第四十五話・歳の事は禁句
俺とルコールは門を無事に抜けた後、ギルドカードをゲットするべく冒険ギルドへと移動をしていた。
「えっと...確かそこの角を曲がれば、それっぽい建物が見えたと思うんだけど......?」
ルコールが多分「ここだったよね?」と首を傾げながら、目線の先に見えるT路地を見ている。
「た、頼りない記憶力だなぁ! 本当にこの道順で冒険ギルドに行けるのか?」
「うっさい! この町に来たのって実に数十年ぶりなんだから、記憶がうろ覚えでも仕方ないんだよっ!」
愚痴をこぼすレンヤの態度に、ルコールが青筋を立てた膨れっ面で怒ってくる。
「スマンスマン、そんなに怒んなってば! まあそうだよな、誰でも歳を取れば記憶力は乏しくなってくるってもんだ! 特にお前はうん百歳なわけだしよ♪」
「歳の事を言うんじゃないっ! あたしはこの見た目と同じで、まだまだ心も身体もフレッシュな乙女だっていうのっ!」
レンヤの悪びれない言葉に、ルコールが先程よりも更に膨れっ面でプンプンと激昂する。
「ほら、あそこを見なさいっ! あたしが若い証拠として、ちゃんと記憶通りの場所に目的の建物...【冒険者ギルド】があるでしょうがっ!!」
ルコールが人差し指を遠くに見える建物へ向けてビシッと突きつけ、あの建物が冒険者ギルドだと告げる。
「確かに大きな建物が先に見えるな? へぇ~そっか。あの建物が冒険者ギルドなんだ?」
「うん、そうだよ。あの大きな建物が目的の冒険者ギルドだよ! うふふ、どうよレンヤ! あたしのこの『若い』記憶の力はっ!!」
ルコールが無い胸を思いっきりふんぞって、自分の記憶力をドヤ顔で自慢してくる。
なので俺は、
「はいはい。とても素晴らしい記憶力ですねぇ~」
ルコールのドヤ自慢を軽く聞き流し、冒険者ギルドに目線を向ける。
「ちょ、レンヤ!? その態度、全然気持ちが込もっていないんですけどっ!?」
俺の態度が気にくわなかったのか、ルコールが驚き顔で不満声を思いっきり荒らげる。
「そんな顔をすんなって。別にお前を無視するつもりはなかったのだよ。ただ初めて見る冒険者ギルドに、少々心を奪われてしまってさ♪」
激おこ状態のルコールに、俺はニガ笑いをこぼしつつ、無視した理由を謝罪しながら伝える。
「ああ、レンヤの世界には冒険ギルドってないんだっけ? だったら感動するのも分か―――」
「―――よっしゃぁぁあっ! 目的の冒険者ギルドに向けてレッツらゴーだぜぇぇぇええっ!!」
俺は憧れの冒険者ギルドを目の前にして、心が居ても立っても居られなくなり、猛ダッシュでギルドへと駆けて行く。
「ちょっ!? ま、待ちなさい、レンヤァァア~~ッ!? あたしをひとり置いてきぼりにするんじゃな~~~いっ!!」
自分をその場に置いて、ひとりさっさと冒険者ギルドに駆けて行くレンヤの後を、ルコールが急ぎ慌てて追いかけて行く。




