第二百八十二話・魔法部隊の憧れな存在
「おっと、スマンスマン。少し言い方が悪かったようだな。いやな、
レア度の 高いお前達の主になったおかげで、これから目立ってしまう
可能性が高いんだろうなぁって、ちょっとばかり億劫しまったんだよ......」
「......なるほど、そういう事か。だがな、我が主よ。それは仕方のない事だ。
何故ならば、我は最強の魔法!そしてそんな我を従している主っ!その主に
目立つなというのがそもそもの間違いなのだよっ!......とまぁ、そういう
訳で、そんな悩みや心配など無用で無駄な思考なのだからもうやめておけ!」
さっきのオロオロはどこにいったとばかりに、ホノカの表情はしたり顔へと
変わり、そして自慢げ口調で長々と力説してくる。
「そ、そっか、無用で無駄か~。で、でもね、ホノカさん。俺、ホントに
目立ちたくないんだよねぇ~。だ、だからさぁ、なるべくでいいから、
そ、その~派手な行動は慎んでくれると、ありがたいかなぁ~なんてね...」
「ふむ、主の命だ。善処はしておこう!」
「はは...お、お願いしますね」
あ、あのホノカの顔。
ホノカに自重してくれと頼んではみたものの、
これは駄目そうだな......はは。
ホノカの善処すると語った時の表情を見て、俺のこの切実なる嘆願は
叶いそうにないなと思ってしまう。
「......ふう。さて、それよりもユキの奴、マジで遅いな?」
もう食事の時間だっていうのに、まだ魔法部隊の連中と話しをしている
のか、あいつ?
窓から見えてくる、空の景色が暗くなっているのを目線に映した俺は、
少し心配になってくる。
「......なあ、ホノカ。ユキの奴、お前と一緒に魔法部隊の連中と話を
していたんだよな?」
「......ああ。その通りだぞ、モグモグ。まあ我はその途中で主によって
呼び出しを受けたがな。モグモグ......おお、これは旨いな、アーニャ♪」
「えへへ♪そうでしょう!わたしの大好物だったんだから♪」
「......ん?だった?」
「う、うん、ほら、わたし顔を火傷していたでしょう?だからそういった
顎を強く使う食べ物は......しばらく食べていなかったの......」
アーニャがシュンとした悲しい表情で顔を下げる。
そんなアーニャの表情を見たホノカは、
「なるほどな。だがしかし!もうそれは過去の事だろう!だからこれからは
遠慮なく、これを食べる事ができるな、アーニャよ!モグモグ......うむっ!
やっぱり旨いな、これ!」
激の込もった言葉をアーニャに送る。
「う、うん!モグモグ...上手いね、ホノカちゃん♪」
ホノカの言葉を聞き、アーニャはさっきまでの悲しみに沈んだ顔を笑顔に
変えると、フォークに刺さった肉料理をパクッと口に頬張った。
「...で、あの白い奴の事だが、先程も言ったと思うが、あの連中の熱が
凄過ぎて、未だに離してもらえないのだろうな......モグモグ」
熱が凄い過ぎて......か。
そうなんだよなぁ。
自分の趣味や興味を語り始めると、相手の事なんて考えずに、つい際限なく
ずっと喋っちまうんだよなぁ。
俺は魔法部隊の気持ちが分かるといわんばかりに、頭をうんうんと何度も
大きく頷く。
「......ふう、しょうがない。あいつを待っていたら御飯が冷めちゃいそう
だし、そうなる前にユキの奴を召喚で呼び出すとしますかっ!」
『......こい、ユキッ!』
俺は両手を前にバッと突き出し、ユキをここに召喚する。




