第三十話・二つを天秤にかける
「それにしてもこの馬車...めっちゃくちゃ豪華な作りをしているな?」
俺はドアに手をかけたようとした時、目線が彩り鮮やかな装飾品へと向く。
「こ、これ全部金...だよな?」
こっちの装飾品は銀...いや、プラチナか?
それにあの緑石はエメラルド?
この海を表現したのは......サファイアかな?
「......なるほどね。馬車の周囲にこれでもかってレベルで散りばめられた、この彩り取りの豪華な宝石の数々。どうやら盗賊、この宝石や宝玉が目的でこの馬車を襲ったな!」
これは盗賊がこれを見ちまったら、ヤッハーしてしまうって。
「だがそれより驚くのが紋章だ......」
俺の目に映ってくる立派な紋章、大鷲っぽい鳥が足爪で槍を掴んでいる。
「スゲエな、この紋章......!」
この彩り鮮やかな装飾品が霞んで見えるくらい、中心で目立つ様に輝き刻まれていやがる。
「―――ハッ!?」
レンヤはこの印象に思いっきり残る紋章、そして立派な馬車や装飾品を見て、ひとつの不安が脳裏中を駆け走る。
「こ、この豪華な馬車に...装飾品......そ、そして光輝く立派な紋章!? こ、これってもしかすると助けたら確実に面倒事に巻き込まれてしまうパターンなのではぁぁああっ!?」
俺はこの可能性に気付くと、額から一滴の冷や汗がスゥーと流れ、地面へポタンと落ちる。
「だ、だとしたらどうすれば良い!? お、俺の予感が仮に当たっていたとしたら、どのような行動を取った方が正しいんだ!?」
この先に進むのは危険という直感を信じ、馬車の中にいるであろう美人さん達とは会わず、急ぎこの場を去った方がいいのか?
そ、それとも、そんな一抹な不安なんぞ二の次にして、美人さん達による御褒美タイムを満喫した方がいいのか?
「.........」
「.........うん」
「.........やっぱりここまで来たんだし、御褒美のチューを貰いたいよねえ~♪」
面倒事と美とつく女性達から受ける御褒美のチュー......この二つを天秤にかけてじっくりと考えた結果、御褒美のチューが圧倒し、俺は喜び勇んで馬車のドアノブを勢い良くガリャリと開ける。
「ご、ご無事ですか! 貴女方を襲った連中は、俺と相方で全員退治したのでもうご安心し―――」
おおおぉぉっ!? ここ、これはぁぁぁぁあっ!?
か、完璧に整った顔立ち!
それをサポートするかの様な、金髪のサラサラロングヘア!
水晶かと見間違う程に透き通って輝きを見せる、エメラルドグリーンの大きな瞳!
それに加え、年齢を感じさせないスベスベでみずみずしいお肌っ!
そして...何よりもこれが最大で良好点!
おっぱいが、めっちゃ大きいぃぃぃっ!
おっぱいが、めっちゃ大きいぃぃぃぃっ!!
おっぱいが、めっちゃ大きいぃぃぃいっ!!!
「重要且つ、重大な事なので、三回言わせていただきましたっ!! ヤッハァァァァアア―――――ッ!!!」
俺はこの沸き上がってくる感動を表す叫声を、心の中で目一杯荒らげた。




