第七十一話・返り討ち
「......ハァ~!」
やれやれ。
せっかく今から初めて体験、お楽しみツアーだったっていうのによ。
屋台の味をたっぷり味わうぞモードに入っていたお腹を擦りながら、俺は目の前の残念な三人組を呆れ顔で見る。
「おっと、おっさん! 下手に動くなよ! もし少しでも変な動きを見せたら、そこのか弱いお嬢さんがどんな目に合うか分からんからなっ!」
か、か弱いお嬢さん!?
ル、ルコールがかっ!?
こいつら、ギルドから俺達をつけて来たって事は冒険者なんだろう?
なのに、ルコールの強さに全く気がついていないのか!?
「ブヒヒ。どうしたおっさん、ボケッとしてよ? もしかしてオデ達が怖いのか? だったらオデ達がまだ寛大な内にさっさとそいつを寄越しなよ! ブヒヒヒィィ~♪」
若い三人組の左側にいたデブった男が下卑た声でそう息巻くと、脂ぎった汚い手で俺の腰に下げている皮袋を奪おうと伸ばしてくる。
「......おい! 脂ぎった手で触んじゃねぇっ!」
「――ブ、ブヒ!?」
デブった男の脂でベトベトな手に不快感でイラっとした俺は、左手を思いっきりしならせデブった男の汚い手を払い退ける。
「き、きき、貴様―――っ! よ、よくもオデの事を脂ぎったとか言いやがったなっ! ブチのめしてや―――――ボロゲェェェエエッ!!?」
図星を言われ、顔を真っ赤にして激昂するデブった男が拳を振り上げて襲いかかってきたので、俺はそのデブった男の肥えた腹に目掛けて、捻らせた右手の拳を容赦なく叩き込んだ。
拳を叩き込まれた衝撃で宙に浮いたデブった男に向けて、俺は追撃の回し蹴りを炸裂させるとデブった男は地面に叩きつけたボールの様にボヨン、ボヨンと地面をバウンドさせながら遠くの方へとブッ飛んで行った。
「き、貴様ぁぁあっ! よ、よくもボヨタの奴をやってくれたなぁぁああっ! おい! ガリレッ!! その小娘のガキを痛い目に合わせてやれぇぇぇぇええっ!!」
「おう! わかったぜ! げへへへ...悪く思うなよ、お嬢! 恨むんだったら、そこのおっさんを恨むん――――――ダギャァアアワッ!!?」
「汚い手で触んな、このクソ出っ歯が!」
モヒカン青年の命令で受け、ルコールを襲おうと突っ込んで来た出っ歯な男ことガリレの左頬を、能面表情のルコールが思いっきりビンタすると、その衝撃でぐるぐると勢い良く宙を舞い、そしてそのあと顔面から地面に勢い良く落ちる。
「ギャァァァアア!? お、おお、俺のじ、じじじ、自慢の前歯がぁぁぁぁあ!? よ、よ、よくも! よくもやりや―――――ブロバァァアッ!!!」
ご自慢の前歯を砕かれた事で激昂したガリレがルコールに突っ込んで行くが、しかしルコールは静かに身体と右拳を下げ、そしてガリレの顎をアッパーで思いっきり叩き殴ると、その衝撃でガレオの残っていた歯全部が粉々に砕け散り、ガリレはそのまま空中を高速で孤を描くようにぶっ飛ばされ、そして数秒後、脳天から地面に突き刺さり気絶する。
「ガ、ガリレェェエエッ!? ぐぬぬぬぬぬぬぬっ! よくも! よくも俺の仲間達を酷い目に合わせてくれやがったなぁぁぁあああっ!!」
仲間をやられた事で、茹でたタコの様に真っ赤に染めて激昂したモヒカンの青年が、怒りで震える手で腰に下げていた剣を引き抜く。
「もう絶対に許さんぞ、おっさんっ! それに小娘っ! 覚悟して死にさらせやぁぁあぁぁあっ!!」
そしてモヒカンの青年は叫声を荒らげながら、レンヤとルコールに向かってドタドタと足音を立てて突進して来た。




