第二百六十話・魔法擬人、マジ激おこ
「......なっ!?何だ、あの子ども達は!?あ、あの子ども達から
物凄い魔力を感じる......というか、これは魔力そのモノ......っ!?」
「ま、魔力そのモノ...ですか!?そ、そ、それじゃやっぱり、あの
子ども達は魔法擬人って事ですかぁぁぁあっ!?」
「「「「ま、まま、ま、魔法擬人っ!?!?!?」」」」
ホノカとユキの正体に気付いた魔法部隊の連中が目を大きく見開き、
嘘だろうと言わんばかりの喫驚してしまう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ど、どうしたんだ!?魔法部隊が機能しなくなったぞ!?」
「どうやらあの子ども達を見てからの様です、隊長!」
「くっ!な、何者なのだ、あの子ども達は!?強過ぎにも程があるぞっ!」
「それを言うなら、あの小娘もですよ、隊長!あ、あれは規格外過ぎます!
我々がここまで手も足も出ないだなんてっ!?」
「......だったら、狙うは!」
隊長は喉をゴクリと鳴らしてそう言うと、ルコールの背後の方で顔色を
青くして具合が悪そうにしているひとりの人物へ目を移す。
「はい!狙うはあのノホホンとしているおっさんですね!よし!みんなっ!」
「分かってる!あの中年おっさんを円で囲い、そして一気に攻撃するぞっ!」
「「「応ぉぉぉぉぉお――――――っ!!!」」」
前衛部隊の騎士隊長が号令を上げて右手の剣を天に突き上げると、部下達が
気合いの雄叫びを荒らげる。
そして腰に下げていた剣を鞘から素早く引き抜くと、レンヤに向かって
次々と突撃して行く。
「補佐部隊!」
「ああ、わかっている!」
『アタックブースター!』
『ディフェンスブースター!』
『スピードブースター!』
騎士部隊の隊長が補佐部隊に背中越しで合図を送ると、補佐部隊が能力を
一時上昇させる魔法を騎士達に向けて詠唱する。
「ヨシャアッ!これで少しの失敗確率も無くなったっ!」
「あんなおっさん如きに過剰大袈裟な支援魔法だとは思うが、あの小娘や
子どもの例もあるからなっ!」
「ああ。それにもうこれ以上、お嬢様に恐怖を与える訳にはいかないっ!」
「もしあいつらに負けでもしようものなら、ミナルお嬢様やアーニャお嬢様に
害が及んでしまう!それだけは何としても避けねばっ!」
「いいか、お前達っ!気合いを入れてかかるぞおぉぉぉおおっ!!」
「「「「「おおぉぉぉぉぉぉお―――――――っ!!!!」」」」」
前衛部隊の騎士隊長が再度号令を上げ、右手の剣を天に突き上げると、
部下全員が決意を改めてた気合いの雄叫びを荒らげる。
「さ、さっきから、ホント煩い...な...あぐぅう。こ、これだから人生勝ち組の
ノリは...き、嫌いなんだ......よ。ううぐ......き、気持ち悪...い......うぐ」
見た感じ、どこぞの偉い貴族に仕えている騎士や魔法使いといった格好を
している相手に心の底から鬱陶しいという言葉を吐くと、レンヤの具合の
悪さが更に悪化して、床に顔を項垂れる。
「よっしゃあぁぁっ!一番手、貰ったぁぁぁあっ!」
レンヤに剣を斬り込める攻撃範囲内に入ったひとりの騎士が剣を大きく
振りかぶってジャンプする!
が、しかし!
「フン!させんぞ、痴れ者ども!貴様程度が我の主に手を上げるなどは、
百年早いわぁぁぁあっ!!」
「ボクの大事なおじさ......コホン、コホンッ!こ、こんなに弱っているおじさんを
狙うだなんて、騎士道にあるまじき行為っすねぇ、あんた達っ!!」
具合を悪くして踞っているレンヤの前に、ホノカとユキが素早く壁となって
立ち塞がる。
「な!そ、そんな馬鹿な!?」
「す、素早過ぎる!?あ、あの位置からここに移動してくるだなんてっ!?」
「な、何なんだこいつら!底上げした俺達が...気後れして...しまうだ...と!?」
「ぐ、ぐぬぬぅぅ。な、なんて強大な魔力なんだよ、こいつらっ!?」
ホノカとユキの見せる威圧感に、騎士達がジリジリと後退りしていく。
「我と一体なる原炎よ。我の敵を捉え包む、そして燃やし消す暴風と化せっ!」
「取り敢えず、あれとそれと...次いでにあいつを殺っちゃって、ボクの原氷っ!」
動揺を見せて動きを止める騎士達に向かって、ホノカとユキがギフトを発動させる
体勢へと入る。
『巻き起これ、炎の嵐!ファイア・ストームッ!!』
『ボクの敵に向かって降り注げ、氷の矢よ!コールド・ミサイルッ!!』
詠唱を終えたホノカとユキが、剣を持ってる逆手の左手を前にバッと突き出すと、
ホノカは燃え盛る炎の渦を、ユキは無数の氷弾を上空から降り注がせ、目の前の
騎士達を次々に攻撃していく。




