表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/288

第四十五話・歳の事は禁句


俺は門を無事に抜けた後、ギルドカードと今日の宿賃をゲットするべく、

ルコールの案内の元、冒険ギルドへと移動していた。


「えっと...確かそこの角を曲がれば、それっぽい建物が見えたと

思うんだけど...」


ルコールが多分「ここだったよね?」と首を傾げながら、目線の先に

見えるT路地を見ている。


「なんだよ、その頼りない記憶力は!?本当にこの道順で冒険ギルドへ

行けるんだろうな?」


「うっさい。記憶がうろ覚えでも仕方がないじゃんか!だってこの町に

来たのって、実に数十年ぶりなんだからさぁ!」


愚痴をこぼすレンヤの態度に、ルコールが膨れっ面でうっさいと

言わんばかりに怒ってくる。


「もうそんなに怒んなってば!まぁ確かに、誰でも歳を取れば記憶力は

乏しくなってくるってもんだしな。特にお前はうん百歳なわけだしよ!」


「おい!歳の事を言うんじゃない!あたしはこの見た目と同じで、

まだまだ心も身体もフレッシュな乙女だっていうのっ!」


レンヤの悪びれない言葉に、ルコールが先程よりも更に膨れっ面で

プンプンと激昂する。


「ほら、あそこを見なさいな!あたしが若い証拠として、ちゃんと記憶

通りの場所に目的の建物...【冒険者ギルド】があるでしょうがっ!」


ルコールが人差し指を遠くに見える建物へ向けてビシッと突きつけると、

あれの建物が冒険者ギルドだと告げる。


「ああ...確かに、遠くの方にそれっぽい大きな建物が見えるな?

へぇ~そっか、あの建物が冒険者ギルドなんだ?」


「うん、あれが目的の冒険者ギルドで間違いないよ!で、どうよレンヤ!

あたしのこの『若い』記憶の力はっ!!」


ルコールが無い胸を思いっきりふんぞって、自分の若い記憶力を

ドヤ顔で自慢してくる。


なので俺は、


「はいはい。とても素晴らしい記憶力ですねぇ~」


そんなルコールのドヤ自慢を軽く聞き流し、冒険者ギルドに目線を向ける。


「ちょ、レンヤ!その態度、気持ちが込もっていないんですけどぉぉおっ!」


「―――はぎゃ!?」


そんな俺の態度が気にくわなかったのか、ルコールがスッと俺の耳元に

寄って来て、思いっきり不満な叫声を荒らげる。


「はは...スマンスマン。別に無視するつもりはなかったのだよ。ただ

初めて見る冒険者ギルドに、少々心を奪われてしまってな♪」


激おこ状態のルコールに、俺はニガ笑いをこぼしつつ、無視した理由を

謝罪しながら伝える。


「あ~そうだった。レンヤの世界には冒険ギルドはないんだっけ?だったら

感動するのも分か―――」


「よっしゃ!あれが目的の冒険者ギルドなら、急いでレッツらゴーだぜ~♪」


俺は憧れの冒険者ギルドを目の前にして、心が居ても立っても居られなくなり、

猛ダッシュでギルドへと駆けて行く。


「ち、ちょっと待ちなさいよ、レンヤ~!あたしをひとり置いてきぼりに

しないで~~っ!」


自分を置いて、ひとりでさっさと冒険者ギルドに駆けて行くレンヤの後を、

ルコールが急ぎ慌てて追いかけて行くのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ?な箇所がありました。 誤:「ちょ、レンヤ!その態度、少し御座成りが過ぎるやしないかぁぁぁっ!」 正:「ちょ、レンヤ!その態度、少し御座成りが過ぎやしないかぁぁぁっ!」 「る」は、要ら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ