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第二百七十九話・老婆竜


「ホントあんたはもう......アルティメットポーションが一体どれくらい

価値があるのか、それを口が酸っぱくなるほど説いたというのに......」


「うぐぅ...お、俺にだってさ、アルティメットポーションが希少で価値が

あるって事くらい自覚しているさ。でもよ、こいつは作ろうと思えば

また作れちゃうアイテムじゃん」


時間はすっっつっごく掛かっちゃうけど。


「にも関わらず、不運な悲劇で重傷を負い、日々苦しんでいる罪亡き幼い

女の子を放って置き、無視を決め込むなんて行為、流石に気が咎めると

いうか、なんというか......」


「......で、心を天秤にかけた結果、良心の呵責が勝ったというわけね?」


「......はい」


「ハァ、やれやれ......」


矢継ぎ早で語るレンヤの言い訳に、ルコールは深い嘆息を吐き呆れてしまう。


そんなルコールに対し、ホノカが懸命な表情で、


「きょ、強者の老婆竜よ!ど、どうか主を......主を怒らないでくれっ!

我が...我が主に嘆願を熱望したのだっ!どうかアーニャを助けてやって

くれとっ!!」


レンヤの言い訳にフォローを入れる。


「誰が老婆竜だぁぁあっ!誰がぁあぁぁああ――――っ!!ぶち殺すぞぉお、

てめえぇえぇぇええ――――っ!!!」


「――――はうぅぅうう!?!?!?」


ホノカから『老婆』竜と呼ばれた事にイラッときたルコールが、怒気の

混じった竜の咆哮を荒らげホノカをジロっと睨み付けると、ホノカは恐怖で

ビクッと身を固めてしまう。




―――そんなやりとりを食事室でやっていたその頃。




「ではジョイナさん、そのようによろしくお願いしますわね!」


「はい!畏まりました、ミナルお嬢様!」


ミナルが厨房室にて、ルコールに頼まれたスイーツ料理をコックさんで

料理長でもあるジョイナに注文をしていた。


「あ!そうですわ。アーニャもそろそろお腹を空かせているでしょうから、

次いでにあの子の分も注文しておきますか!」


ミナルが料理を注文した際、アーニャの御飯の時間が近い事に気づく。


「今回も残念ながら当たりではなく、アーニャをガッカリさせてしまい

ましたし、美味しい物でもお腹いっぱい食べてもらって、アーニャには

元気になってもらわなきゃ!えっと、あの子の好物は―――」


「ジョイナさ~~~ん!ケリールの黒胡椒焼きを三つ、ケリールの香辛

焼きを三つ。あと...そうそうケリールの甘辛煮込みも欠かせませんよねぇ!

それも三つお願いしまぁ~す♪」


ミナルがアーニャの晩御飯の注文をしようとした瞬間、調理場に駆ける様に

入ってきた人物がそう注文すると、テーブル上に注文紙を置いた。


「ケリールの黒胡椒焼き、香辛焼き、そして甘辛煮込みをそれぞれ三つだね。

あいわかった......うえ!?え!?あ、あ、あ、貴女はアーニャお嬢様っ!?」


「――へ!?ア、アーニャ!?」


ジョイナの言葉に、ミナルが振り返ると、そこにはニコニコ笑顔のアーニャ

が立っていた。


「あら、ミナルお姉様じゃないですか♪わたし、レンヤ様達と一緒にお食事を

致しますので、わたしの晩御飯は注文しなくていいですからねぇ~~~♪」


レンヤ達の注文を終えたアーニャは、ニコッと笑顔を浮かべてミナルにそう

伝えると、レンヤが待つ食事室に帰るべく、踵を返し、颯爽と駆けて行った。


「う、嘘!?ア、ア、アーニャッ!?どどど、どういう事ですの!?」


床で伏せていたはずのアーニャが、元気いっぱいの笑顔を見せ、そこにいる

事に、ミナルの思考が全く追いつかずにいた。


「――はう!?そ、そうですわ!こ、こんな所でパニッくっている場合じゃ

ありませんわねっ!何故アーニャのケガが回復しているのか、その真相を

急ぎ確かめねばっ!!」


ハッと我に返り、パニッくっていた思考が回復したミナルは、慌て様で

グルッと厨房室の出入りに向け、急ぎ足でアーニャを追いかけて行く。


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