第三十六話・絶対に攻撃するなよ!
「............」
うわ...なに、今の号令!?
何でこの人達、人の話を全く聞かないどころか、ここまで殺る気
満々なの!?
ちょっと質問を投げれば、済んじゃう話なのにさっ!?
「嗚呼、もう!何なのさ、こいつら!マジでうっとしいなぁぁぁあっ!」
嘆いている俺の横で、ルコールが無駄に気合いの入れてくる騎士や兵士達に
対し、地団駄を踏みながら憤怒している。
「ねぇ、レンヤ~。こんな不義理で恩仇な者なんてさぁ、全員殺っちゃっても
良いと思うんだけど、駄目なの?」
「当たり前だ!絶対にやっちゃ駄目だかんなっ!」
「えええぇぇぇっ!」
「えええぇぇぇっ!...じゃありません!相手は王族の騎士達だって、何度
言えば気がすむんだっ!」
そんな奴らに手をかけてみろ。
あの城とこの王族のプレゼンなる、暗殺部隊や刺客部隊の追っ手との
ランデブーが始まってしまうんだぞ!
そんなのはマジで御免被るっ!
せっかく、のんびり冒険&のんびり生活を始めようと思っているのに、
何が悲しくて、んなハードモードを選択せにゃいかんのだよ!
「と、とにかく、この連中の誤解を解くまで、あいつらには手を出すなよ!
絶対に手を出すんじゃないぞ!いいな、ルコールッ!」
「わ、わかったよ、レンヤ!」
「ほ、本当だぞ!本当に絶対、手を出しちゃ駄目だからなっ!」
「わかった、わかった。だから安心してよ、レンヤ!」
「そっか...それなら、いいん―――」
...って、ちょっとルコールさん?
何で両腕をクロス状にさせているんですかね??
「そう...それってつまり...。あいつらを殺れって、合図なんだよねぇっ♪
了解したぁぁぁぁあっ!!」
『下賎なる恩仇な者どもよ!食らって裂かれろ!ドラゴン・ダブルゥゥゥ、
クロォォォォォ―――――ッッ!!』
ルコールがギフト技を発動させ、クロスした両腕を大きく広げると、
かぎづめの形をした斬撃刃が無数に列なって、回りの騎士や兵士達を
次々と斬り刻み、その命を刈り取っていく!
「ちょっとぉぉお!ルコールさん!?何やっているのぉぉぉぉおおっ!?」
ルコールの放ったドラゴンダブルクローを食らって、騎士や兵士達が
バタバタと絶命していく衝撃光景を見た俺は、あまりのショックで
気を失いそうになってしまう。
「何を言っているの?レンヤが殺れって言ったから、殺っただけじゃん!」
「ハァァァッ!?」
俺の注意を無視して騎士達を攻撃したルコールへ、俺が目を見開いて激昂すると、
ルコールがほっぺたを膨らませて「レンヤの言葉に従っただけだもん!」っと、
プンプン怒ってくる。




