第二百六十八話・謎の仮面
「ち、ちょっと!大丈夫ですか!?い、今凄い音がしましたけどぉっ!?」
ドアの向こうから響く凄い音を聞いた俺は、慌てる様にドア越しで相手に
声をかけるのだが、しかし相手からの返事が返ってこない。
そしてその後、何度も声を相手にかけるものの、返事は返ってこなかった。
「......くぅ!ホノカッ!!」
これは緊急事態が起こったのかもと思い立つと、俺は急遽ホノカを
この場へと召喚する。
「お!主。その様子を見るに、どうやら無事復帰を果たしたようだな!」
召喚されたホノカが上目遣いで俺の顔色を伺うと、顔色が良くなっている事に
気付きニコリと微笑む。
「ああ。おかげ様でな。それよりもホノカ、このドアを至急焼き斬ってくれ!」
「何このドアをか?ふ...この程度、斬るまでもないぞ主。ハアッ!」
ホノカが自慢気にそう言うと、ドアノブをグッと強く握って炎の爆発で
ドアノブだけを粉々に破壊した。
「おお!でかした、ホノカ!」
俺は笑顔でホノカの頭を撫でると、部屋の中に侵入する準備に入る。
「スイマセン!緊急事態が起きたと判断した為、貴女様の返事を待たず、
勝手に部屋へと入らせていただきます。この行動をどうかお許し下さいっ!」
部屋の中に入る前に、俺は部屋の主に対して詫びの言葉を一言口にした後、
俺は早足で部屋の中へ突入して行く。
「――こ、これは!?」
部屋に突入した俺の目線に、部屋に飾ってあったであろう物が崩れ落ちて
山となっている様が映ってくる。
「お、おい、主。あの瓦礫の山の下を見てみろ!」
隣にいるホノカが、瓦礫の山の下箇所に向かって指を差す。
「瓦礫の下?......のわ!?あ、あれはっ!?」
ホノカの指差す方角に俺が目線を移動させると、そこには変わった
仮面をつけている...恐らくは少女らしき人物が下敷きになっていた。
「ちょっ!?だ、大丈夫ですか!い、今直ぐに助けてあげますからね!」
俺は瓦礫の下敷きになっている仮面をつけた少女にそう言うと、怒髪天と
気合いのギフトを素早く発動させて、瓦礫を次々と退かしていく。
そして瓦礫をある程度退かした後、下敷きになっていた苦しんでいる、
仮面を着けた少女をどうにか救出する事に成功する。
「う...うう......」
「よ、良かった!ど、どうやら死んではいないみたいだ。ちょっと待って
下さいね!今ベッドへ運びますからっ!」
俺はうめき声をか細き声で上げている、意識朦朧な仮面を着けた少女を
サッと抱き抱えると、ベッドのある場所まで移動しベッドの上にソッと
寝かせる。
「しかしこんな事になるとは、俺が声をかけたばっかりに......」
俺は本当に申し訳ないと、ベッドに寝かせた仮面をつけた少女に頭を下げる。
「しかし主よ。何上こやつはこんな目にあっていたのだろうか?せっかちな
性格だったとてしても、この広き部屋であの瓦礫の山を作る理由がまったく
思いつかんのだが?」
「......確かにな」
ホノカの言葉通り、この部屋は広い。
なのであれらにぶつかって下敷きになるだなんて、幾らなんでもドジが過ぎる。
「あ!み、見てみよ、主。もしかしてこやつの着けている、そのヘンテコ
仮面のせいではないのか?この仮面、どう見ても目が見える仕組みには
なっておらんぞ?」
「え?た、確かにお前の言う様に、この仮面...視界が完全にブロックされて
いるみたいだな?」
...っていうよりも、
この仮面、顔を覆い隠す事を前提として作られている構造だ。
俺は顔を殆ど隠す様に作られた少女の仮面を見て、何でこの少女はこんな物を
被っているんだと、首を傾げて不思議がっていると、
「う...うう......あ、あれ?私、どうしたの?こ、この感触......ベッドのよう
だけど、何故ベッドに?確か私、誰かに呼ばれてドアを開けようとベッドから
出た筈なのに??」
倒れていた少女が目を覚ました。




