第七十八話・おっさん、今度の予定を会議する
「では、ヘタ......コホン、お客様様のご案内も済みましたので、
わたしはこの辺で失礼させてもらいますね♪」
ちょ!?今この子、俺の事をヘタレって言いそうにならなかった!?
「あ、食堂の営業時間が後一時間くらいで終わりますので、もしご利用に
なられるのでしたら、お早めに行って下さいね!」
「分かった。後一時間くらいだね?その時間前にお腹が空いたら
利用させてもらうよ!」
「それでは、私はここで失礼しますねぇ!」
宿屋の元気な娘さんが食堂の営業時間をレンヤとルコールの二人に
告げると、頭を大きくペコリと下げ、いそいそとその場を後にした。
「忙しないくらいの元気な子だったな...」
「だね。そんじゃレンヤ。早速、部屋の中に入ろうよ♪」
宿屋の元気な娘さんが去って行くのを見送った二人は、宿泊する
部屋の中に入って行く。
「さて...明日からの予定を決めておきたいんだが......」
俺は床にペタンと座ってあぐらをかくと、今後の予定を決める為の
会議を開く。
「まず俺の予定としては、クエストでしっかり資金稼ぎをした後、この町を
出て行く。これはもう決定なんだが、だが、その後どこに行ったら良いのか
全く分からん。なぁ、ルコール。お前どこか良い場所を知らないか?」
この世界の事を全く知らない俺は、町を出た後、どう行動をした方がいいのか、
それをこの世界の住人であるルコールに聞いてみる。
「う~ん、そうだね。旅を楽しみたいっていうなら、ここより北にある
『商業の町イバンク』に向かうべきかな?」
「商業の町イバンク......」
うむ、商業の町って言うくらいだから、レアな掘り出し物とかが色々と
ありそうな予感。
「あ、でも当初の予定であるギガン城から離れたいって言うのであれば、
ここからずっと北東の方にある『港町ウィーク』から船に乗って、
隣の大陸の中央へ移動して『帝国グランディーネ』に行くのも手かもね!」
ルコールが自分の意見を述べた後、持っていた地図を床にバッと広げて、
商業の町イバンク、港町ウィーク、そして帝国グランディーネの場所を指差す。
「隣の大陸...しかもその中央って、中々の遠路だよな?何で逃げるのなら、
そこがいいんだ?」
「それはね。グランディーネに行けば、手っ取り早くギガン城からの
追っ手を撒けるからだよ!あの帝国の王って、ギガン城の王とはめっちゃ仲が
悪いからさぁ!」
レンヤの疑問に対し、ルコールその理由を教える。
「なるほど...あ、でもよ。逆にギガン城の連中に恩を着せようとして、
俺を引き渡す可能性があるんじゃねぇのか?」
「あはは。そんな心配は無用だから、安心しなって♪」
一抹な不安が過るレンヤに、ルコールがケラケラと笑って大丈夫と告げる。
「だって、あの国の王はそんな知略を巡らせる様なタマじゃないからね!
どちらかって言うと、役に立つなら仲間に引き入れちゃうタイプだから♪」
ケラケラと笑うルコールが、あの大陸の王の性格がどんな性格かを教えて、
レンヤの不安を取り払う。
「それならいいんだが...って言うか、お前の言葉を聞くに、もしかして
その帝国の王と知り合いか何かなのか?」
「たはは...まぁ、そんな所かな。あいつとはちょっとした腐れ縁なんだよ♪」
俺の素朴な疑問に対し、ルコールがニカッと笑いをこぼしそう答えた。




