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第二百十四話・総員退却だ!


「ふん...やれやれだ。まったく以て甘くも浅はかな思考の持ち主だな、

白いのよ。断末魔をあげさせる......それこそが真の至高で最強なりっ!

それもわからん愚者とは...ふふ、かわいそうに......」


「何を言うし!可哀想なのはそっちっすよ、そっちっ!ふ~んだっ!

やっぱり、あんたと馴れ合うなんて事、到底無理のようっすねぇ~っ!」


「当然至極だ。(たが)うのは仕方無き事よ。貴様は氷で我は炎。所詮は

相違ならない関係なのだからなっ!」


ユキとホノカがお互いに牽制し合って睨み合うと、目線からバチバチと

火花を迸らせる。



そんな最中、



「どど、どうしますか、隊長?こ、攻撃をまだ続けますか!?」


「と、当然だろうが!こ、ここで逃げたら、あの小太......グエゲロ様から

どんなお仕置きを受ける事か!」


「し、しかしですよ!あのガキ達の放つ攻撃に耐え得る気が全くしないの

ですがぁっ!?」


「そ、そうですよ、隊長!正直、あれと戦うくらいなら、グエゲロ様からの

お仕置きを食らった方がまだマシのような気がいたしますっ!」


「ぐぅう、た、確かに......うむ。い、命あっての何とやらとも言うしな。

......よしっ!総員退却だ、退却っ!急ぎここから離脱するっ!!」



「「「「イ、イエッサー、隊長っっ!!」」」



隊長の退却命令に部下全員がビシッと敬礼すると同時に、全力ダッシュで

一斉に走り出し、この場から去って行った。


「お、おい!どこに行く!?ま、待て、待つんだ、貴様らぁぁあぁっ!

て、敵前逃亡は斬首刑だぞぉぉぉぉおおぉおっ!!」


小太りの貴族...グエゲロが顔を真っ赤にさせて、この場から逃げて行く

騎士達に向かって、声の枯れそうな叫声で呼びとめようするが、しかし

逃げていく騎士達の足は全くとまる気配をいっさい見せず、そしてとうとう

騎士達の姿はこの場から完全に消え去ってしまうのだった。


「ゼェ...ゼェ...お、己ぇぇぇえぇぇええええいっ!み、見てろよぉぉお、

あ、あいつらぁぁあっ!帰ったら、絶っ対に厳重なる処罰を与えてくれる

かなあぁぁああぁああああっ!!」


グエゲロが青筋を額に浮かべて拳をブルブルと震わせ、逃げて行った騎士達

対して怒りの愚痴をこぼしていると、


「いやいや。帰ったらって...あんたこっから無事に帰れると思っているの?」


「―――ぶひゃ!?」


自分の背後にいきなり立っていたルコールに驚き、跳ねる様に前にゴロゴロと

転がっていく。


「きき、き、貴様!い、いつの間にわしの後ろに!?そ、それに今の言葉は

一体どういう意味だっ!?」


「ん?言ったままの意味だよ♪あたし達を襲った盗賊をこのまま黙って

こっから帰すわけがないでしょ?」


「なっ!?何だと!?わ、わしが盗賊!?こ、この高貴なる貴族生まれの

わしに対して、と、と、盗賊と抜かすのか貴様はぁあぁ――――はがっ!?」


「やかましいっ!大きい口で喋んじゃない!唾が飛んで汚いでしょうがっ!

この!この!!このっ!!!」


「―――ぶぎゃっ!?あぎゃっ!?んぎゃぁあっ!!?」


ギャーギャーがなり声を上げるゲロクエにイラっときたルコールが、しなる

強烈なビンタをグエゲロの頬に何度も何度も食らわせる。


「ぐぬぬぬぅうう!!おお、己!己、己ぇぇええっ!わ、わしの頬を...親にも

打たれた事のないわしの麗らかな頬をよくも叩きおったなぁああぁぁあっ!!」


大きく晴れ上がったタルタルの頬を懸命に摩りながら、グエゲロは顔を真っ赤に

して血管がプチンとキレそうな勢いで怒りを露にしている。


「だぁもう!うっさいっすねぇ!その汚い声を閉じろっすっ!」


「―――ハガッ!」


それを見ていたユキが、苛立ちながら右手に持つ大剣でグエゲロの頭を

思いっきり峰打ちすると、グエゲロは意識を完全に飛ばし、その場に白目を

剥いてバタンと倒れ込み気絶してしまう。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] こんだけやって死人が出てない 逆にスゴいね(・・;)
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