第二百四十四話・魔人族の討伐完了
「おお!噂通りの美味しさじゃん、これ!......モグモグ、うん旨い♪」
ルコールがやっと出来上がったタルトを堪能していると、
「壁を壊してくださって、本当にありがとうございましたっ!!」
「ホント助かったぜ、お嬢さん!さっきはついあんな態度をとって
しまったが、どうか許してくれ!」
「俺の屋台の売っている食い物も美味しいからよぉ。後で暇だったら
食いにきてくれよ!この礼にたっぷりサービスしてやるからよぉ♪」
「あ、ありがとね、お姉ちゃん!」
「タルトも無事に提供できた事だし、俺もこの辺で失礼させてもらうぜ、
お嬢ちゃん!それじゃなぁっ!」
壁の中に閉じ込められていた市民達がルコールの下に来て、それぞれが
感謝とお礼を述べた後、その場から去って行く。
「モグモグ...別にあの連中を助けたわけじゃないんだけど、でもまぁ、
感謝されるのも悪くはないかな?」
ルコールは助けたわけじゃないと言いつつも、感謝とお礼を受けて悪い気は
していなかった。
「ウ、ウソだろ.........ゲーマロ、ザレード、ジラード、ゾーガヤ...みんな、
みんなやられてしまった.........!?お、俺達は精鋭部隊の魔人族なんだぞ!
その中から更に選りすぐられた五人なんだぞぉぉおっ!そ、それなのに、
あ、あんな小娘如きにこうも簡単にあしらわれてしまうだなんてぇぇえっ!?」
そんなルコールの後ろで魔人族のズーラシが、これは夢だ、信じられないと
いわんばかりに現実逃避をしていると、
「......で、そこのあんた!」
「――――はうっ!!?」
ルコールが目的の屋台から視線をスッと外し、ズーラシのいる方に顔を
静かに傾ける。
そしてルコールが「あんたはかかってこないの♪」と、にこやかな口調で
そう問いかけてくる。
「―――はぎゃ!!?そそ、そ、それは...その......ですね......」
化け物みたいな強さを持つルコールとなんて戦いたくはないズーシラは、
恐れ戦いた表情でオロオロと声を詰まらせる。
「あらあら、スッカリ弱び腰だねぇ?まぁでも気持ちは分かるよ♪ここまで
実力の差を見せつけられたら、二の足を踏んじゃうよねぇ♪......でもさぁっ!」
ルコールの問いに、ズーラシが言葉を詰まらせていると、ルコールが
ギフト技...『神足』を発動させ、ズーラシの目の前に一気に移動する。
「はぎゃぁぁああ!?ななな、何で俺様の目の前にぃぃぃいっっ!!?」
「ポーナスを減らす訳にはいかないからさ。なのであんたにもあいつら同様、
ここでキッチリと殺られてもらうよ、うふふ♪」
ルコールが爽やかな笑顔でニコリと微笑みながら、ズーラシの肩を優しく
ポンポンと数回叩く。
「うひぃぃぃいい!いいい、いやだぁぁあ!お、俺はまだ死にたくなんて
なぁあああぃぃぃいぃっ!死にたくはぁぁぁあああ~~~~っ!!」
「......やれやれ。さっきまでのイキリドヤ顔はどこにいったのやら......」
あたふと逃げ惑うズーシラに、ルコールが嘆息を吐いて肩を竦めると、
『貫けぇぇっ!ドラゴン・アイズ・レェェェエザァァアァァァァッ!!』
両目をキラリと輝かせ、二つの赤いレーザーをズーラシ目掛けて発射する。
「あ、ああ、赤い光がぁぁああ―――ッ!?ウギャアァァア――――ッ!!?」
ルコールの放ったドラゴン・アイズ・レーザーがズーラシを捉えると、凄まじい
ド派手な大きな音を巻き上げて爆発する!
「うっしゃあっ!魔人族の討伐完了だぜぇ~っ♪」
地面に転がっているズーシラのやられている姿を見てルコールは、拳にグッと
力を込めて喜びの表情を浮かべる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ひぃふぅみぃ......いつっと♪」
ルコールは退治した魔人族を一ヶ所に集めてローブでガッチリと全員を
縛りあげる。
「くぅ~よし、これで魔人族の捕縛は終わったっと♪」
そしてさっきの戦いの疲れを取る様に、ルコールは大きく背伸びをする。
「......後はあそこで気絶しているチョビ髭野郎をふん縛って、取り敢えず
お終ま......って、あ、あれ!?あ、あのチョビ髭野郎がいないっ!?」
疲れを取ったルコールが残ったチョビ髭野郎こと、ヴィレンを捕縛する為、
目線をそこに向けると、そこにヴィレンの姿がどこにもなかった。




