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第七十六話・出禁は嫌だ


「ちょ、ちょっとお二人とも、喧嘩はやめて下さい!ここで揉め事を

起こすつもりなら、今後この宿屋への出禁を命じますからねっ!」



「「はう!?で、出禁っ!?」」



宿屋の元気な娘さんが頬を膨らませ、プンプン怒りながらレンヤと

ルコールの二人にそう忠告してくる。


「す、すいませんでした!本当、すいませんでした!」


「以後、気をつけます...だから出禁は勘弁して!」


出禁を促されたレンヤとルコールが慌てて喧嘩を止めると、宿屋の元気な

娘さんに向けて、何度も頭をペコペコと下げて謝罪する。


「その言葉に二言はないですからねぇ。次からは気をつけて下さいよぉ~!」


元気な娘さんがしょうがないなと言わんばかりの表情で、レンヤとルコールの

謝罪を受け入れた。


「コホン、ではお二人に改めてお聞きしますが...お部屋の数はどうなされますか?

一緒のお部屋でよろしいですか?それとも別々の部屋にいたしますか?」


「あ。だから、俺とルコールは別々の部―――」


「一緒の部屋でお願いっ!はい、これ金貨二枚っ!」


レンヤの言葉を掻き消す様にルコールが大きな声を荒らげると、レンヤの

腰ベルトに下げてある皮袋からサッと金貨二枚を素早く取り出し、

元気な娘さんが立ているテーブルの前に取り出したその二枚の金貨を

バンッと音を立てて置いた。


「ひい、ふう、っと...確かに金貨二枚、お受け取りいたしましたぁ~♪

毎度ありがとうございますぅ~♪」


宿屋の元気な娘さんがルコールの置いた金貨を数え終わり、懐にスッと

しまうと、レンヤ達にニコッと微笑みを向ける。


「ち、ちょっと待って!お、俺はこいつと一緒の部屋だなんて言って......」


「お客様。これ以上騒ぐと......出禁ですよ♪」


「はうっ!?」


未だに同部屋を拒否ってくるレンヤに、宿屋の元気な娘さんがニコニコと

笑っているのに瞳の奥が笑っていない表情で、出禁を盾にしてレンヤの意見を

強引に口の中へと捻込んだ。


「では早速、お部屋へとご案内いたしますねぇ!お客様は私の後ろから付いて

来て下さいなぁ~♪」


宿屋の元気な娘さんがニコッと微笑んでレンヤ達にそう述べると、軽い足取りで

二人の泊まる部屋へと案内する。




「お待たせしました!ここがお客様達がお泊まりになられるお部屋となって

おりまぁ~す♪そして部屋の中はこの様な感じになってまぁ~す♪」


宿屋の元気な娘さんが俺とルコールの宿泊する部屋の前まで案内すると、

ドアノブをガチャと回してドアを開け、部屋の中を見せてくる。


「おお、これが俺達の泊まる部屋か。結構広いじゃん!」


俺は部屋の中を覗き見ると、部屋の奥にベッドがあるのが見え、

そしてその反対側には、食事をする為のテーブルと椅子があるのが見えた。


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