表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/288

第三十四話・おっさん、恩を仇で返される


ルコールの衝撃波を至近距離で受けたジェントが、その身をズタズタに

切り刻まれて、その場にバタンッと倒れ込んだ。


「ふん...そこでしばらく寝ていろ、この恩仇者めがっ!」


そしてルコールが、地面に転がっているジェントを蔑む目で見ている。


「よ、よくも俺達の仲間をやりやがったなぁ、小娘ぇぇっ!」


「この盗賊風情が...絶対に許さんぞ、覚悟しやがれっ!」


「見ていろ、ジェント!俺達がきっと仇を撃ってやるからなっ!」


「そうさ!こんな盗賊二人如き、直ぐに退治してくれるぜぃっ!」


血気盛んな騎手や兵士達が気合いを入れると、俺とルコールの回りを

円で囲んでいく。


「やれやれ...。いつの時代も騎士というものは、どうしてこうも人の話を

聞きやしないんだろうねぇ...」


全く耳を貸す気のない兵士達に呆れるルコールが、深い嘆息を吐いてしまう。


「お前...こんな大ピンチだっていうのに、よくもまぁそんな冷静な態度で

いられるよな?」


「え?大ピンチ?レンヤにはこれが大ピンチなの??」


動揺を見せて慌てているレンヤに、ルコールが「嘘でしょう?」と言う顔を

して首を傾げる。


「アホかぁぁあっ!相手は王族なんだぞ、王族っ!その連中に俺達は今、敵の

認定を食らっているんだぞぉおっ!これを大ピンチと言わず、何を大ピンチと

言うんだよぉぉおっ!」


今の状況がまるでわかっていないルコールに、俺は説教に近い激おこを返す。


「う~ん。そんなに面倒ならさ...もういっその事、全部まとめて消しちゃう?」


ルコールは悪代官がしそうな悪どい微笑みをニヤリと浮かべると、自分の爪を

シャキンッと鳴らして伸ばす。


「おい!間違っても絶対に消すんじゃないぞ!もしそれをやってしまったら、

もう大ピンチどころの騒ぎじゃなくなるからなっ!」


俺は目を見開いて喫驚すると、戦闘体勢に入っているルコールに、マジの

注意を促す。


ふう...はてさて、この拮抗状態をどうするか?


キサリ皇后様かアリア皇女様が俺の無実を証言さえしてくれれば、それで事は

済む話なんだが......


俺はキサリ皇后様達の乗っている馬車へチラッと目線を向けると、先程の

将軍が中央に、そして部下数名がその回りに立っており、


「キサリ皇后様達の乗っておられる馬車には、誰も近づさせやしないぞっ!」


...といった感じでガッチリと馬車が守られており、誰も迂闊には近寄れない

状態だった。


「おいおい、おっさん!どこを目を向けていやがるんだぁぁぁぁあっ!」


俺が馬車に気を取られていると、周囲を囲っていた兵士のひとりが持っていた

槍を突き構え、こちらへ一直線に突っ込んでくる!


「あんたこそ、どこに目を向けている!この恩仇者めがぁぁぁぁあっ!」


『焼き燃やせ!ドラゴン・ファイアァァァァ―――――ッ!!』


ルコールが息を大きく息を吸って、それを思いっきり吐き出すと、吐き出した

息が螺旋状の炎へと変わる!


「な!?ほ、炎がぁぁあ!?炎が俺の身体に巻き―――ウギャアァアァッ!!」


そして俺に突っ込んでくる兵士に螺旋状の炎が直撃すると、その身体を瞬時に

紅蓮の炎が包み込んでいく!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 王族に敵認定されようが関係なくね(笑)そもそも論として自国の王なら従う必要はあるが他国のそれも拉致された人間からしたら従う義務も義理もないよね(笑)
2021/12/25 07:03 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ