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第二百五十話・結局、またあの脱出方法をするしかないのか......


「......あはは。お前のムカつく気持ちは俺にも分かるけどさ、でも

どう愚痴った所で消えちまったもんは消えちまったんだ。ここは運が

なかったと思って素直に諦めるこった♪」


「ええ~!?折角のボーナスなのに、諦めたくないぃいぃぃ~~~っ!!」


レンヤがやんわりと諦めろと説得するのだが、納得のいかないルコールは

口を尖らせ、ブーブーと不満気に愚痴をこぼす。


......まあ、こいつが愚痴るのもしょうがないのか。


だってこいつ、俺の上げた小遣いを屋台巡りで殆ど使っていたからなぁ。


俺は屋台巡りで無くなったお小遣いのおかわりをしてくるルコールに、

旅の資金が減るから駄目だと却下した事を思い出す。


「さて、そんな事よりも......」


未だブツブツと愚痴をこぼしているルコールを、取り敢えず横に置いておき、

俺はさっきから気になっている周囲に目線をスッと移す。


すると、俺達を囲う様に沢山の人だかりが出来ており、その人だかりが

こっちを見ながらワイガヤと騒いでいた。


「そりゃあ、こんだけ派手に行動したら、目立っちゃうか......」


ハア~参ったな、これ。


「これだけ大事(おおごと)になってしまったら、あの城の連中が出張ってくるかも

しれないよな......」


「それは間違いなく出張ってくるだろうねぇ。だってそこで気絶している

小太りの格好、どこをどう見てもどこぞのお偉いさんの貴族様みたいだし、

それに加えて魔人族も出っちゃったしねぇ...」


地面に無様に転がっているヴィレンを見ながら、ルコールが軽く嘆息を吐く。


そして、


「...ともなれば、それを調査をする為の部隊がギガン城からここに派遣して

くるのは確実でしょう。あ!もしかしたら、ここに調査にやって来る部隊は

騎士じゃなく、勇者達かも?」


「なっ!?」


顔をレンヤに向け、御愁傷様と言わん表情でルコールがこの後に起こるで

あろう事を説明していく。


「ゆ、ゆ、勇者がやって来る!?マ、マジでかっ!?何でさっ!?」


「勇者召喚の目的が魔王討伐の為......これはレンヤも召喚されし者だから

知ってはいるとは思うけど、さっきの魔人族の討伐も勇者がやるべき使命の

中に含まれているんだよ。何せ、魔王って魔人族の王様なのだからね!」


「......へ!?こ、こいつらって、魔王の部下なの!?」


「うん、そうだよ♪まぁ~そういう事もありまして、必然的に魔人族関連には

勇者が出ばって来るという可能性が高くなるって訳なのよ!」


「そ、そうなんだ......」


魔王と魔人族って、そういった繋がりがあるのか。


しかし勇者がここに来る......


こ、これは不味い展開になってきたぞ!


何せ、あいつらは俺の顔を知っているからな......。


だからもし、あいつらに見つかりようものなら即バレ、


そして俺を捕縛する為に、あいつらが俺に戦いを挑んでくる可能性が高い。


正直いって、勇者三人を相手にするとなった場合、無傷で戦いを終わらせる

自信は俺にはハッキリいってない。


何故なら、俺はともかくとして、ルコール(こいつ)が黙ってあいつらに捕縛をされるとは

到底思えない。


そして俺があいつらのせいでもし大ピンチに陥ろうものなら、ホノカとユキの奴が

どう動くのか、それもまた検討が及びもつかん。


「...いや、俺がそんな目に合えば、確実にホノカ達は勇者達に対して報復するか......」


レンヤはさっきの小太りのおっさんや、リタイの町を出た後、俺達に襲い掛かって

きた貴族とその仲間達を無残なまでボコボコにした、あの時のホノカとユキの事を

ふと思い出す。


「こ、これはマジでマズイ事になってきたかもしれん......」


......ぐ、どう思考しても陸でもない未来しか頭の中には浮かでこん!


俺はこのままでは確実に起きるであろうそんな未来図を頭の中ですれば

するほど、顔中から嫌な汗がドンドン滲み出てくる。


「あいつらとの戦闘を回避し、更に俺達の足取りを追えなくする(すべ)か...」


......まぁ、その術はある事にはある。


あるんだが、正直この術はなるべくとりたくないし、考えたくもない。


「......でも勇者達(あいつら)と対峙したくないしなぁ」


ハァ~......残された手段は、もうこの術しかないのかぁあ~~~っ!?


「だぁぁぁぁああ~~~いやだぁぁぁあっ!出来ればもう二度と、あれだけは

体験したくなかったというのにぃぃぃい~~~っ!!」


レンヤはこの危機状況から脱する事の出来るであろう、問題解決策を頭の中に

思い描く。がしかし、その思いついた解決策がよっぽど嫌なんだろうか、

レンヤは見ただけでも分かるくらいの落胆した表情を浮かべ、そして口から深い

嘆息を大きく吐いて項垂れるようにガックシするのだった。


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