第二百六十二話・お嬢様達の勘違い
「お、お願いします!もしそれがどうしても駄目だと言うのでしたら、
このミナルお嬢様とアーニャお嬢様だけでもいいですので、勘弁して...
見逃しては頂けないでしょうかっ!どうか...お願いしますうぅぅっ!!」
「な!ば、馬鹿野郎!アーニャお嬢様の事を口にするんじゃないっ!」
「ハッ!し、しまった!?」
悪気がないとはいえ、うっかりアーニャの事を口滑らせた部下に、隊長が
怒りを露にして思いっきり叱咤すると、うっかりに気づいた部下は、
この世の終わりがきたといわんばかりの表情へと変わっていく。
「......ん?アーニャお嬢様??」
部下の口滑らせたそのアーニャという人物の名前を、首を傾げながら
口にすると、
「ちちち、違うんです!アーニャなんて人物、この船のどこにもいませんっ!
ほ、本当です!ほほ、本当にいないんですっ!」
「そ、そうです!信じて下さい!いない者を呼んじゃうって事、たまに
あるでしょう!」
「そそ、そう!それなんですよっ!!」
「この馬鹿の馬鹿記憶がそこんとを間違って、口にしてしまっただけ
なんですぅううっ!!」
女性を中心に、周りの部下達も必死な表情にて、苦しい言い訳と誤魔化しを
してくる。
「えっと......あ、あのですね。あなた方はどうやら勘違いをなさって
おられるご様子ですので、ひとつ言っておきたいのですが......私達は別に
この船を占領しようとも、あなた方をどうこうしようとも思っては
いませんよ?」
「「「「「「――――――えっ!?!?!?」」」」」」
レンヤの発言に、ミナルと騎士達が目を丸くしてウソという表情で驚いてしまう。
「私達の目的はこの船で少しの間、休憩をさせて頂きたく、立ち寄らせて
もらっただけですので!」
そんなミナル達の驚きをよそに、レンヤは言葉を続けていく。
「そ、それじゃ、船は占領はしないと?」
「はい」
「私達を捉え、どうこうするとかじゃないと?」
「はい」
「で、では私どもの勘違いであなた方を攻撃してしまったと!?」
「はい。そうなりますか♪」
レンヤから告げられる衝撃の事実に、ミナルの顔色がドンドン真っ青へと
変わっていく。
「あはは♪でもまぁ、それも仕方がない事ですよ。謎の物体があんな勢いで
飛んできたら、誰だって攻撃体勢に入りま――――」
「も、申し訳ありませんでしたぁぁぁあああっ!」
レンヤが言葉を言い終わる前に、ミナルは再びその場にガバッと土下座をし、
床に顔面をつける勢いでレンヤに向かって謝罪をしてくる。
「だぁぁああ!そ、それはやめて下さい、お嬢様!こっちは全然気にして
いませんから!それに謝罪というのでしたら、不審者全開でこの船に
接近して来たこちら側にも非があるのですからっ!」
ミナルの土下座に、目を丸くして動揺するレンヤは、自分達こそが元凶だと
述べ、ミナルの土下座をやめさせようとする。
「そ、それでどうでしょうか、お嬢様?休憩の許可はもらえますでしょうか?」
「も、勿論、よろしいですよ!それどころか、お詫びも兼ねてあなた方の
向かう目的地にこの船で送って差し上げますわ!」
「い、いいえ。それは流石に申し訳なさ過―――」
ミナルの申し出に、それは厚かましいなと思い、レンヤはお断りしようと
した瞬間、
「え!ホントに?いや~助かるよ!ありがとねぇ♪」
ルコールがミナルの肩をポンポンと叩き、ご満悦な顔で感謝の言葉を送る。




