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第八十一話・おっさん、からかわれる


「ぐぬぬ...わ、悪かったですねぇっ!どうせわたしはボン!キュ!ボン!

じゃなく、ストンッですよ、スットンッ!!」


レンヤの皮肉に、宿屋の元気な娘さんが悔しそうな顔をして自分の腰に

手をソッと当てると、そのあまりのくびれの無さに、頭をガクッと

大きく垂れてしまう。


「全く...手痛い因果応報を食らってしまいました......コ、コホンッ!

では気を取り直して...わたしの自己紹介しますねぇ♪わたしはこの宿の

娘で、名前をプレシアといいます。以後、お見知りおき下さいねぇ♪」


咳払いをして気持ちを切り替えた宿屋の元気な娘さんこと、プレシアが

元気良く俺に自己紹介をしてきた。


「へぇ、プレシアっていうんだ。元気いっぱいなキミらしくて、とても

いい名前だね♪」


「はにゃ!?」


レンヤはニコッと笑顔をプレシアに向け、そう返す。


もうこのおじ様、さっきはあんな意地が悪かった癖に、今度はこんなにも

爽やかな笑顔でそんな事を言うだなんて......


――ハッ!?


おっと!いかん、いかん!?


わ、わたしったら、こんなおじ様に何をトキメキ感じちゃてるんですか!?


プレシアがハッと我に返ると、赤く染まった頬を両手でパンパン叩き、

熱を取る様に、首を左右にブルブルと大きく振る。


そして、


「うふふ♪あれれ、お客様?先程はあんな事を言っていらっしゃったのに、

そんな言葉を吐いちゃうなんて。やはりわたしの事をお口説きになられたい

ようですねぇ~♪」


先程の気持ちを誤魔化す為、プレシアが強引に笑顔を作ると、ニヤニヤ表情で

レンヤに顔の数センチ前まで近づいていき、再びからかってくる。


「だ、だからぁ~!なんでそうなるんだよっ!俺は思った事をただ率直に

述べただけであって、べ、別に他意なんてないぞ!」


あ!おじ様ったら、今ちょっとだけ目線を横に向けて照れを見せま

したよねっ!?


くふふ~ニヤリ、


「またまた~♪本当の事をおっしゃってもよろしいんですよ、お客様~♪」


レンヤが照れてくれたのがよほど嬉しかったのか、プレシアは更に

からかいを続けていく。


「ううぅ...わ、若い娘の気まぐれ行動には、もうおっさんは着いていけんっ!

おい、ルコール!この子を何とかしてく.........て、あ、あれ!?いないっ!?」


プレシアからのからかいに、これ以上付き合いきれんと隣にいるルコールに

バトンタッチしようと目線を向けるが、そこにはルコールの姿がなく、

周りを見渡してもその姿を見つける事ができなかった。


「おや、おじ様?あのサイドテールの子をお探しですか?あの子でしたら、

少しほど前に食堂の方へ入っていきましたよ?」


「な、なんですとぉぉぉおっ!?」


あ、あの野郎!?


この状況を面倒だと思い、この場からちゃっちゃと逃げやがったなっ!?


「そ、そっか、先に行ったのか?それじゃ、ルコールの奴を待たせる訳にも

いかないし...お、俺もこの辺で失礼させ――――」


「おっと!逃がしませんぜ、おじ様♪」


この場を逃げる口実を口にした後、俺はルコールを追う為に食堂のある方角へ

身体を向けた瞬間、プレシアが待ったをかけて俺の背中にぴょんと飛び移り、

羽交い締めにする様に、俺の背中にギュッと強く抱き付いてくる。


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