか……】


(構いませんよ。

 それに、吹くのは回復の曲ですから、邪魔にはならないでしょう)


 複製にルリが入り、二重奏が流れだした。


【ルリもどんどん上手くなるな】


(始祖様からお褒め頂けるとは、嬉しい限りで御座います)


【素直で良い子孫だな】


(まるで他に良い子孫が居ないような仰りようですね)


【素直でない代表が何か言ってるな】


(そうですか)


【うっ……恐ろしい反応だな……】


(常々感謝していますよ。今回の事も)


【怖いから、そんな事なんて言わないでくれ】


(素直に言うと、こうなんですね)


(アオ兄♪ 見~っけ♪)三重奏になる。


(サクラも、ありがとう)


(俺、始祖様で遊んでただけ~♪)


【あ、そうか……】


(どうしたんですか?)(ねぇ?)


【さっき、ミモザとアンズが楽しそうにジャレていたから、まだ声を掛けていないんだがな。

 お前ら、元々は女の子だったんだよな。

 あの二人は、本来のお前らなんだなぁ】


(そんな事を思いついたんですか……)

(なんか変な感じ~)


(まぁ、だからこそ拒絶は有り得なかったんですけどね。俺とサクラですから。

 受け入れても、拒絶しても感情が暴走すると言われて、扱いには本当に困りましたよ)


【それなのに、あんな事をするから、危うく暴走する所だっただろ】


(あんな事って……まさか見ていたんですか?)


【睨むなよぉ。相談しようと行ったら、真っ最中だっただけだよ】


(相談とは?)


【だから睨むなって!

 サクラが解決してくれたよ】


(ルリ姉がアンズ達と曲空したのと、俺が始祖様 掌握で連れてったの、同時~)


(そうか。だからサクラの気を感じたのか)


(アオ兄の『見るな!』が伝わったから~)


(色々ありがとう、サクラ)


(えへ~♪

 ね、アンズ、すぐ暴走しそぉだったのに、どぉしてミモザは平気だったの?)


【アオとサクラの経験の差だろうな。

 お前らくらいの年齢だと100年近くの差は大きい。それだけだろうよ】


(それでも暴走しそうになって私を求めたのだがな。

 それだけで落ち着いたから、アンズも、そうしようかと思案していた)


(ルリ……やめてね)(ねぇねぇどゆこと?)

(サクラは知らなくていいからね)(ふぅん)


【随分と回復したから、ミモザとアンズに伝えたら、帰って寝る。

 アオ、ルリ、サクラ。ありがとな】


(神様も寝るの? 身体ないのに?)


【サクラも今回の事で分かったろ?

 魂には器が有るんだよ。

 身体が無い代わりに、この器というか殻というか、そんなのが疲れるんだ。

 だから時には眠らないと、弱ってしまうんだよ。

 ルリは解るだろ?】


(確かに。そうですね。

 この身体はアオの複製ですので、私が動けばアオが疲れるだけ。

 だからと言って、眠らずにずっと居られはしない。

 総合的に能力が低下してしまう。

 それと同じなのですね?)


【全く同じなんだよ。

 さてと、全ては明日だ。

 大きな術だからな。しっかり休んでくれ。

 笛、ありがとな】


 コバルトは、礼をしている3人に、爽やかに微笑んで去った。



(俺も帰る~♪ また明日ね~♪)曲空♪



(皆に気を遣われてしまっているな)


(そうだね。俺が不安定だからだろうね)


(100年の経験の差は大きい、か……)


(そうだけど、もう姉弟だとは思っていないからね)


(思っていなくても甘えるのだな?)


(甘えるよ。ルリも俺に甘えてね)


(持ちつ持たれつ、か……いいだろう)


(うん。凭れ合いたいんだ。

 それで、支え合いたいんだよ)


(凭れ合い、支え合う。ふむ。

 では、部屋に戻ろう)


(ルリ?『ふむ』だけ?)


(あれこれ言わすな)掴んで曲空。



♯♯♯



【お前らには魂は無い。だからこその器だ。

 しかし、何故だか感情が有る。

 それが『心』という空間に漂ってるんだよ。

『心』は、とんでもなく広い。

 だから、お前らの感情は、どこまでも膨れあがるんだ。


 普通、感情は魂の内に在る。

 で、魂には、それを被う器のような殻のようなモノが在るんだよ。

 だから神も身体が有るかのように存在できるんだ。


 ここまで、理解できたか?】


「「はい」」


【で、だ。

 明日、お前らの感情に殻を作る。

 一種の封印で枷だが、悪いモノだとは思うな。

 お前らを護る為のモノだ。

 今の一触即発で大暴走し兼ねない状況から脱する為の殻だからな。

 お前らが護るべき子供達の父、ルバイル様と、お前らを娘として迎えたアメシスが、苦労して、その術を完成させたんだ。

 有り難く受け入れろよ】


「「はい♪」」


【解ったなら、もうジャレてないで、ちゃんと寝ろ。

 大掛かりな術なんだからな。

 受けるお前らは体力勝負なんだぞ。

 じゃあなっ】


 コバルトは、ミモザとアンズの返事も聞かずに消えた。


「あ……」「また消えちゃったぁ」


 二人は顔を見合わせた後、嬉しさが溢れるがままに笑って、ベッドに腰掛けた。


「その殻が出来たら、もう、こんなに苦しくならないのね♪」


「きっとそうね♪

 もう、お兄様を苦しめずに済むわね♪

 今夜もまた、ここで寝る?」


「うん♪」




「ね、ミモザ。私もお姉様と仲良くなりたい」


「明日、術が終わったら3人でお茶しましょ」


「うん♪

 サクラの記憶のお姉様は、優しくて、厳しくて、とっても素敵なの♪

 一緒に闇障を伸ばしていくとこなんて、感動してしまったわ!♪」


「お兄様の記憶のお姉様も素敵よ♪

 特級修練での活躍は、とっても煌めいていて、お兄様から習っているお姉様は、とっても可愛いの♪」


「あの本みたい?」


「恋人になれないまま卒業したけど、たぶん気持ちは、本と同じじゃないかしら?」


「その記憶、いいなぁ」


「そうね。素敵な記憶だわ」


「もう一度ちゃんと読むわ!」


「サクラは読んでなかったの?」


「読んでるけど、私が読みたいの♪」


「私も、私として読んで比べようかな♪」


「一緒に読みましょ♪」


「そうね♪」


「私……ミモザと一緒に居ると落ち着くの」


「そう? 私もよ。

 アンズと話していると、もやもやを忘れて、とっても楽しいわ」


「術で……変わっちゃうのかな……」


「きっと変わるわ。良い方に、ね♪」


「あ……うんっ♪

 やっぱり、ミモザだぁい好き♪」


「私もよ、アンズ♪

『えっと~』はナシよ」


「先に言われたぁ」あははっ♪


「三度もは言わせないわ♪」うふふっ♪


『二人共、寝なさい』


「「あ……お姉様も一緒に♪」」

二人一緒にバッと飛び起きて、扉を開けた。

「「ねっ♪ お姉様♪」」

各々にルリの手を引き、ベッドへ。


「静かに寝るのだな?」


「「はい♪ お姉様♪」」


「ならば、寝よう」


「お姉様、真ん中ね♪」

「明日のお茶も約束♪」


「お茶か。それで思い出したが、エレドラグーナ家にも招かれている。

 ナツハ様とも母娘として話すべきだ。

 それは明後日でよいか?」


「「はい♪ お姉様♪」」


「いちいち付けなくてよい。寝なさい」


「「おやすみなさい♪ お姉様♪」」


「おい、、とにかく寝ろ」

まだ、きゃっきゃしているアンズと、くすくす笑っているミモザをルリは抱えた。

「明日には楽になる。だから寝なさい」

抱いた掌で、二人の背を撫でた。


「あったかい」「うん。あったかいね」




(アオ、今夜は妹達と寝るからな)


(ええっ!? 俺との約束は!?)


(したか? ま、明日でいいだろ)


(ルリ~)


(たまには、ひとりで寝ろ)


(酷ぉいぃぃ)


(サクラか。

 眠ってしまえば、隣に居ようが居まいが同じだ)


(同じじゃないからっ)


(ま、たまにはよい)


(良くないよぉ)


(明日は大事な日だ。アオの悩みも解消だ。

 だから、しっかり寝ろ)





金「アカ、どうしたのだ?」


赤「アオからアレンジした曲を預かった」


金「会ったのか?」


赤「つい先程。曲を伝える」手を差し出す。


金「ふむ」握手。



赤「以上だ」


金「では、他の弟達に伝えておく」


赤「頼む。では――」


金「そうだ。これを父上に頼む。

  明日、届けるつもりであったが、

  早い方が良いだろう」


赤「ふむ。確かにな」


金「もう1冊はアカの分だ。

  が、私達には台詞は少ない。

  ほぼ、サクラ、クロ、アオだ」


赤「妥当だな」ニヤリ。


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