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第二百四十五話・しがないおっさんとガキ二人


ゼェ...ゼェ...ゼェ...ゼェ......。


「ぐぬぬぅぅぅう!く、くそがぁぁあっ!な、何なんだぁぁあっ!

何だっていうんだよ、あの化け物はぁぁぁあっ!無敵と謳われている

魔人族を、ああもいとも簡単に倒してしまうだなんてぇぇえ~~っ!!」


ルコールに殴られ、しばらく気絶していたヴィレンだったが、その気絶から

回復した時に目に映ってきた、無残で無慈悲なまでに魔人族が一方的に

ボコボコにされている光景を目の当たりにした瞬間、顔色が一気に真っ青へと

変っていき、そして気づけば、あの場所からあたふたと足をおぼつかせながら

全力で逃げ出していた。


「クソが、クソが、クソがぁぁあっ!何が魔人族の中から選ばれし者だあっ!

これではわしの計画が思いっきり頓挫してしまうではないかぁぁああっ!!」


それに魔人族といえば、先に行かせた盗賊へと扮した先行部隊の魔人族達に

キサリとアリアを亡き者にしろと命を出した後、未だに達成したという

情報が返ってきやしない。


―――ハッ!?


「ま、まさか、奴等も誰かに殺られてしまったのかっ!?」


そういえば極秘に仕入れた裏情報では、ギガン城の連中が勇者召喚に

成功したとか言っていたな。


「も、もしやその勇者に、先行部隊は殺られてしまったのではっ!?」


......いや、流石に召喚したばっかりの勇者に殺られる連中ではないか。


しかし勇者は魔族や魔王と戦う為の存在と聞く。


だ、だとしたら、やはり勇者達に殺られてしまった可能性が......!?


「くぅうぬぬぬぅうう、不可解な事が起き過ぎだ、クソがぁぁぁあっ!

せっかくキサリ達を亡き者にした後、もっともあの国の継承者として

相応しいこのわしが、フォーラム帝国の皇帝として君臨する予定だったと

いうのにぃぃいっ!!」


そしてギガン王国の連中には、フォーラム帝国の皇女であるキサリを自国で

殺されたという不始末と責任を取らせた上、法外な賠償金を踏んだくって

やろうと算段していたというのによぉぉぉおおっ!!


「クソクソクソ、クソがぁぁぁぁぁぁああッ!!」


何でこうも上手くいかないのだぁぁああぁあっ!!


わしは王族で、長男で、そして唯一無比の天才で、超エリートのヴィレン...


「ヴィレン・グラニア・フォーラム様なんだぞっ!そのわし直々に考えた

作戦なんだぞっ!だというのに何も成果をあげず、成功もせず、その挙げ句の

果てが、小娘からみっともなくも逃げ出すなどとは......そんな事、そんな事が

あってたまるかぁぁぁぁああぁあっ!!!」


ああぁぁあ、イライラするぅぅうっ!


お、おのれぇぇぇいっ!この苛立ち、今すぐにでも払拭しなければ、ストレスで

胃に穴が空きそうだわぁぁぁあっ!!


「このストレスを解消するには...」


......くくくそうそう、クソ平民どもをボコるのが一番だなっ!


ヴィレンは目の前に映ってくる人々を目にやると、表情を悪どい表情へと

変えていく。


「くかか。ど~れ、わしのオモチャとなり得るクソ平民はどこかなぁ~~?」


そしてヴァレンは貯まり捲ったこのストレスの解消をするべく、目線をキョロ

キョロと動かし、周囲を見渡してターゲットを物色していく。


......おお!あれはっ!?


「グハハハッ!いたいた♪丁度良いところに、いかにもって言うしがない

おっさんがいるではないかぁっ♪」


それにその近くにガキが二人いるな?


あのガキども、もしかしてあのおっさんの子どもか?


「くくく...だとしたら、この溜まりに溜まったストレスを解消するには

丁度持ってこいのスパイスじゃあないかぁあ~~っ!」


そうだなぁ~あのガキどもの目の前で父親であろう、あのおっさんを無残に

ボコボコに殴って、ガキどもの泣きっ面をニヤニヤと眺めるのも面白いか?


いや、その逆におっさんの前であの二人のガキどもをボコボコにして、

何も出来ないで悔しがるおっさんの姿を見るのも、これまた一興で

面白いかもしれんなっ!


ヴィレンが子供二人を使った面白いストレス解消方法を思い付くと、

口角をニチャッと吊り上げて汚く笑う。


そして、


「そこのしがないおっさんとぉぉお、ガキどもぉぉぉぉぉおおっ!!」


ヴィレンが先程よりも更に醜悪に満ちたニヤニヤした顔をして、目の前にいる

しがないおっさんと子ども二人の下に、腹を揺らしながらドタドタと足音を

鳴らして駆けて行った。


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