第二百五十八話・レンヤを襲う砲撃
「ちょっ!な、なんだあれ!あの船、こっちに黒い鉄玉らしき物を
めっちゃ放ってきたんですけどっ!?も、もしかしてルコールさん、
あれって.......っ!?」
「ふふふ、どうやら砲撃を受けているみたいだね?」
「や、やっぱりぃぃいいっ!?」
目の前の大型船から爆音をならし次々に飛んでくる黒い鉄玉に、レンヤが
ビックリした表情で動揺してしまう。
「誰だか知らないけど、このあたしを撃ち落とそうだなんて......」
『百年早いわっ!食らえ!ドラゴン・アイズ・レェェザァァァアッ!!』
ルコールの両目がキラリと光ると、無数に迫ってくる鉄球たちに向かって
赤いレーザービームを発射し、次々と撃ち落としていく。
「な、なんだあの赤い光はぁぁああっ!?て、鉄玉がす、全て撃ち砕かれて
しまった
だとぉぉぉおおっ!?」
「う、うう、嘘だろ!?だ、だってこの砲台には、最上位の支援魔法が
添付されているんだぞっ!?」
「ぐぬぬぬ!ま、まだだぁあっ!う、撃てぇええい!撃ち続けて、これ以上
奴をこの船に近づけるなぁぁぁあっ!!」
「「「おおおおお~~~っ!!」」」
砲撃リーダーの合図と共に、砲台に配置している乗組員達が鉄球を砲台に
詰めては発射!詰めては発射を繰り返していく!
「だぁ~もう!しつっこいなぁ~!ふう、しゃあない。突撃スピードを
もうちょい上げるとしますか!...てな事なので、落っこちないように
気をつけてね、レンヤ!」
「な、なんだと!?突撃の加速をまだ上げるつもりなのかぁぁあっ!?」
や、やめてぇぇぇぇえ―――――っ!
こ、これ以上風圧の重力が身体にのしかかると、マジで食べたもん全部が
外に...外に吐き出ちゃうからあぁぁあ―――――っ!!
だがしかし、レンヤの必死なる嘆願も叶うことなく、ルコールは大型船に
向かって、更に加速を上げて突撃して行く!
「ひ、ひぃぃぃぃいい!ささ、更に突撃スピードが上っただとぉぉおっ!?」
「だ、駄目です、隊長!あのスピードに砲撃を当てる事が全くできません!」
「ぐぬぬ...し、仕方がない。ここは放棄して船上にいる他の皆と合流して、
あれを迎え伐つぞっ!」
「「「り、了解です!」」」
これ以上の砲撃は無駄と判断した隊長と砲撃部隊は、この場を放棄して
船上にいる他の乗組員と合流するべく、駆け足で船上へと移動して行く。
「おや?何か砲撃が止んだね?これで移動がしやすくなったよ♪そんじゃ、
船上へ向けて、加速して行きますかぁ~♪」
「はぁあああ!?ま、まだ加速するつもりか!?ホ、ホントこれ以―――
うぎゃああぁああぁぁ~~~~っ!!」
レンヤの嘆きをよそに、大型船から砲撃が飛んでこない事を確認した
ルコールは、更に更にスピードを上げて大型船に向かって突撃する!
「きき、来ましたよ!き、皆さん!準備はいいですかっ!」
「ハッ!ミナルお嬢様!魔法部隊、スタンバイオッケーです!」
「我々補佐部隊もオッケーです、ミナルお嬢様!」
「前衛部隊も準備が整いましたっ!」
ミナルの号令に、船上にいた乗組員達がそれぞれの配置に移動すると、
黒い何か...ルコールとレンヤが来るのを待ち構える!
そしてルコールが船上に辿り着いた瞬間、
「今です!魔法部隊!各自魔法をっ!」
ミナル右手を天に向かってバッと突き上げると、魔法部隊に号令をかける。
「はい!」
「お任せ下さい!」
「いくぞ、みんな!」
『ストーム・カッターッ!』
『ロック・カッターッ!』
『アイス・ランサーッ!』
『サイクロォォォンッ!』
ミナルの号令が耳に入ったと同時に、魔法部隊が各々の魔法を詠唱して
目の前のルコールに向かって発射する!
「おお!さっきの砲撃もそうだったけど、問答無用の攻撃だねぇ♪
......でもさぁ~あたしには効かないよ♪」
ルコールが自分に向かって襲ってくる各魔法を、身体で受け止めようと
するが、
「ちょっと待てぃっ!まさかお前、そのまま突っ込こうとしていないかっ!?
お、俺がいるんだぞ!?俺がぁぁあ!俺、魔法の耐性が全くないんだから、
突っ込まずに避けろやぁぁぁああっ!?」
魔法耐性も低く、そして魔法耐性系のギフトをひとつも持たないレンヤが、
慌てふためきながら、ちゃんと回避して避けろとルコールに叫声を荒らげる。




