表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/347

とにかく急いで頑張る

 あれやこれやと常にドタバタなのが

『ぱられる』なんです。


♯♯ 天竜王国 出版社 ♯♯


 夕食ステージを終え、ルリが戻って来た。


「その、移動するのは技なのか?」


「そうだよ。

『曲空』という、風属性の移動技だよ。

 風技なんだけど、光属性も不自由なく使えるんだ」


「書いてもいいのか?」


「いいよ。別に秘技じゃないし。

 で、ほぼ決まったよね?」


「主役の名前で困ってるんだが……」


「ああ、そうか……そうだね。

 短くすると誰の事だか分からなくなってしまうんだね。

 なら、方向を変えて、アン……何がいいかな?

 1文字加えて女の子らしくすればいいんだよね?

 スオウがインタビューを受けている間に考えるよ」


「インタビュー!?」


「『双青輝伝説』が事実を元にした物語だと発表してよ。

 そのインタビューが、次作の予告と共に雑誌に載るんだよ」


「そんな話になってたのか!?」


「うん。だから出版社(ここ)に呼んだんだよ」


「ちょい待てっ、対談にしよう。

 その方が良いと思う!」


「ルリも?」


「勿論!」


「ルリ、いい?」


「仕方ないな」




♯♯ 神楽の風穴 ♯♯


(おお♪ アンズ殿!♪)


(遅くなってしまって、ごめんなさい。

 進み具合を確かめますわね♪)


(うむ♪ お頼み申す♪)


 アンズ(サクラ)は姫の額に掌を翳した。

(まずは基底に……高めて……最大に……うん♪

 とても澄んでいて、滑らかに動いているわ♪

 とっても進んだわ♪)


(然様か!?♪)


(ええ♪ この調子ですと、ハクお兄様のイベントが終わる頃には、技の練習が出来ますわ♪)


(おおっ!♪ 頑張るからの♪)


(はい♪ 次はクロお兄様♪)


 今度はクロの額に掌を翳す。

そしてサクラはクロにだけ話した。

(寂しいんだろうけど、今は我慢してよね。

 ちょいちょい見なくても、俺、ちゃんとクロ兄するから、任せてよ)


(気づいてたのか……すまねぇ)


(昼と夜のステージも見てたでしょ?)


(ああ)


(アオ兄 見て何か気づかなかった?)


(アオがどうしたんだ?

 フツーに輝竜してたじゃねぇか)


(せっかく見るんだったら、ちゃんと神眼らしく使ってよね)


(ん? どういう事だ?)


(フツーに目で見るみたくするのは、もったいないの!

 クロ兄の神眼は大神様クラスなんだよ?

 対象の本質とかもシッカリみえるんだからねっ)


(本質? 中身って事か?)


(単純に内側ってだけじゃなくて、分析とか、もっと深く出来ちゃうの!)


(へえぇ~♪ スッゲーなっ♪)


(メゲないトコが、クロ兄のいいトコだけどね、早く使えるようになってよ。

 今日のアオ兄、ルリ姉だったんだよ)


(えええーっ!!!)


(クロ兄うるさい)


(あ……すまねぇ)


(俺達、忙しいんだからね。

 修行だけに集中して、早く助けてよね)


アンズ(サクラ)が手を下げた。

(それでは、患者さんが多いので、もう戻りますね)


(アンズ殿……真、大丈夫なのか?

 今日もアオとは会ぅておらぬのじゃろ?)


(アオお兄様がお忙しいのは、いつもの事ですからぁ)


(しかしのぅ――)


(静香お姉様も修行に集中なさってくださいねっ。

 では、失礼致します♪)


 アンズ(サクラ)は、にこにこ笑顔で曲空した。



(アンズ殿が……不憫なのじゃ……)


(アンズなら大丈夫だよ。

 修行に集中しろって言われただろ)


(クロが冷たいのじゃ)


(仕方ねぇだろ。今は修行だ。

 そんで、自由になってからアンズの為に動こう)


(動いてくれるのか?♪)


(約束する。だから今は修行を頑張ろう)


(うむ♪)




♯♯ 竜ヶ峰 洞窟 ♯♯


「たっだいま~♪ あ♪ フジ兄♪」


「サクラ、救護室は、もうよいのですか?」


「ちょい休憩~。今日なんでか凄かったんだ」


「患者が多かったのですか?」


「うん。

 朝から暑くて多かったのと、なんでか集まっちゃって、大騒ぎだったんだ。

 ルリ姉 来てくれて散らしてくれたけど、その騒ぎで、すっごく増えちゃって~」


「集まって……あ……」


「なんか知ってるのぉ?

 俺、忙し過ぎて、調べる余裕なんて無かったのぉ」


「午後の話ですよね?」


「うん。窓も廊下も人だらけ~」


「私も、潤い水を補充していて囲まれたのです。

 アカ兄様が掌握で人垣から出してくださって、二人で逃げたのですよ」


「もぉアンズでも外歩けなぁい」


「そうですね……ですので補充は月衆の皆様にお願いしましたよ」


「そぉなんだぁ。どしたんだろねぇ」


『夜分に申し訳御座いません』


「あれ? 睦月さんの声だよね?」

出て行った。




「どしたの?」


「鎮めるのに時を要し、夜になってしまい申し訳御座いませんが、皆様、お揃いで御座いまするか?」


「キン兄バイト、ハク兄さっき天界(うえ)行った~、アオ兄も天界、クロ兄は修行、アカ兄も天界で工房かなっ」


「然様で御座いますか……」


「誰がいい? 呼ぶよ?」


「では、キン様をお願い致します」


「中で待ってて~、フジ兄、お願いねっ♪」


 睦月は、様子を見に来ていたフジと共に居間に向かった。


 サクラは複製を2体出し、キンとサクラとして居間に向かわせた。

そして自身はアンズとして救護室に戻った。


(キン兄、今、洞窟に睦月さん来てるんだ。

 複製に千里眼は持たせてるけど、状況は流すからね。

 俺は救護室でアンズしてるからね)


(ふむ。ありがとう、サクラ)



♯♯♯



「睦月殿、どうかなさったのですか?」


「はい。輝竜衆が女性輝竜を見たいと騒いでいるのです」


「女性、の輝竜ですか?」


「はい。

 サクラ様のイベントの際、救護したアオ様と共にいらっしゃった金髪の看護師。

 青い髪のルリ先生、桜色の髪のアンズ先生。

 それと、潤い水を補充していた藤色の髪の女性と、その女性を助け出した赤い髪の女性。

 あとは銀髪と黒髪の女性が存在する筈、と探し回っているので御座います」


「それで救護室が大騒ぎだったんだ~」


「そうだったのか?」


「人いっぱいで~、熱中症いっぱいになっちゃったの~。

 ルリ姉 来てくれたけど、とっても大変だったのぉ」


「如何なさいますか?

 我々は如何に動けばよろしいのでしょう?」


「ひと晩、考えさせて頂けますか?」


「はい。では、宜しくお願い致します」


「対応と報告、感謝する。

 直ぐに答えられず、すまない」


「いえ、大変な事と存じます故。

 では、これにて」



 睦月が去った後――


「では、私が囲まれたのが先なのですね……」


「そぉかもだけど、そぉでなくても騒ぎは起こったかも~」


「最初の金髪看護師はルリ姉様でしたよね?」


「俺、見てないけど、そぉだよ。

 看護師したから、医師のルリ姉は青い髪にしたんだ。別人ってコトで」


(サクラ、アオは?)


(天界。も少しかかる~。

 キン兄、早退?)


(そのつもりだ)


(複製と入れ替わる?)


(そうしてくれるか?)


(ん♪)

キンが棚に隠れたのを神眼で確かめ、サクラは金髪複製を曲空させた。




 キンが洞窟に曲空すると、フジが深く頭を下げた。

「キン兄様! 迂闊に、すみません!」


「いや。仕方の無い事だと私も思う。

 普通に出て行けば、もっと大騒ぎなのだからな」


「今度は何が起こったんですか?」

アオがルリと手を繋いで現れた。


「千里眼の聞いて~」


「サクラ、の複製だよね?」


「うんっ♪ 本体、アンズ先生~♪」


「あの騒ぎは未だ収まっていないのか?」


「お泊まりになっちゃったヒトけっこういるの~」


「そうか。では、そちらを手伝う」


「うん。そうして」


ルリは頷き、曲空した。


「治療が困難なのか?」


「いえ。ただ、手が光ると人が驚いてしまいますので、弱くしか治癒出来ないんですよ」


「ふむ。では、救護室は二人に任せよう。

 サクラ複製、千里眼を」


「ん」


 先程の睦月との会話が流れる。



「女性輝竜か……困ったな……」


「アオ、呼んだか?」


「うん。アカ、相談なんだけど――」




♯♯ スオウの家 ♯♯


「あなた……どうしたの? そんなに集中して」


「ああ、コモモ。

 コモモこそ、どうしたんだ?

 その綺麗な髪飾り」


「アンズ様から頂いたの。友達の証ですって。

 私、嬉しくって♪」


「そうか。良かったな」ホッ。


「ですから私、アオ殿下から頂いたお守りをアンズ様に差し上げたの♪

 とってもお喜びくださったわ♪」


「そうか」お守りって、壁耳かな?


「それで、何を書いてらっしゃるの?」


「次作だよ。

『双青輝伝説』の空白の140年を埋めるんだ。

 コモモにばかり働かせるなんて、夫として許せないからな」


「そんなの気になさらないで。

 怪我をなさったのだから、養生なさって」


「それがな、すっかり治してもらったんだ。

 今日、班長と副長に会ったんだよ。

 やっぱ副長は凄い医者なんだ。

 で、初めて二人に頼られたんだ。

 だから急いで書いてるんだよ」


「アオ殿下とルリ様から……どんなお話なの?」


「出来上がってのお楽しみだよ。

 頑張るからな♪」


「そう……では、楽しみに待つわ♪

 お夜食、作るわね♪」





金「アオとの話は、もうよいのか?」


赤「終わった。アオが解決する」


藤「そうですか。良かった……あ、キン兄様、

  セトリは、いかがなさいますか?」


金「私は、ソロ曲とデュエット曲で纏める」


藤「踊りませんか?」


赤「踊らせたいのだな?」


藤「はい♪」


金「踊るのは――」


藤「ヘッドセットマイクはキン兄様の

  持ち物でしたよね?」


金「……そうだ」


赤「ならば体力的な問題か?」


金「そんなものは無い!」


赤「全て踊るのは無理であろう」フフッ。


金「そんな事は無い!」


赤「では決まりだな」

藤「次のステージで、アオ兄様にアレンジを

  お願いしましょう♪」


金「バラードをダンスナンバーになど――」


藤「アオ兄様なら何でも出来ますよ♪」


赤「ペアダンスも良いだろうな」


藤「相手は? 女性ですと騒ぎになりますよ?」


赤「サクラ」


藤「アンズですか?」


赤「いや。サクラだ。

  外套(マント)を腰に着ける感じの衣装で女性役だ」

 描いている。


藤「良いですね♪」


金「良くない! 勝手に進めるな!」


 アカが不敵に笑い、フジが楽しそうに笑顔を

咲かせた。


金「……勝手にすればいい」

 真っ赤になって外方向いた。



赤「『緋牡丹』は人界風舞踊にしよう」


金「アカ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ