第二百三十七話・ルコール、マウントを取る
「ぎゃはは!逆らった相手が悪かったな、愚かな平民よ!」
「ぐははは、そうそう!たかが屋台の...そも平民如きが、ヴァレン様に
逆らってしまったんだ。娘頂戴するくらいで済んで寧ろラッキーと
思っておけや!」
もう自分達に逆らったりしないと確認したヴァレンの部下達がセレナの
父親の肩をバンバン叩き、しゃがった声でゲラゲラと高笑う。
「くくく...安心しろ、クソ平民。貴様の娘は我が散々タップリと楽しんだ後、
返してやるわ。但しマトモな身体ではと、言ってはやれんがな!」
そしてヴァレンが、ニヤニヤした顔でそう言うと、セレナを強く抱き締める。
「ぐぬぬ...」
しかしヴィーレンに何と言われようとも、フォーラム帝国の報復を考えて
しまうセレナの父親は、そのせいで二の足を踏んで何もできなかった。
「さぁ。お前の父親の承諾も得た事だし、セレナよ♪我の船の中で
タァ~~ップリと可愛がってやるからなぁ~くくくく♪」
「くぅ、ワタシを...ワタシを名前で呼ばないでよ、この卑怯者!」
「おうおう、怒った顔も可愛いな、セレナよ♪だがしかしその顔をいつまで
していられるのかぁ~、これまた楽しみだ♪」
「ぐ、気持ち悪い......」
ヴァレンが下品な笑みを浮かべながら、セレナの頬を執拗に撫で回す。
「あははは!行くぞ、お前た――――――ぶろごろげぇええ!?」
「「「「はう!?ヴ、ヴィーレン様っ!?」」」」
ヴァレンが下卑た笑い声を上げながら、その場を去ろうとしたその瞬間、
何かがヴァレンの頬を直撃し、その反動で近くの壁へとぶっ飛んで行く。
「......やれやれ。相も変わらず上位貴族というものは、自分マンセーで
独特とした子ども染みた思考をしているよねぇ......」
まぁ、例外もいるけどさ。
ヴィーレンをブッ飛ばした張本人...ルコールが、深く嘆息を吐いた後に
装備している指輪に目を移す。
「そこのあんた、大丈夫?」
「は、はい!あなたは一体?」
「それは内緒って事で♪」
ルコールはそう言うと、ヴィーレンを蹴ったと同時に助け出していた
セレナを地面にソッと下ろす。
「な、なんだ、貴様は!あの御方をどなたと心得ているのだっ!」
「あの御方はな!フォーラム帝国の第二王族、ヴィーレン・グラード・
ナグザー様だぞ!それを知っての狼藉かっ!」
「フォーラム帝国の第二王族...ねぇ。そういうあんた達こそ、この大陸が
トーヴァス陛下の治める領土と知っての狼藉かしら?」
「そ、それがどうした!我らフォーラム帝国に比べれば、ギガン大国など
小さき領土よっ!」
「小さき領土...ねぇ?中々面白い事言うじゃないのさ?あ!そういえばっ!
確か~その小さき領土のギガン大国から一方的にボコボコにされ、無惨な
敗戦をした国がどこかにあったよねぇ~?あれって、どこだったかしら♪」
「――なっ!?」
「き、貴様ぁぁあっ!?」
ルコールから図星を突かれた自称フォーラム帝国の連中が、その額に青筋を
立てて憤怒してくるが、しかしルコールは全くおくびにもせず、ニマニマした
笑顔で相手を思いっきり挑発し、マウントを取っていく。




