第二百二十八話・深紅に輝く指輪
「くくく...ボーナスが貰えなく残念だったな~小娘♪それどころかよ、
俺をこんな冤罪に嵌めたんだ。その罪で逆に訴えて、貴様とあのおっさんを
奴隷堕ちにしてくれるわ!ぎゃはははっはははは―――っ!!」
「希望に胸膨らませているところ、大変言いにくいんだけどさ。それ多分
無理なんじゃないの?だってこの大陸にある冒険ギルドのスポンサーって
ギガン城の王家だよ?トーヴァスとイオナって、そういう悪行や卑怯な手口が
大っ嫌いだし、あんたのママの持つ圧力とやらが一体どこまで凄いのかは
知らないけどさ。あいつらにそれが効くとは全く思えないんだけど?」
「あははははは~~♪何を言うかと思えば!貴様ごとき平民の小娘が、
陛下と王妃の考えを勝手に語るんじゃねぇよっ!」
「ランス様のおしゃる通りだ、小娘っ!それにトーヴァス陛下とイオナ王妃を
呼び捨てにするとはどういう了見だ!言語道断の不敬ものだぞっ!」
気絶から回復したグラーゼが、この国の陛下と王妃を呼び捨てにしている
ルコールに気づき、怒りを露にしながら注意してくる。
「あら?もう目が覚めたんだ。流石はSランクの実力者じゃんか♪でもね、
これは不敬にはならないんだよ♪だって、あたしとあいつの関係って、
タメの間柄だからさぁ~♪」
ルコールそう言うと、指にはめていた深紅に輝く指輪をグラーゼに見せた。
「な!?そ、その真紅の指輪はっ!?ま、間違いないっ!陛下が自分と
同位クラスとお認めになられた者に贈るとされている【王家の指輪】っ!?
な、なんで貴様がそれを持っているのだっ!?」
「そんなもん、あたしがあいつに認められたからに決まっているじゃないか♪」
「し、信じられるかぁあっ!そんな言葉、虚言に決まっている!じゃないと、
貴様のような小娘にその指輪を陛下がお贈りになられるものかっ!」
「ふう。嘘だと思うなら...ほれ、確認してみるかい♪この指輪って確か、
トーヴァスと贈られた本人以外が触ると、赤い電撃が走る仕組みになって
いるんだったよね?」
未だに疑ってくるグラーゼの前に、ルコールが指輪をはめた手を差し出す。
「ふん...いいだろう。その化けの皮、速攻で剥がしてくれ―――ぐぎゃぁあ、
あぐざぁああぁああぁぁぐぐぎゃああぁああ!!あ、赤い電撃がああぁぁぁ!
か、身体を迸るうぅぅぅうぅぅぅううっ!!!」
グラーゼがルコールの指輪を力を込めて懸命に引き抜こうした瞬間、
指輪から発された赤い電撃がグラーゼを襲う。
「どう?理解と納得ができたかな?できたのなら時間がもったいないし、
ちゃちゃとギルドに連行しちゃうけど、良いかな♪」
「うぐぐ...ま、まさかその指輪の持ち主を襲ってしまうとは。どうやら
わたしの命運も...ランス様の家も最早これまでのようですね......」
ルコールの嵌めている指輪が本物だと知ると否や、グラーゼの顔色は真っ青に
変わってガクッと項垂れる。
「な!お、お前がそこまで落胆し、諦めの言葉を吐くだなんて!?じ、じゃあ、
こいつの言っている事はマジでホントなのかっ!?ホ、ホントにトーヴァス陛下と
同位だと......いうのかぁあっ!?」
呟く様に恐る恐ると述べるランスのその言葉に、グラーゼが静かに頭を下げる。
「そ、そんな...バカな!俺の栄光への道が...勇者と肩を並べる英雄となる夢が...
藻くずの泡と消え去ってとしまうというのかぁぁぁ!?ちくしょう、ちくしょう、
ち、ちくしょおおぉぉぉおお―――――うぅぅっ!!」
グラーゼの表情を見て、ランスがやっとそれが真実で事実だと気づくと、無念の
叫声を荒らげ、顔からは色が消えていき、そしてグラーゼと同様にガクッと頭を
大きく項垂れると、表情も心も絶望へと染まっていく。




