表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/288

第二百十七話・それは便利な身体だね。


「でもまぁ、翌々考えてみたら、数百歳過ぎたバアアの水浴びシーンなんて

誰特だよなぁ!あはは~~♪」


おっと、そうだ。


「ホノカとユキもさっきの戦闘で、いっぱい動いていたみたいだし。汗とか

いっぱい掻いているんじゃ?」


俺はそう思うと、ホノカとユキを召喚して呼び出した。


「主、なに用......うひゃ!?」


「何々、こんな夜遅く呼び出し......ひゃあ!?」


召喚で呼び出された目の前に、パンツ一丁で立っているレンヤの姿を見た

ホノカとユキは、顔中を赤らめて気を飛ばす。


「すまんな、二人とも。急な呼び出しにビックリしちゃったようだな?

いやな、お前達ってあのアホどもとの戦いで沢山動いたじゃん?だからさ、

この川でその時に掻いた汗を落とさないかと思って呼んだんだよ♪」


「か、川?」


「あら、確かに川があるっすね?じゃあ、おじさんはここで行水をして

いたからその姿だったってわけっすか。ホント紛らわしいっすねぇ~!

そんな状態で呼び出すから、ボクはてっきり......」


「......ん?ボクはてっきり?」


「な、なんでもないっすよ!なんでもっ!そ、それよりも、いつまで気絶を

しているんっすか、この赤いのはっ!」


「――はぐ!?」


横で未だに気絶しているホノカにイラっときたユキが、思いっきりその頭上に

鉄拳を叩き込む。


「い、いつの間に我は気絶を!?ハッ!も、もしかして既に事を済ませた!?」


「済ませていないわよ!あんた、意外にムッツリなんっすね......」



それから、ホノカはユキから呼び出された理由を聞く。



「な、なるほど...そういう事だったら、心配ご無用だ、我が主よ!我は身は炎!

そんな汚れなんぞ、全て消し飛ばすっ!」


「あ、ボクも氷が元の身体だから、そういった類いの汚れはつきにくいんっすよ!」


「へぇ...そ、そうなんだ。それは便利な身体だね...」


俺がそんな二人の体質が羨ましいなぁと口にすると、


「あ、因みにあたしも『クリーン』って魔法のおかげで、身体に付着した

埃や汚れなんかは全て浄化できるんだよ♪」


レンヤの背後からソッと近づいた誰かが、レンヤの耳元に顔を持って行くと、

ニコニコした笑顔でそう語りかけてくる。


「へぇ~お前もかよ、ルコール。何て羨まし――――――はうぅぅうう!?おおお、

お前はルコールッ!?いいい、いつからここにいたんだっ!?」


「いつからって...そうだねぇ、確か...「でもまぁ、翌々考えたら、数百歳過ぎた

ババアの水浴びシーンなんて誰特だよな!あはは~♪」...って、ほざいたくらいに

......かなっ♪」


「ちょっ!?そ、そんな最初からいたの―――――――アギャッ!!」


ルコールがレンヤの問い...「いつここにいたのか?」その説明をし終えると

同時に、無言でレンヤの顔面をガシッと鷲掴みする。


「まったく、こんなプリチーなあたしを掴まえて、何が誰特......よっ!」


「はぎゃん!!」


そして鷲掴みにしたレンヤを、川に向けて思いっきり投げ捨てた。


「あ、主ぃぃ~っ!?」


「お、おじさぁあ~~んっ!?」


それにビックリしたホノカとユキが、慌ててレンヤの下に駆け寄って行く。


「だ、大丈夫か、主!く、仇を討ってやりたいが、あの規格外には到底勝てぬ。

不甲斐なくて済まんな、主っ!」


「ホント、赤いのが言う通りっすよ。どこをどう取ったらプリチーなのよっ!

.........って、レベルの化け物っすからねぇ~あれって!」


自分の主のお返しをしてやりたいが、絶対返り討ちに合うとわかっている

ホノカが無念といわんばかりに拳と身体を震わせて悔しがる。


そして同じく、ユキもあれを倒せって無理だよねぇ~と、肩を竦めて

苦笑をこぼす。


そんな二人にルコールが、


「......ん?二人とも、今...なにか言った?」


顔をゆっくりと振り向け、ニコッとした...然れど、その瞳の奥が全く笑って

いない笑顔でジワリジワリと近づいて行く。


その威圧感タップリの能面笑顔で、自分達に近づいてくるルコールに、


「「いい、言ってませんっ!ななな、何も言ってませんですっ!」」


ホノカとユキが涙目になっている両の瞳を丸くしながら、直立不動でガバッと

立ち上がると、首を左右にブルブルと何度も振って、先程発言した自分達の

言葉を全否定してくる。


それから俺達はテントに戻り、明日の為の眠りにつく。


そして夜が明けた次の朝。


俺とルコールは、帝国グランディーネに渡る船がある港町ウィークを目指し、

再び移動を開始する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ