第二百二十二話・ランスを襲う強烈なビンタ!
―――その頃、東門では。
「ハァ...ハァ...ハァ...く、くそぉぉおっ!アンナのやつめぇぇえっ!
一体全体どうしたっていうのだぁあ~~っ!で、出会い頭、いきなり
俺を攻撃してきやがってぇええぇええっ!?」
アンナリッタに捕縛されまいと、必死に逃げまわること、数十分後。
やっとの思いで難から逃れ、その疲れから肩で息をしながら東門の近くに
倒れ込んでいた。
「し、しかしあのやろう。攻撃する際、確かルコールお姉様の為に......とか
何とか言っていたが、一体誰なんだよルコールお姉様ってよぉぉおっ!」
あの高慢ちきで、自分より下の人種をゴミだと罵っていた、あのアンナを
あそこまで懐柔して動かす人物か。
クソ、厄介だなっ!
まさか、アンナに裏切られるとは...計算外も良いとこだぜ!
アンナとネージュと合流し、そして東門で待たせているグラーナ団長と
紅蓮騎士団で一気にあの八重歯女とクソジジイの息の根をとめてやろうと
算段していたのによぉぉお。
ふん。だが、まぁいいさ。
アンナ達が役に立たないとしても、所詮はジジイと小娘。
グラーナ団長と紅蓮騎士どもさえいえば、時間もそう取られずに
十分片がつく事だろうさ。
グハハハハッ!
見ていろよぉぉ、クソ女におっさんよぉぉおぉっ!
「ぜっっったいに、貴様達を亡きモノにしてやるからなぁぁあぁっ!!」
いや...女の方は生かしておいてやるか。
性格は凶暴だったが、あの小娘は俺様のハーレムに入るに値するレベルの
美貌の持ち主だったしな。
ああ、そうそう。
この完璧なる俺様に全く靡こうとしない愚かな女、プレシアもついでに
奪取していくか。
「くくくく.........楽しみだなぁ~。あのおいたの激しい女達をどうやって
調教してくれるべ――――――キベェ!?」
ランスがニヤニヤ顔で良からぬ事を策考していたその瞬間、後頭部に
突如激痛が走り、それと同時に勢いよく門へと叩きつけられた。
「ぐぬぬのぉぉおっ!だ、誰だぁああっ!こ、この高貴な俺様の後頭部を
攻撃したやつはぁぁああっ!俺様の美しい顔にキズが入ったらどうして...
くれ…るん……だぁぁあぁぁっ!?きき、き、貴様はぁぁああぁぁっ!?」
「よ♪」
後頭部を攻撃されたと理解したランスは、顔を真っ赤にして怒り震えながら
後ろにバッと振り返ると、そこには腕を組んで仁王立ちしているルコールの姿が
その目線に入って映ってきた。
「何が「よ♪」......だぁぁあっ!いきなり後ろから攻撃しやがってぇぇえっ!
大体何で貴様がここにいやがるんだぁぁあぁっ!折角の俺様の作戦が台無しに
なっちまっただろ――――――うがゃは!?」
「......知るか、ボケッ!」
叫声を荒らげ激昂するランスの頬をルコールが間を入れずに思いっきりビンタで
張り倒すと、そのビンタの衝撃で身体をグルグルと回転させながら東門に
叩きつけられ、そしてガクッと気絶してしまうのだった。




