第二百九話・レンヤ、リタイの町を出る
「ふう、やれやれ。お前はホント、最後まで俺の事をからかって
くるんだな......」
俺がプレシアのからかい行動に、半ば呆れて軽い嘆息を吐いていると、
「おっと、それは心外なお言葉ですよ、おじ様。私は別におじ様の事を
からかっているつもりなんて全くございません.........よっとっ!」
プレシアは真面目な表情でレンヤにそう言うと、レンヤの身体からピョンと
飛び降り、床にトンと着地する。
そして、
「......それでおじ様。リタイの町を出た後、どこに行くのか、その予定は
もう決めてあるんですか?」
プレシアがレンヤに顔を向け、今後の予定を聞く。
「ああ。勿論、決めてあるよ。ここを出た後は――――」
プレシアの問いに対し、レンヤはギルマスに説明した事と同様の
説明を伝えていく。
「――――てな感じかな?」
「ほほう。港町ウィークから船に乗り、そして隣の大陸にある帝国
グランディーネに......ですか?あ。でも大丈夫なんですか、おじ様?
確かあの国って、実力主義者でいっぱいの国ですけ―――――おっと、
そうでしたね!おじ様とルコール様の手にかかれば、そんな問題なんて
お茶の子さいさいのナッシングでしたねぇ~♪」
プレシアはレンヤの心配をするが、ふと宿屋で起こったあのランスとの
乱闘を思い出し、あの実力の持ち主だったら大丈夫かと思い直す。
それからしばらくの間、俺達はプレシアと談笑をワイワイと楽しんだ。
そしてその後、プレシアに見送られながら俺とルコールはリタイの町の
門へ向かって足を進めて歩いて行った。
―――門に向かって歩くこと数十分後。
「そっか、ここを出た後、港町ウィークに行くのか?」
「はい。そこから船に乗り、そして隣の大陸を目指そうか思っています」
リタイの出入りである門前に辿り着いた俺とルコールは、最初ここに
来た時、お世話になった門番に軽くこの町を出る事を話す。
「ふむ、この大陸の隣大陸というと、ロマンジ王国と帝国グランディーネが
あるけど、一体どっちの大陸に行くつもりなんだ?」
「予定ではグランディーネに行こうかと思ってます!」
「ほほう、グランディーネに行くのか。だがグランディーネと言えば
実力主義の凝り固まった国だが大丈夫なのか?......ああ、町で聞いた噂が
本当なら多分大丈夫だな♪」
門番は町で噂になっているレンヤ達の活躍を思い出し、問題ないかと
笑顔をこぼす。
「ここから港町ウィークまでの道のりに強敵な魔物は出ないものの、
それでも距離は結構長い。過度な行動をせず、安全第一に行くんだぞ!」
「わかりました。では門番さん、何も知らない自分へのアドバイス、
最初の事も含めて、本当にお世話になりました!」
「いや、俺は責務を果たしただけだ。しかし感謝の言葉は素直に受け
取っておこう。どうしましてだ!それでは二人共、道中気をつけて!」
「はい!」
門番に色々とお世話になった事への感謝、そして別れの挨拶を済ませた俺は、
リタイの町の門をくぐり抜けて、町の外へと出るのだった。
そしてそれから俺とルコーは、港町ウィークへ向かう為の道をノンビリ気長に
トコトコと歩いていると、
「......ん?なんだろ、あれ?」
今いる場所から少しほど離れた場所に見える平原に、人の集まりであろうものが
目線へと入ってきた。




