第二百五十二話・リサーナ・アジョッキンVSギガン騎士達
「こ、この強度...それにこの波動......あ!こ、これはルコール御姉様の?」
なるほど、この壁......ルコール御姉様の鱗を触媒にしていますのね。
「だとしたら、わたくしの技如きで砕けないのは当然という事ですか......」
その衝撃事実にリサーナはしばらく何故とハテナ顔をして首を傾げるが、
壁から伝わってくるルコールの力の波動を感じ、壁が砕けない理由を納得した。
この波動の流れを見るに、
王の間の周囲数メートル一体の前後左右、そして上下ですか?
この壁同様の仕組みとなっているみたいですね?
「...ともなれば、やはりあの扉から直接入るしか道はありませんか......」
リサーナがやれやれといった嘆息を吐いた後、武器を構えている二人の
兵士達がいる方角に振り返ると、
「取り敢えず......」
「―――な!?」
「―――は、早い!?」
リサーナはギフト技...『神歩』を発動させ、二人の兵士との間合いを
一気に積める。
そして、
「チィィィッ!い、いつの間にそんな距離まで近づきや―――ぐは!」
「なぁぁ!?て、鉄の鎧を砕くなん―――――がは!」
兵士二人のみぞうち目掛けて、リサーナが拳をバンバンッと素早く打ち込むと、
兵士二人はその場にバタンと倒れ込み、白目を剥いて気絶する。
「ふう。申し訳ございませんけど、そこで少しの間、眠っていてくださいねぇ♪
さて...今後こそ、トーヴァスさんに御姉様の事を聞―――」
リサーナがひと呼吸した後、改めて王座のある部屋に身体を向けたその瞬間、
「キ、キサマかぁぁぁあ!先程の爆破音の犯人はぁぁぁあっ!!」
「まさか二階の壁から城の中に侵入してくるとはな......油断したぞ!」
「しかし、貴様の狼藉もここまでだ!」
「大人しくお縄につけや、痴れものがぁぁぁあ!」
リサーナの後ろ側通路から、大きな怒鳴りとガシャガシャという金属音を
響かせながら、騎士の集団がリサーナへと接近してくる。
「へぇ~意外に行動力が早いではありませんか?」
ルコール御姉様からギガン城の連中は、平和ボケの御方が多いと聞いて
いたので、少しビックリですよ♪
「貴様!何を小声でごちゃごちゃとぉぉぉおっ!」
「これだけの人数だどこにも逃げられないぞぉぉぉおっ!」
「さぁ、無駄な抵抗はやめて、身命にお縄を頂戴しろぉぉぉおっ!」
リサーナの醸す呆れ顔が勘に障ったのか、騎士の一部が槍や剣を構えて
無作為な突撃をしてくる。
「あらあら。せっかく褒め称えたと言いますのに...相手の力量も測らず、
作戦も練らず、いきなり攻撃をしてくるなんて......」
「―――は!」
「―――嘘だろ!?」
「―――な、なんで、そんな近くに!?」
「......先程感心したわたくしの言葉を、返していただきたいですねぇ!」
『無様に吹き飛びなさい!吹雪の舞ッ!』
リサーナが深い嘆息を吐いた後、『神歩』を発動させて自分に突撃して
くる騎士達の目の前まで一気に加速して接近する。
そして接近したと同時にギフト技...『吹雪の舞』を素早く発動させ、
周囲一体に猛烈な吹雪の突風を巻き起こす。
「な、なんだ!?こ、この吹雪はぁぁあ―――ッ!?」
「これ以上、す、進め......な――――ッ!?」
「だ、駄目だ!もう、立っていられ――――ッ!?」
「「「ギャァアアアァァァ―――――ッ!!!」」」
吹雪の突風を食らった騎士達が、城の壁に次々と叩きつけられると、
その衝撃で騎士達は気絶をしてしまい、床にバタバタと転がり落ちていく。




