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第三十二話・フォーラム家


「こ、こら、アリア!命の恩人に対して、何て口を聞くんですか!」


せっかく助けてくれたのに、愚痴ばかりを述べるアリアに対し、キサリが

プンプンと頬を膨らませ怒っている。


あ、怒った顔も美人ですね♪


「はは、いいんですよ。年頃の女の子がこんな目にあったんです。きっと

心が乱れての愚痴だと思います。だから気にしないで下さい。それに俺が

おっさんだっていうのも、紛うことなきですし♪」


俺はそれとなく、可愛い子ちゃんへのフォローを入れておく。

 

「ほ、本当にすいません。えっと...ご都合が悪くなければ、貴方のお名前を

伺って宜しいでしょうか?あ、人に名を尋ねるなら、まず自分が先に名乗ら

なければ失礼ですね。私の名前はキサリ、『キサリ・グラン・フォーラム』と

申します。以後お見知り置き下さいませ♪」


レンヤに名前を聞こうとして、自分の名前を教えてなかった事にキサリが

気づくと、慌てて自分の自己紹介をし、そして頭を小さく下げる。


「そして、この子が...」


「わ、私はアリア...『アリア・グラン・フォーラム』よ!この華麗なる美貌の

持ち主である私を救えた事...その頭と心に感謝の念と共に刻み込みなさいな!」


続けてアリアが人差し指をレンヤにビシッと突き付けると、顔を赤くしながら

自分の自己紹介をツンデレ風にしてくる。


「こら、アリア!命の恩人である御方に対し、そんな上から目線はお止め

なさいって、言っているでしょう!」


「あはは...。お二人とも自己紹介ありがとうございます。それじゃ、今度は

俺の名前ですね。俺の名前は城川れ――」


おっと、そういえば、ルコールの奴がこっちの世界では名前を先に言った方が

良いとか言っていたな。


何でも名字が前にくるのはこちらの世界では珍しく、色々と掘り探られてしまう

可能性があるとか。


「コホン...俺の名前はレンヤ...『レンヤ・シロカワ』と申します。こちらこそ、

以後お見知りおき下さい!」


キサリとアリアの自己紹介を聞いて、今度はレンヤが自分の自己紹介をして、

軽い会釈をすると、


それと同時に、


「ええぇぇっ!?フォ、フォーラム!?フォーラムですってぇぇえっ!?」


馬車から少し離れた所でレンヤ達の会話を聞いていたルコールが、フォーラムと

言う名を聞き、叫声を上げる。


「お~い、レンヤァァ~!レンヤァァァアア~ッ!!」


「ど、どうしたんだ、ルコール?そんな大きな声を荒らげて?」


俺の名前を大きな声を上げて呼び、手を招いているルコールを見て

ハテナ顔で首を傾げると、


「いいから!こっちゃ来いやぁぁああっ!!」


首を傾げてその場をちっとも動かない俺を見て、ルコールがますます

大きな声を上げて俺を呼んでくる。


「んだよ......。用があるんだったら自分から来ればいいものを...ったく、

しょうがないな......」


「あの、レンヤ様。あちらのお方は何方でしょうか?」


「ああ、あいつですか?あいつは俺と一緒に盗賊を退治してくれた、

ルコー――」


「おい、そこの不貞な輩ぁぁぁあっ!我らのキサリ皇后様とアリア皇女様に

対し、一体何をしようとしておるのだぁぁぁぁあ―――――っ!!」


俺がルコールの事を紹介しようとした瞬間、遠くから無数の馬の足音が

聞こえ、こちらへと近づいて来る軍隊が俺の目に映ってきた。


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