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第二百六十九話・アーニャ・S・バロント


「お!良かった。どうやら無事に目を覚まされましたね!」


少女が無事に目を覚ました事に、俺はホッと胸を撫で下ろす。


「......えっと。私、どうしてベッドに寝ているんでしょうか?」


「あ。それはですね。私とこいつが瓦礫の下敷きになって気絶されている

お嬢様を発見し、安静の為にベッドへ運んでお寝かせしたからですよ」


「が、瓦礫の下敷きに......あ、そういえば!?」


レンヤから何故自分がベッドに寝ているのか、その事情を聞かされた

仮面の少女はハッとした表情に変わると、瓦礫の下敷きになった状況を

思い出した。


「す、すいません!ご足労をかけてしまいました!そして私を助けて頂き、

誠に有り難う御座います!」


レンヤから助けてもらった事に、仮面の少女がベッドから身体をガバッと

起き上がせると、レンヤに向けて感謝の言葉を口にする。


「それで、どこか痛む所はありませんか......おっと、申し遅れましたね。

私はレンヤ...『レンヤ・シロカワ』と申します!」


「我は『ホノカ・フレイ・シロカワ』だ!気楽にホノカと呼ぶが良いっ!」


「レンヤ様に...ホノカ様ですね。私はアーニャ、『アーニャ・S・バロント』と

申します。以後お見知りおき下さいませ!」


レンヤとホノカの自己紹介に、仮面の少女こと...アーニャも自己紹介を慌てて返す。


「アーニャですか。ふむ、中々素敵なお名前ですね、アーニャ...さ......ん?」



――ん?



アーニャ?


はて?アーニャって、確かどこかで聞いた...よう...な.........?



ああああぁぁぁぁあ~~~っ!?



お、思い出したっ!!!



確かアーニャって、ミナルお嬢様の妹さんと同じ名前じゃんっ!!


そ、そういえばさっきの対応の時も、ミナルお姉様とか言っていたような?


...って、事は!?


「コ、コホンッ!え、えっと...つかぬことをお聞きしますが、も、もしかして

アーニャさ――アーニャお嬢様って、ミナ...ミディナールお嬢様の...い、妹様

でしょうか?」


俺はこの子がミナルお嬢様の妹かどうか、それを確かめるべく、恐る恐る

アーニャさん...もとい、アーニャお嬢様にその事を訊ねてみる。


すると、


「あ、はい。レンヤ様の仰る通り、ミディナールは私のお姉様ですわ!」


アーニャが口元をニコリとして微笑ませ、レンヤの問いを肯定する。


「や、やっぱりか......」


俺はミナルお嬢様の触れられたくない事情ごと、それに関わってしまった事に

頭を抱え悩ませてしまう。


「ど、どうしたんですか、レンヤ様?な、何やら声のトーンが少し下がった様な

気がするのですが?」


俺の消沈した心情に感付いたのか、アーニャお嬢様が困惑した表情を浮かべて

そう問うてきた。


うぐ...以外に勘が鋭いな、この子。


じ、実は...ですね。ミナルお嬢様から貴女に関わるな、首を突っ込むなと

言わんばかりの口調で、遠回しの釘を刺されていまして...


...とは、言わない方がいいか?


俺、この姉妹の仲がどんな感じなのか、


仲が良いのか悪いのか、良く知らないし。


もし言った事によって仲違いでもされた日には、目も当てられない。


......ってな訳で、


取り敢えず、適当な言葉で濁しておくか。


「え、えっとですね。それはミディナールお嬢様に妹が―――」


俺は適当な誤魔化しにて、その場をさらっと流そうとしたその瞬間、


「―――それはだな、アーニャ。お前への挨拶をしたいと主が申し出をしたのに、

こともあろうかお前の姉がマジ顔をしてそれを断ってきたのだよっ!全く以て

遺憾でけしからん奴だぞ、お前の姉はっ!!」


ホノカがクワッと目を大きく見開き拳に力をグッと込めると、プンプンと怒りながら

アーニャに本当の事を伝えてしまう。


「そ、そんな事をミナルお姉様が!?そ、それは大変誠に申し訳ございませんでした、

レンヤ様!せっかくわたしに挨拶をしたいというレンヤ様のお心遣いを、ミナルお姉様が

無下としてしまい、本当に...お詫びのしようもございませんっ!!」


アーニャが顔色を悲痛という表情に変えると、ベッドの上にサッと正座をし、

そして頭を何度もペコペコと下げてレンヤに謝罪する。


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