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第二百五話・レンヤとバレる?


「そうですか......まぁ、腐っても一応おじ様は冒険者なわけですしねぇ、

私がいつまでもグチグチと愚痴っていたら、未練でおじ様も別れが

辛いですよねぇ~。ハァ~しょうがない。ここは笑顔でお二人を

お見送りするとしますか♪」


「あはは...ありがとう、プレシア。それじゃ、俺達は冒険ギルドに用が

あるからもう行くね!」


プレシアに向けて申し訳ないという表情をして頭を下げた後、俺はギルドに

向かうべく宿屋を後にした。


「あ、そうだっ!もしアンナかネージュがここを訪ねてきたらさ、あたしは

屋台巡りに出ているからって、そう伝言しておいてねぇ♪」


宿屋を出ようとした瞬間、ルコールがふと何かを思い出したのか、手のひらを

ポンと叩き、プレシアの方角にくるっと振り返ると、思い出した何か...言付けを

プレシアに頼む。


「屋台巡り...ですね。はいわかりました!ルコール様!アンナリッタ様達が宿(ここ)

来られる事がございましたら、そうお伝えしておきますね♪では、おじ様!

ルコール様!行ってらっしゃいませっ!」


プレシアは了解しましたとルコール軽く会釈すると、満面の笑みを

浮かべて、レンヤとルコールに深い会釈をして見送る。


それから宿屋を出た俺とルコールは、ミュミュやギルマス達に別れの挨拶を

するべく、冒険ギルドへ続く道を歩いていた。


そしてしばらく歩く事、数十分。


俺とルコールが大広場のある場所近くに近づいたその時、


「ああ!き、来ましたよ!ほら見て下さい、貴族様!あいつですよ、あいつ!

あの小娘と一緒にいるおっさんがレンヤって奴ですよっ!!」


大広場の奥から、興奮した大声で俺の名前を叫んでいる、耳障りな声が

聞こえてきた。


そんな煩く耳障りな声に対し、俺は、


「うっさいなぁっ!一体誰だよ?どこのどいつが俺の名前を耳障りな声で

煩く叫んでいやがるんだ?」


...と、その耳障りな声が聞こえる方角に苛立った表情でゆっくり振り返ると、

そこには二十代半ばと見られる細めの男と、大広場に俺の人相書きらしき物を

貼っていた小太りの貴族が立っていた。


「おい、そこの中年!貴様があの人相書きにあった、レンヤで相違はないなっ!」


そして俺と目の合った小太り貴族が、汚いガラ声を荒らげながら俺のいる所に

向かって、ズカズカと駆けてくる。


だが、俺はそんな小太り貴族に対し、


「いいえ、違いますよ。私はあの人相書きの人物とは別人で、全くの無関係です。

では、そういう事ですので失礼しますね!」


冷静なる大人の対応で小太り貴族にそう述べた後、俺はにこやかな笑顔で軽く

お辞儀をし、それから再びギルドへと足を動かす。


それを聞いた小太り貴族が呆気にとられ唖然としていると、一緒にいた

二十代半ばの男が、顔の血相を変え、


「な、何を言っていやがる!お、俺は知ってんだからなぁぁあっ!お前の

名前がレンヤっていうのをなぁぁぁあっ!」


怒りを露にした口調を洩らし、俺のいる場所までドタドタと足音を鳴らながら

近寄ってくる。


「ですから、何度も申しあげますけど、私はそのレンヤとかいう者では

ありませんよ。恐らくですが...お聞き間違いをなされたのではありませんか?

では、そういう事ですので今後こそ、失礼したしますね!」


そんな文句と異議を言ってくる二十代半ばの男に対し、小太り貴族と同様、

冷静なる大人の対応にてそう述べて軽く会釈すると、俺は身体をギルドのある

方角に向け、再度歩き始める。


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