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大家族

 ジャスパも回復したので――


♯♯ 薫風の祠 ♯♯


「プラチナ……まさか……」


【封じられてはおりますが、大丈夫です】


「ゴルチル様……でしたよね?」


【はい。お義母(ロズオラ)様】


 透明な石棺のようなものの中で眠るプラチナを親族が囲んでいた。

その気配を察知したのか、まだ回復していないであろうプラチナが目を開けた。


【あ……大勢……えっ!? お母さん!?

 まあっ! お父さんも!

 無事だったのねっ!♪】


 プラチナは石から出て、喜びの気を虹色の煌めきに変え、舞い昇らせながら両親に抱きついた。


 アオとサクラが、少し離れて並んでいるカルサイとウォメロに銀色の石を掌握()渡した。

(プラチナ様の石です)(込めてくださいね♪)


 カルサイが振り返ると、二人は部屋の隅で、今回の大捜索で回収した禍石を選別していたらしく、禍石の山の周りに集縮の小壺が並んでいた。


ルバイルとセレンテが気付き、カルサイとウォメロをプラチナ達の所に連れて行った。


【あ、あのっ】


【お願い致します♪ 最高神様♪】

セレンテがカルサイの背を押す。


ドルマイとロサイトが腕を取って引く。


【アオ、サクラ! 手伝いをっ】


【あら? 居ないわね】


石も壺も、二人と共に消えていた。


【コバルト! 二人を――】

【バナジン、行くぞ】【はい♪ 父上様♪】


「あの……この石は……?」


【ここに置いて頂けますか?】石棺に置いた。


プラチナが顔を上げ、振り返った。

【その石……】


【捜索のオマケよ♪

 プラチナ、一旦 入ってね】ロサイト、微笑む。


【はい】スッと入った。


カルサイが魔法円を出す。

【囲み、お願い致します】




♯♯ 長老の山 リリスの部屋 ♯♯


「しかし、婚約者じゃとも言えず――」


「天界では、正式な婚約者ですわ」

「だから問題なんて無いわよね~」

「そうですよね。それに……」


「どうしたの? ワカナさん」

ミカンがワカナの顔を覗き込む。


「いつか妃には、なれると信じて頑張っていますけど……だから、妃は努力でなれますけど……王女は、そこに生まれないとなれないから……ちょっと嬉しくて……」


「あ、ソレ解る~♪

 庶民的には『お姫様』は憧れよね~♪」


「然様なものなのか……」←お姫様。


「そうですよね。

『王女様』って呼ばれて、特等席で王子様方を堂々と見れるんですよ?

 庶民には有り得なくて、夢見心地ですよ」


「リリスまで……」


「皆様、喜んでおりますので、より一層の活躍を望んでおりますわ」


「私達、いつもいつもは行けないんだから、マネージャーをお任せしてしまうけど、どうかヨロシクねっ♪」


「アカ様は無口だし無表情だけど、怒ってなんかいませんので、引っ張り出してあげてください! お願いします!」


「フジ様も、踊るのも奏でるのも本当は、とっても好きだと思うの。

 だから、お願いしますね、姫様」


【私は、もっともっと見たいわ~♪

 今度はアンズちゃんも一緒にねっ♪】


「お母様……では、次回に♪」


 俺が俺を見に、って……ま、いっか~。

 にゃはは~。




♯♯ 薫風の祠 ♯♯


【さっさと囲め】【お願いしますね】


「緋晶様に禍石を渡しに行っただけなのに~」

「どうして強引に連行されないといけな――」


【では、始めます】カルサイ、苦笑。


【仕掛けておいて逃げたからだろ。囲めよ】

【アオ、サクラ、始まりますよ】にこにこ♪


「始祖様ぁ」「バナジン様まで……」


カルサイが唱え始めた。


【なんで逃げたんだよ?】内緒話モード。


(だからぁ、持ってっただけ~)

(禍石に封じられている皆様は、一刻も早く出たいと願っている筈ですからね)


(カルサイ)が唱えないといけなくしたんだろ?】


(深読みし過ぎですよ)(ね~)


【どうやって姉弟にするんだよ?

 これがキッカケなんだろうが、そう簡単には溝は埋まらないぞ】


(これだけ、ご親族な大神様が集まっているのに、どうして俺達なんですか?)


【親族だからこそ、口出し出来ないんだよ。

 任せたぞ、子孫共】


(またそんな――)


【術が終わるぞ】


銀光を放つ石が吸い込まれた。


魔法円が消える。

【皆様、ご協力ありがとうございました】

カルサイが深く頭を下げる。


【プラチナ、出ていいわよ】


【はい。ロサイト様】出た。【あ……】

プラチナは慌ててカルサイに並び、同じように深く頭を下げた。

【ありがとうございました】


 そして、プラチナは顔を上げると、カルサイとロズオラの手を取り、ウォメロの前に行き、その手を差し出した。

【ご無事だったのですね……良かった。

 母と弟を……宜しくお願い致します】


「あ……あの……」見回す。「ジャスパ様……」


目が合ったジャスパが微笑み、近寄った。

【私からも、お願い致します】


「でも……そんな……」


【あの時も申しましたが、私はロズオラが無事だっただけで十分なのです。

 どうかロズオラと幸せになってください】


「でも、それでは――」


「ね~ね~、どぉしてぇ?」


 先祖神達の視線がサクラに集まる。

カルサイも困り顔を向けた。

【サクラ……何が、ですか?】


「どぉして、みんなで暮らせないのぉ?」


【あ……】【それは……】


「俺達、兄弟バラバラに育って、人界の任で、やっと揃ったんだ。

 でね、今と~っても楽しいの♪

 兄貴達みんなと、わちゃわちゃってワイワイするのも、それぞれとも、とっても大切な時間で、とっても楽しいの♪」


【それは……兄弟だから……】

両親を見ながらプラチナが呟いた。


「プラチナ様とカルサイ様は姉弟なんでしょ?

 なんで? どぉして違うの?」


【【それは――】】

プラチナとカルサイが同時に声を発し、思わず顔を見合わせた。

【【あ……】】

気恥ずかしげに視線を逸らした。


「息ピッタリ♪ 今、おんなじ色♪

 ちゃ~んと姉弟♪


 あのね、ランのお父上はお妃様がお二人なんだ。

 天藍(ティンラン)様が死んじゃったと思って、朱麗(ツーリー)様ともご結婚なさったの。

 天藍様との御子が三人、朱麗様との御子が二人なんだよ。

 みんな仲良く、いっしょだよ。

 俺も婿養子じゃなくて、ちゃんと子供なんだよ。

 ほんのちょっと歳下の淡黄(ダンファン)が俺を『サク兄』って呼んでくれるんだ♪

 そゆのってダメなの? おかしいの?」


【サクラ様、神は思い込みが激しくて、いけませんね。

 生きる光をありがとうございます。


 ウォメロさん、一緒に暮らしては頂けませんか?

 娘と息子の為に】


「よろしいのですか? 僕なんかとなんて……」


ジャスパとプラチナが大きく頷いた。

ロズオラとカルサイは涙を流している。


「ゴルチル様のお家って大きいんでしょ?

 たっくさん子育てしたんでしょ?」


【まぁ……そうだな】涙を必死で堪えている。


「ルバイル様♪

 みんなで楽しく暮らせるお家にしよっ♪」


【そうですね】にこっ。


「ルバイル様とセレンテ様も、いっしょだよっ♪」


【え?】【まあ♪】


「ドルマイ様も。始祖様とフローラ様もねっ♪」


【ええ♪】【いや、俺達は――】【嬉しいわ♪】


【では、サクラ。

 アオと共に築造を手伝って――アオは?】


「もぉすぐ戻る~♪ ほらねっ♪」


【ウォメロ……】【生きていたのね……】


「父さん……母さん……」


親子が抱き合った。



【流石アオだな。どうやって見付けたのだ?】


「ゴルチル様のご記憶と、ウォメロ様に残っているご両親の気と、あとはセレンテ様の気を辿りました。

 お住まいは既に他の方のものになっていたので、そうするしかありませんでしたよ」


【何故セレンテの気を?】


「時の経過と、ご両親なら諦めずにご子息(ウォメロ)様をお探しになる為に、神様に成っている筈だと考えたからですよ。

 少なくとも母神様はセレンテ様がご指導なさっただろうと考えたんです」


「アオ兄♪ 築造しに行こ~♪」

「では、皆様。ご一緒にご移動お願い致します」

「バナジン様? どぉして見送ろ~としてるのぉ?

 いっしょに、せ~のっ♪」




――ゴルチルの家。


浄化(そうじ)は終わったわよ♪】


「ありがとう、女神(スミレ)様」


スミレ達兄妹が待っていた。


【どうして此奴等が居るのだ?】


「ウォメロ様のご両親を迎えに行ってもらったんですよ。真神界でしたので。

 それでついでに掃除も頼んだんです」


【そうか……】


「それに、皆様の子孫なんですよ?」


【……そうだったな】


 ゴルチルとアオが話している間に、先祖神達は集まって家の図を描いていた。

地面に魔法円を描くのと同様に。


 その図に皆が納得し、微笑み合ったところに、サクラがスミレ達を連れて行った。

「カルサイ様♪ スミレ達も入れてあげて~」


【そうですね。とても広いお家ですからね】

一緒に住む事になったロサイトが微笑む。

【カルサイ様、紹介してあげてね】


【え? 私が、ですか?】


スミレ達を知っている皆が微笑み、頷く。


「ゴルチル様も~、入らないと~」


【サクラ……カルサイ、此奴等の紹介も頼む】

二人をガシッと捕まえた。

「ゴルチル様っ!?」「放してぇ~っ!」

ズルズルズルズル――


(ゴルチル様、カルサイ様に『頼む』って言ったね~♪)

(これで少し近づければいいね)(うんっ♪)


(おとなしく紹介されるのぉ?)

(今回ばかりは、仕方ないよね)

(でも、先に築造したくない?)

(そうだね。中で話したいよね)


「ルバイル様~♪ 先にお家つくろ~♪」

「新居の中で落ち着いて話しませんか?」


【そうですね。では、お願いしますね】


「「はい♪」」

アオとサクラがルバイルの手を取る。

「せ~のっ♪「【築造♪】」」


光が敷地を包み、大きな家が現れた。


【凄いな……】ゴルチルが呟いた。


「入ろ~♪」サクラが飛ぶ。


皆、笑顔で続いた。


「スミレ、ヒスイ、アメシス様。

 行きましょう」

最後にアオが三神を連れて入った。




【ここ……】【懐かしいわね、母様♪】

セレンテがプラチナの手を引く。


【ルバイル……ここは?】

ゴルチルが驚き顔で見回している。


【そのまま使いましたよ。

 思い出が詰まっておりますから】


「だから掃除してもらったんですよ。

 5万年程は材料の時を戻しましたけどね」

アオ達も来た。

「この居間の周りは、皆様のご希望通りに造りましたので、お確かめください」


【確かめましたら居間(こちら)にお戻りくださいね】


「お茶淹れる~♪」




♯♯ アオの屋敷 ♯♯


 客間で瞑想していたクロの前に、アンズと姫が現れた。

「クロお兄様、お待たせ致しました」

「クロ♪ 風穴に戻ろぅぞ♪」


「ご機嫌だな、姫。

 解決したって事か?」


「うむ♪ ワラワは輝竜のマネージャーとして頑張るのじゃ♪」


「そっか♪ 笑顔が戻ったからヨシだなっ♪」


「うむっ♪」


「あ、アンズ」


「え?」客間から出ようとしていた。


「ありがとなっ」にこっ♪


「私は、お連れしただけですわ。

 それではこれで失礼致します」にこっ♪


「アンズ殿……また会えるのじゃな?」


「もちろんですよ♪

 それでは、おやすみなさいませ」

にこにこと扉を閉めた。



「姫、どうしたんだ?」


「消えてしまいそぅな気がしたのじゃ……」


「アンズが?」


「然様じゃ。

 幻ではないか、と……不安が過ったのじゃ」


「何言ってるんだよ。消えるかよ」


 確かに『アンズ』は幻だけどな……

 サクラなんだから――





浅「ギン、少しいいか?

  あ、トキワも そのままで」


銀&常「はい」


浅「今日、輝竜のライブ放映の件で打ち合わせに

  行ったのだが、その時に、これを預かって

  しまったのだ」


常「まさか……」

銀「またっ!?」


浅「もしかして、その山も?」


銀「そうなのです」

常「アサギ様にまでご迷惑をお掛け致しまして

  誠に申し訳ございません」


浅「別に、預かっただけなのだから、

  恐縮なんぞせずともよいのだが……

  大変そうだな」


常「アズキも断り続けるのは限界だと……」


浅「いっそ、事情を知る誰かの妃にするか?

  ムラサキならば独身だが――」


銀「そ、それは流石にっ!」


浅「年齢差が有り過ぎるか……では、王太子と

  魔竜王(サクラ)を除く王子の誰かに――いや、

  誰か、ではなくアオしか居らぬな。

  一番よく知っているし、誤魔化し易いな」


常「姉妹揃って、でございますか?」


浅「サクラが居なくても、複製とやらで

  誤魔化せるのはアオだけであろう?」


銀「確かに……そうですが……」


常「それでは『双青輝伝説』のイメージが――」


銀「あ! それが有ったな!」


浅「ふむ……氷王子(アオ)のイメージアップが

  台無しになってしまうのか……」


銀「どうして氷王子(それ)を?」


浅「まぁ、いろいろと、な」


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