第七十五話・一緒は恥ずかしい?
まぁ、仮にもしあいつらが五日以内にこのリタイへやって来たら、
ルコールの飛行能力で大空に飛んで逃げ、急ぎこの町から遠くへと
脱出をすればいいしな。
「コホン...取り敢えず、宿泊日数は五日間で頼む!」
俺は今後の予定をある程度計算して宿泊日数を決めると、それを宿屋の
元気な娘さんへ伝える。
「はいはい。宿泊は五日間のご利用っと...」
宿屋の元気な娘さんが今レンヤに聞いた宿泊日数をテーブルに置いて
あった宿泊予定等を書き込むメモに書いていく。
「それでお食事はどうなされますか?食事をセットにつけますと、
そこの食堂で直接お食べになられる費用より、お安く提供できますが?」
「いや、食事はいい。どの時間帯にこの宿屋にいるか、分からないしな。
都合良く近くに食堂があるみたいだし、食事はそこで取らせてもらうよ。
で、ルコールはどうする?俺と一緒でいいか?それともお前は食事を
付けてもらうか?」
「ううん。あたしもレンヤと一緒でいいよ。レンヤに合わせないと
何か面倒そうだしねぇ♪」
レンヤの問いに、ルコールが同じで良いと返事を返す。
「食事は無しでっと......ではお客様の要望を再確認しますね♪
お客様の宿泊予定は五日間で、その間の食事はいらない...これで間違いが
ありませんか?」
「ああ。それで問題はない!」
宿屋の元気な娘さんの再確認に、俺は静かに頭を縦に小さく振る。
「了解しました!ではお一人様一泊、銀貨三枚ですからお二人様で
合計金貨三枚ですね!あ、もし同部屋でいいのでしたら、金貨二枚で
よろしいですが......いかがなされます♪」
「おお、金貨二枚か!結構な値引きをしてくれるじゃない!それなら
同部屋にした方がいいんじゃない、レンヤ?」
「いや...別々の部屋でいい」
宿屋の元気な娘さんの提案にルコールが乗ろうとレンヤへ同意見を
求めるが、レンヤは静かに首を左右振り、それを却下してくる。
「ええぇぇ!な、何でだよ!せっかく安くなるのに勿体な...い...!?
おや?ひょっとして、レンヤさん...あたしと一緒がお恥ずかしいとかですか?」
別の部屋でいいと言うレンヤにルコールが異議を言おうとしたその時、
レンヤの表情が赤くなっているのに気づく。
「は、はあ!?だ、誰がうん百歳過ぎのババアを意識なんてするかっ!
見た目もちんくちゃのパイなしの癖に、み、身の程を知れってんだっ!」
ニヤニヤするルコールから図星を指摘されたレンヤは、動揺で思いっきり
逆ギレすると、叫声を荒らげて反論してくる。
「ああ!また歳の事を言ったなっ!それに誰がちんくちゃでパイなしだ!
もう許さないからねぇえっ!」
「うぐぅ...うっさい、い、言ったがどうした!」
年齢と身体の事を言われて激おこ状態のルコールと、ツンデレを発動させた
レンヤが取っ組み合いの喧嘩を今にもせんと、お互いに身構えながら
ジリジリと間合いを取っていく。




